核心解説
この問題は、
白内障 (Cataract) 術後の患者指導に関する正しい知識を問うています。白内障手術は、濁った水晶体を摘出し、眼内レンズ(IOL)を挿入する手術です。術後は創部の離開、感染、眼圧上昇などのリスクがあり、看護師は患者がこれらの合併症を予防するための適切なセルフケアを理解できるよう指導する必要があります。特に、創部が完全に治癒するまでの間は、物理的な刺激や汚染を避けることが最優先事項です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は①番の「手術した眼を強くこすらないよう指導する」です。
最重要! 白内障手術では、角膜(Cornea)に小さな切開創が作られます。この創部は術後数週間かけて自然に閉鎖・治癒しますが、手術した眼を強くこすったり圧迫したりすると、創部が離開したり、眼内レンズがずれたり、眼内に細菌が侵入して
眼内炎 (Endophthalmitis) という重篤な感染症を引き起こすリスクがあります。そのため、患者には「絶対に眼をこすらない」こと、そして「くしゃみや咳をする際も眼を押さえない」ことを徹底的に指導する必要があります。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
②番:点眼薬は自己判断で中止してはなりません。術後は
感染予防のための抗生物質点眼薬 や
炎症を抑えるステロイド点眼薬、
眼圧上昇を防ぐ薬 などが処方されます。これらは医師の指示通りに継続する必要があり、自己判断で中止すると感染や炎症の再燃、眼圧上昇を招く危険があります。
③番:眼帯(アイパッチ)は、手術当日や翌日など、医師の指示がある場合にのみ装着します。また、睡眠中の無意識の摩擦から眼を保護する目的で就寝時のみ装着することが一般的です。「常時装着」は視野を狭め、転倒リスクを高めるため、適切な指導ではありません。
④番:洗顔は、創部への水の侵入を防ぐため、術後
1週間程度は控えるよう指導します。顔を洗う代わりに、濡らしたタオルで拭く方法を指導します。
⑤番:術後すぐに遠くのものが見えるようになるとは限りません。術中に使用した麻酔薬や散瞳薬の影響で、当日はまだ見え方が安定しません。また、
術後炎症によるむくみや、新しい眼内レンズに眼が慣れるまでには時間がかかるため、視力は徐々に回復していくことを説明する必要があります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
白内障術後の主な合併症として、
後発白内障 (After Cataract)(水晶体嚢の混濁)、眼圧上昇(緑内障発作)、網膜剥離(Retinal Detachment)、眼内炎があります。これらの予防と早期発見のために、術後は定期的な通院と点眼の継続が不可欠です。また、転倒予防の観点から、術後の視力状態に応じた環境調整(段差をなくす、手すりを使用するなど)の指導も重要です。
概念整理: 白内障術後看護の核心は、
創部保護と
感染予防です。具体的には「眼をこすらない」「点眼を継続する」「洗顔・入浴を控える」「決められた通院を守る」の4点が柱となります。
一目で比較!:
| 処置 | 術後早期(1週間程度) | 術後安定期(1ヶ月以降) |
|---|
| 洗顔 | 禁止(タオル拭き) | 許可 |
| 眼帯 | 医師指示/就寝時のみ | 基本的に不要 |
| 点眼 | 指示通り継続(自己判断中止禁止) | 医師の指示に従い漸減・終了 |
| 運動 | 激しい運動・重労働禁止 | 徐々に再開可能 |
看護過程ポイント:
アセスメントでは、術後の眼痛、視力状態、眼脂の有無、眼瞼の発赤や腫脹を観察します。特に
「眼痛が急に強くなった」「視力が急に低下した」「眼の前にかすみや影が見える」 は合併症のサインです。
看護診断としては「術後創傷治癒遅延リスク状態」「感染リスク状態」「転倒リスク状態」「知識不足(セルフケアに関する)」が挙げられます。
暗記のコツ: 「白内障術後は『3つの禁止』:
こすらない・自己判断で点眼をやめない・洗顔しない」と覚えましょう。これで基本は押さえられます。
国試頻出ポイント: 白内障術後指導は頻出分野です。特に「眼をこする」「点眼の継続」「洗顔・入浴の制限」の可否は必ず問われます。また、緑内障(Glaucoma)や網膜剥離との術後指導の違いも比較して問われることがあります。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加え、「白内障術後の患者が帰宅後、眼を強くこすってしまった。看護師としてまず何を確認すべきか」といった状況設定問題(事例問題)で、合併症の初期症状を問う形式が増えています。