核心解説
この問題は、
非接触型眼圧計 (Non-contact Tonometer, NCT) を用いた眼圧測定を受ける患者への看護を問うています。眼圧測定は
緑内障 (Glaucoma) の診断や経過観察に不可欠な検査であり、その測定原理と看護のポイントを正確に理解しているかが問われています。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 非接触型眼圧計は、
角膜 (Cornea) に一定圧の空気を噴射し、その圧力によって角膜がへこむ量(扁平する度合い)を光学的に検出して眼圧を測定します。この原理上、正確な測定には、
角膜の形状 と
涙液の状態 が安定していること、そして患者が
まばたきをせずに一点を凝視 できることが必須です。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! ①「検査中はまばたきをしないように指示する」が正解です。検査中にまばたきをすると、角膜に空気が正しく当たらず、測定値が不正確になります。そのため、患者に「検査中はまばたきをせず、目の前のランプ(指標灯)をじっと見つめてください」と事前に説明し、協力を得ることが看護師の重要な役割です。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ②「検査前に排尿を促す必要はない」:
混同注意! 非接触型眼圧測定は短時間で体勢も楽に行えるため、特別な排尿準備は不要です。しかし、
眼底検査 (Fundoscopy) のように散瞳薬を使用する場合や、高齢者で検査時間が長くなる場合は排尿を促すことがあります。この問題では「眼圧測定」に限定されているため、不適切です。
- ③「検査前に必ず散瞳薬を点眼する」:非接触型眼圧測定は
散瞳薬 (Mydriatic Agent) の点眼は不要です。むしろ、散瞳すると水晶体が厚くなり、房水の流れに影響を与えて眼圧値が変動する可能性があります。散瞳が必要なのは
混同注意! 眼底検査や一部の手術前処置です。
- ④「検査の1時間前から絶食とする」:眼圧測定に
絶食 (Fasting) は必要ありません。絶食が必要なのは、全身麻酔を伴う手術や、血糖値に影響を与える検査(空腹時血糖検査など)です。
- ⑤「コンタクトレンズは装着したまま検査を受ける」:
最重要! コンタクトレンズ (Contact Lens) は角膜の形状を変化させ、眼圧測定値を不正確にするため、必ず
外して検査 を受ける必要があります。また、空気噴射の圧力でレンズが破損したり、角膜を傷つけるリスクもあります。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 眼圧測定には、この非接触型の他に、麻酔薬を点眼して直接角膜にプローブを当てる
接触型眼圧計(ゴールドマン眼圧計など) があります。こちらも
まばたきをしない ことが重要で、さらに
角膜を傷つけない ための細心の注意が必要です。両者の違いを理解しておきましょう。
概念整理: 非接触型眼圧測定の原理は「角膜に空気を噴射し、その変形量から眼圧を推定する」こと。この原理を理解すれば、まばたき(角膜の変形を妨げる)やコンタクトレンズ(角膜の形状を変える)が測定に影響することがわかります。
一目で比較!:
| 検査項目 | 非接触型眼圧測定 | 眼底検査 |
|---|
| 散瞳薬 | 不要 | 通常必要 |
| コンタクトレンズ | 外す | 外す |
| 患者への指示 | まばたき禁止・一点凝視 | 医師の指示に従う |
| 排尿準備 | 特に不要 | 特に不要 |
看護過程ポイント:
アセスメント:検査前に患者のコンタクトレンズ装着の有無、理解度を確認。
計画・実施:コンタクトレンズの着脱介助(必要な場合)、検査中の注意点(まばたきをしない、一点を見つめる)をわかりやすく説明する。
評価:患者が検査を無事に受けられ、正確な測定値が得られたかを確認。
暗記のコツ: 「眼圧測定=まばたき禁止」と覚えましょう。「空気を当てるので、目をパチパチさせない」というイメージです。「コンタクトレンズは外す」は、あらゆる眼科検査の基本です。
国試頻出ポイント: 非接触型眼圧測定は、その簡便さから健診や外来で頻繁に行われます。看護師国家試験では、検査の前処置と患者への説明内容を問う形で出題されます。「まばたきをしない」「コンタクトレンズは外す」の2点は確実に押さえましょう。