核心解説
この問題は、
内耳炎 (Labyrinthitis) によるめまい (Vertigo) と嘔吐 (Vomiting) のある患者の看護における優先順位と安全管理を問うています。
内耳炎は前庭神経 (Vestibular Nerve) の炎症を引き起こし、激しい回転性めまいと自律神経症状(嘔吐、冷汗)を生じます。看護の最優先事項は、患者の安全確保、特に嘔吐による誤嚥 (Aspiration) と転倒・転落の予防です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! めまいと嘔吐が激しい患者では、
誤嚥のリスクが非常に高まります。意識レベルが清明でも、嘔吐反射が弱まっている場合や、めまいで体動が制限され自力で気道を確保できない場合があります。そのため、
嘔吐物による気道閉塞・誤嚥性肺炎 (Aspiration Pneumonia) を予防するために、吐物の吸引準備を整えておくことは、生命に直結する安全対策として最優先されます。また、吸引器がすぐに使用できる状態であることも確認します。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①番のカロリーの高い食事は、嘔吐が持続する急性期には逆効果です。むしろ嘔吐を誘発し、誤嚥のリスクを高めます。②番の仰臥位で頭部を高くするのは、誤嚥予防には不十分であり、むしろ嘔吐物が気道に入りやすくなります。③番の両眼を閉じるよう指導するのは、視覚性の入力を遮断することでめまい感を軽減させる効果はありますが、緊急性・優先度は低いです。④番の頭部を自由に動かすことは、めまいを増強させ、症状を悪化させます。急性期は頭部を安静に固定することが基本です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
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鑑別ポイント! めまいには、内耳性(末梢性)と中枢性(脳幹・小脳)があります。内耳性は回転性で激しい嘔吐を伴いやすいのに対し、中枢性は浮動性で症状が軽いことが多いです。
- 内耳炎の急性期治療は、前庭抑制薬(ジフェンヒドラミンなど)や制吐薬(メトクロプラミドなど)の投与、安静保持が中心です。
- 看護過程では、アセスメントとして「めまいの性状(回転性か浮動性か)」「持続時間」「嘔吐の頻度と量」「バイタルサイン」「転倒リスク」を評価します。看護診断は「
転倒リスク状態 (Risk for Falls)」「
誤嚥リスク状態 (Risk for Aspiration)」が優先されます。
概念整理:
内耳炎によるめまい・嘔吐の看護では、
誤嚥予防 (Aspiration Prevention) と
転倒予防 (Fall Prevention) が最優先です。急性期は絶対安静(側臥位またはファウラー位)、ベッド柵の使用、ナースコールの設置、吸引器の準備が必須です。
一目で比較!:
| 症状 | 内耳炎(末梢性) | 中枢性めまい(脳幹障害など) |
|---|
| めまいの性質 | 激しい回転性 | 浮動性・動揺性 |
| 嘔吐 | 高度(頻回・激しい) | 比較的軽度 |
| 眼振 | 水平性・回旋性で注視により抑制される | 垂直性で注視で増強、持続時間が長い |
| 神経症状 | なし(難聴・耳鳴りはありうる) | 複視、構音障害、運動失調など |
看護過程ポイント:
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アセスメント: バイタルサイン、めまいの性状と経過、嘔吐の頻度・性状・量、意識レベル、誤嚥のリスク、転倒リスク。
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看護診断: 誤嚥リスク状態、転倒リスク状態、活動不耐容、不安。
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計画・実施: 絶対安静(側臥位が安全)、ベッド柵を上げナースコールを手元に、吸引器の準備と定期確認、点滴ルートの確保(制吐薬・補液)、必要時は酸素投与、暗く静かな環境調整。
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評価: めまいの軽減、嘔吐のコントロール、誤嚥や転倒の発生がないこと。
暗記のコツ:
「めまい+嘔吐=
誤嚥 (Aspiration)」と「めまい=
転倒 (Fall)」をセットで覚えましょう。国試では「吸引準備」「ベッド柵」「安静」「側臥位」がキーワードです。
国試頻出ポイント:
めまい患者の看護は、「安全な体位(側臥位)」「誤嚥予防のための吸引準備」「転倒予防のための環境整備」「症状増悪を避けるための頭部固定と安静」が頻出です。特に「誤嚥予防のため吸引器を準備する」は定番問題です。
出題パターン注意!:
本問のような単純な知識問題から、事例問題(例:「内耳炎で入院中の患者が突然嘔吐。看護師の最初の対応は?」)に発展して出題されます。状況設定では、観察→判断→行動の優先順位が問われます。