核心解説
この問題は、
腰椎穿刺 (Lumbar Puncture)における患者の正しい体位を問う基本的な看護技術の問題です。腰椎穿刺は、
クモ膜下腔 (Subarachnoid Space) に穿刺針を挿入し、脳脊髄液 (CSF) を採取したり、薬液を注入したりする手技です。穿刺を安全かつ確実に行うためには、
最重要! 棘突起 (Spinous Process) の間隙 (棘突起間隙) を最大限に広げる体位が選択されます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は④番です。腰椎穿刺で最も一般的な体位は
側臥位 (Lateral Decubitus Position)で、両膝を胸に近づけ、背中を丸めて顎を胸につける、いわゆる
胎児様体位 (Fetal Position)をとらせます。この体位により、腰椎が最大限に屈曲(後弯)し、棘突起間隙が最も広がります。これにより、穿刺針が硬膜やクモ膜を通過しやすくなり、手技の成功率が高まり、合併症(特に硬膜穿刺後頭痛)のリスク軽減にもつながります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の仰臥位(背臥位)で膝を伸展した体位は、腰椎が前弯し、棘突起間隙が狭くなるため穿刺が困難です。
②番の腹臥位は腰椎穿刺には使用しません。脊柱管造影(ミエログラフィー)など別の検査で用いられることがあります。
③番の座位で上半身を後屈させるのは、腰椎が伸展し間隙が閉じてしまうため不適切です。
⑤番の側臥位で膝を伸展し背中を反らせる(腰椎を伸展させる)と、間隙が狭くなり穿刺が困難です。膝を胸に近づけることで屈曲させるのが正解です。
概念整理
腰椎穿刺は、診断的(髄液検査、髄液圧測定)および治療的(髄腔内化学療法、麻酔薬注入)に行われます。穿刺針の先端は
硬膜 (Dura Mater)と
クモ膜 (Arachnoid Mater)を貫通し、
クモ膜下腔に到達します。棘突起間隙を広げる体位は、穿刺を安全に行うための基本的かつ重要な要素です。
一目で比較!
| 体位 | 腰椎の状態 | 棘突起間隙 | 穿刺の可否 |
|---|
| 側臥位 + 膝胸屈曲 | 最大屈曲(後弯) | 最大 | 適切 |
| 仰臥位 + 膝伸展 | 前弯 | 狭い | 不適切 |
| 座位 + 前屈 | 屈曲 | 広い(高齢者などで用いる場合あり) | 一部で用いられるが一般的ではない |
看護過程ポイント
アセスメント: 患者の体格(肥満、脊柱変形の有無)、意識レベル、協力の可否を確認します。頭蓋内圧亢進が疑われる場合は、脳ヘルニアのリスクがあるため腰椎穿刺は禁忌です。
看護介入: 穿刺前に患者に体位を説明し、理解と協力を得ます。膝を胸に近づけ、顎を引いて背中を丸めるよう具体的に指示します。高齢者や関節痛のある患者には無理のない範囲で補助します。穿刺後は、
最重要! 硬膜穿刺後頭痛 (Post-Dural Puncture Headache) 予防のため、指示に従い一定時間(通常2~6時間)安静に臥床してもらいます。穿刺部位の観察と、神経症状(下肢のしびれ、痛み)の有無を確認します。
暗記のコツ
「腰椎穿刺 = 背中を丸めて棘突起間隙を広げる」と覚えましょう。体位は「胎児様体位(エビのように丸まる)」がイメージしやすいです。
国試頻出ポイント
腰椎穿刺の体位と穿刺後の安静・観察は、基礎看護技術として頻出です。特に、穿刺中の体位は「側臥位で膝を胸に近づける」、穿刺後の合併症予防として「頭痛予防のための安静臥床」はセットで覚えましょう。