前立腺肥大症に対して経尿道的前立腺切除術 (TURP) を受けた70歳男性。術後2日目、膀胱灌流が継続されている。看護師… | MyMerci
性・生殖機能障害のある患者の看護
問題

前立腺肥大症に対して経尿道的前立腺切除術 (TURP) を受けた70歳男性。術後2日目、膀胱灌流が継続されている。看護師の観察事項として最も優先度が高いのはどれか。

解説
TURP術後は前立腺切除面からの出血があるため、膀胱灌流が行われる。灌流液の色調が濃い赤色や凝血塊が混入している場合は活動性出血を示唆する。出血が持続する場合は灌流速度の調整や医師への報告が必要であり、最も優先度の高い観察項目である。

詳細解説

核心解説 この問題は、経尿道的前立腺切除術 (TURP: Transurethral Resection of the Prostate) 術後の急性期看護における、観察の優先順位を問うています。TURPは内視鏡を尿道から挿入し、前立腺の肥大した組織を切除・焼灼する術式です。術後は切除面からの出血が避けられないため、膀胱灌流 (Bladder Irrigation) が継続的に行われ、血液が膀胱内で固まってカテーテル閉塞を起こさないように管理します。最も生命と直結するリスクは術後出血であり、それを早期に発見するための観察が最優先となります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! ②番の「灌流液の色調と出血量の評価」が最も優先度の高い観察事項です。術後出血が持続・増大すると、灌流液の色調が淡赤色から濃赤色へ変化し、凝血塊の混入がみられます。これは活動性出血や止血不良のサインであり、循環動態の変動(血圧低下、頻脈)や膀胱内タンポナーデ(凝血塊によるカテーテル閉塞)を引き起こす可能性があります。看護師は灌流液の色調変化を即座に捉え、医師へ報告し、灌流速度の調整や止血処置を迅速に判断する必要があります。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! ①番の「前立腺重量の評価」は術前に画像検査などで評価済みであり、術後急性期の観察項目として優先度は極めて低いです。 ③番の「勃起機能の評価」はTURPの合併症として起こり得ますが(逆行性射精など)、これは術後長期的な経過観察や退院後のフォローアップで評価する項目であり、術後2日目の急性期において出血の評価より優先度は低くなります。 ④番の「尿道カテーテルのバルーン容量確認」は、カテーテルの固定や位置確認のために重要ではありますが、バルーンは通常術中に適切な容量(一般的には20~30mL)で固定されています。確認自体は必要ですが、出血の有無と比較すると緊急性・優先度は劣ります。 ⑤番の「前立腺特異抗原 (PSA) の測定値」は前立腺癌のスクリーニングや治療効果判定に用いるもので、TURP術後の急性期観察項目ではありません。良性の前立腺肥大症に対するTURPでは、術直後のPSA測定は通常行いません。 関連概念の整理 (Related Concepts) TURP術後は、灌流液の血管内への吸収によるTURP症候群 (TUR Syndrome) にも注意が必要です。これは低ナトリウム血症による意識障害、痙攣、血圧上昇・変動、徐脈、悪心・嘔吐などを呈する重篤な合併症です。灌流液の出入り(流入量と排出量)を正確に記録し、バランスを評価することも重要な観察項目の一つです。出血とTURP症候群、この二つが術後急性期の二大観察ポイントです。
概念整理: TURP術後は、切除面からの出血と灌流液吸収によるTURP症候群が二大リスク。急性期の観察の優先順位は、1. 出血の有無(灌流液色調・凝血塊)→ 2. TURP症候群の兆候(意識・バイタルサイン)→ 3. 感染兆候・排尿状態 の順となる。
一目で比較!:
項目TURP術後出血TURP症候群
原因切除面からの止血不全灌流液の血管内吸収(低Na血症)
主な症状灌流液赤色調増強、凝血塊、血圧低下、頻脈意識障害、痙攣、血圧上昇/変動、徐脈、悪心
観察の優先度最優先(常時観察)高優先(術後数時間~24時間)

看護過程ポイント: アセスメント: 灌流液の色調変化を確認し、出血量を定量評価する。バイタルサインと尿量も同時にモニタリング。 看護診断: 「出血リスク状態」「体液量不足リスク状態」「急性疼痛」。 計画・介入: 灌流液速度の調整(医師指示に基づく)、カテーテルの牽引(トラクション)による止血の確認、必要時医師への報告。 評価: 灌流液が淡赤色~透明に改善、出血の停止確認。
暗記のコツ: 「TURP後の観察は『赤い色(出血)』と『頭がボーッとする(TURP症候群)』を覚えよう!まずは出血、次に意識障害!」
国試頻出ポイント: 術後合併症とその観察項目の組み合わせは頻出。特に「TURP後の観察で最も優先すべきことは?」という選択問題や、事例問題で「灌流液の色が濃くなった」場合の看護師の対応を問う形式で出題される。
出題パターン注意!: 「灌流液の色調が濃赤色で凝血塊がみられる」→ 看護師の対応(医師報告、灌流速度増量の確認など)を問う問題に発展。単なる知識問題から、状況判断を含む応用問題への橋渡しを意識すること。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは泌尿器科病棟の看護師。TURP術後2日目の患者さん(70歳男性)のラウンド中、膀胱灌流バッグ内の排液が、今朝まで淡赤色だったのが濃い赤色に変化し、細かい凝血塊が混入しているのを発見しました。患者さんは「特に痛みはないけど、ちょっと気持ち悪い」と訴えています。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まずは バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)を緊急測定し、循環動態を評価。患者さんの意識レベルと顔色を確認。次に、灌流液の流入速度と排出速度を比較し、カテーテルが凝血塊で閉塞していないかを確認(排出量が極端に少ない場合は閉塞の可能性大)。直ちに医師へSBARで報告。「S: 患者は70代男性、TURP術後2日目。B: 灌流液の色調が濃赤色に変化し凝血塊あり。A: 活動性出血を疑い、灌流速度の調整と止血処置が必要と考えます。R: 至急ベッドサイドでの評価をお願いします。」

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 灌流液の速度を自己判断でむやみに上げすぎない(閉塞を助長するリスク)。カテーテル牽引(トラクション)が行われている場合、そのテンションが適切か確認(強すぎると膀胱粘膜損傷のリスク)。患者に安静を指示し、転倒・転落防止のためベッド柵を上げ、ナースコールを手元に置く。
看護プロトコル: 観察項目: 灌流液の色調(淡赤色/濃赤色/血性/透明)、凝血塊の有無・大きさ・数、バイタルサイン(血圧・脈拍・体温)、膀胱の膨満感の有無、腹痛、悪心・嘔吐、尿量(灌流液量を差し引いた実尿量)。 報告基準(SBAR): 上記シナリオ参照。 記録のポイント: 発見時刻、色調変化の程度(例:淡赤色→濃赤色)、凝血塊のサイズ(米粒大/小指大/親指大)、バイタルサインの値、医師への報告内容と指示内容、実施した看護介入(灌流速度調整、安静指示など)、患者の反応。
先輩看護師の一言: 「TURP後の膀胱灌流、『赤い水』の色を見るのが一番大事な仕事だと思ってください!『ちょっと赤くなってきたな?』が気づけるかどうかで、患者さんの出血量とその後の経過が全然変わります。国試では『灌流液の色調観察』と覚えるだけじゃなく、『なぜそれが大事か』をイメージしましょう。現場では、この観察で救急コールを判断することもあるんですよ!」

重要概念

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