核心解説
この問題は、
緑内障 (Glaucoma)の患者に対する看護の正しい知識を問うています。緑内障は、
眼圧上昇 (Elevated Intraocular Pressure)や視神経の障害によって視野が狭くなる疾患です。治療の基本は
眼圧下降であり、看護ではこれを妨げる行為を避け、治療効果を最大化する支援が求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③「点眼後は涙嚢部を圧迫する」です。緑内障治療薬の多くは点眼薬で投与されますが、点眼後に
涙嚢部(内眼角)を
1~2分間圧迫することで、薬液が鼻涙管を通って全身に吸収されるのを防ぎます。これにより、副作用(全身的な血圧低下や気管支収縮など)を予防し、薬剤の局所効果を高めることができます。これは
点眼の基本手技であり、緑内障看護において極めて重要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 暗い部屋で過ごすよう指導する →
混同注意! 暗い環境では
瞳孔が散大し、隅角が狭くなるため眼圧が上昇します。緑内障患者、特に
閉塞隅角緑内障 (Angle-Closure Glaucoma)の患者では危険です。明るい環境で過ごすよう指導します。
② 激しい運動を推奨する → 激しい運動や
バルサルバ法 (Valsalva Maneuver)を伴う動作は、一時的に眼圧を上昇させます。適度な運動は推奨されますが、激しい運動は避けるべきです。
④ 水分摂取を積極的に勧める →
混同注意! 一度に多量の水分(例えばコップ1杯以上の水を短時間で)を摂取すると、眼圧が急上昇します。水分は
少量ずつ摂取するよう指導し、制限はしませんが「積極的に勧める」のは誤りです。
⑤ 散瞳薬の点眼を指示する →
禁忌! 散瞳薬(Mydriatics)は瞳孔を開き、隅角を狭くして眼圧を上昇させます。特に閉塞隅角緑内障では
急性緑内障発作を誘発する危険があるため禁忌です。治療では
縮瞳薬 (Miotics)が用いられます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
緑内障には大きく分けて、
開放隅角緑内障 (Open-Angle Glaucoma)と
閉塞隅角緑内障 (Angle-Closure Glaucoma)があります。開放隅角型は緩徐に進行し、閉塞隅角型は急性発作(眼痛、霧視、頭痛、嘔気)を起こしやすいです。治療の第一選択は
プロスタグランジン関連薬(ラタノプロストなど)の点眼であり、点眼後の涙嚢部圧迫は全タイプで共通の重要ケアです。
概念整理: 緑内障看護の核心は
「眼圧を上げない」ことと
「治療薬の効果を最大限にする」こと。点眼後の涙嚢部圧迫、暗い環境・激しい運動・多量水分摂取の回避、散瞳薬の禁忌をセットで覚えましょう。
一目で比較!:
| 項目 | 緑内障患者への指示 | 根拠 |
|---|
| 点眼後 | 涙嚢部圧迫 | 全身吸収防止 |
| 環境 | 明るい部屋 | 瞳孔散大防止 |
| 運動 | 適度な運動 | 眼圧上昇防止 |
| 水分 | 少量ずつ | 眼圧急上昇防止 |
| 点眼薬 | 縮瞳薬など | 散瞳薬は禁忌 |
看護過程ポイント: アセスメントでは眼圧測定値(正常
10~21mmHg)と視野検査結果を確認。看護診断としては「
眼圧上昇のリスク状態」「
治療計画の自己管理不足」が優先されます。計画では点眼手技の指導と遵守状況の確認、環境調整の指導が重要です。
暗記のコツ: 「
緑内障の3つの禁止:①暗い部屋(×)、②どか飲み(×)、③どきどき運動(×)」と「
1つの必須:点眼後の涙嚢部圧迫(〇)」で覚えましょう。「暗い」「大量の水」「激しい運動」は全て眼圧を上げます。
国試頻出ポイント: 緑内障は「点眼後の涙嚢部圧迫」「散瞳薬禁忌」「水分制限の指導」が頻出です。また、白内障との鑑別(白内障は水晶体の混濁で視力低下、緑内障は眼圧上昇による視野欠損)もよく問われます。
出題パターン注意!: 単純な○×問題から、事例問題「緑内障治療中の患者が夜間に眼痛と頭痛を訴えた。考えられる原因と看護師の対応は?」へ発展します。急性緑内障発作の初期対応(医師への報告、眼圧測定、縮瞳薬の点眼準備)も併せて学習しておきましょう。