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感覚機能障害のある患者の看護
平衡感覚障害のアセスメントで、患者の歩行状態を観察する際に最も注意すべき点はどれか。
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1
歩行のリズムの規則性
-
2
歩行時の開眼と閉眼による違い
✓ 正解
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3
靴の種類と摩耗状態
-
4
歩行時の腕の振りの大きさ
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5
歩行速度の速さ
解説
平衡感覚障害のアセスメントでは、開眼時と閉眼時での歩行の違いが重要である。特にロンベルグ徴候のように、閉眼で動揺が増強する場合は脊髄性運動失調や前庭性障害が疑われる。歩行速度や腕の振りだけでは平衡機能の評価として不十分である。
同じテーマの次の問題視覚障害のある患者のアセスメントで、患者の安全を確保するために最初に行うべきことはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、平衡感覚障害 (Equilibrium Disorder / Balance Disorder) のアセスメントにおける歩行観察の優先ポイントを問うています。平衡機能を評価する際、視覚、前庭感覚、固有感覚の統合が重要であり、特に 視覚入力が遮断された状態(閉眼)で平衡がどのように変化するか を観察することが、障害の原因部位(脊髄後索、前庭系、小脳)を鑑別する鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 平衡感覚障害のアセスメントでは、開眼時と閉眼時での歩行や立位保持の違い を観察することが最も重要です。特に ロンベルグ試験 (Romberg Test) では、閉眼によって動揺が著明に増強する場合、脊髄性運動失調 (Spinal Ataxia) や 前庭性障害 (Vestibular Disorder) が疑われます。一方、小脳性運動失調 (Cerebellar Ataxia) では開眼・閉眼に関わらず動揺が認められます。このように、視覚代償の有無を評価することが病態鑑別に直結します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① 混同注意! 歩行のリズムの規則性は、パーキンソン病 (Parkinson's Disease) などの 錐体外路障害 (Extrapyramidal Disorder) の評価には有用ですが、平衡感覚障害のアセスメントとして最優先ではありません。
② 正解。平衡機能評価の基本です。
③ 靴の種類と摩耗状態は、歩行パターンの習慣的な偏り(内反尖足など)を知る手がかりにはなりますが、平衡感覚障害の直接的なアセスメントにはなりません。
④ 歩行時の腕の振りの大きさは、混同注意! パーキンソン病でみられる「腕振り減少 (Decreased Arm Swing)」の評価には使えますが、平衡感覚障害の優先観察項目ではありません。
⑤ 歩行速度の速さは、筋力低下や易疲労性、呼吸器疾患の影響を受けやすく、平衡感覚障害の特異的な指標とはなりません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
平衡感覚障害のアセスメントでは、以下の3つの病態を鑑別します。
| 病態 | 特徴 | ロンベルグ試験 |
|---|
| 脊髄性運動失調 (Spinal Ataxia) | 固有感覚障害 (深部感覚障害) | 閉眼で動揺増強(陽性) |
| 前庭性障害 (Vestibular Disorder) | めまい、眼振 | 閉眼で動揺増強(陽性) |
| 小脳性運動失調 (Cerebellar Ataxia) | 協調運動障害、測定障害 | 開眼でも閉眼でも動揺(陰性) |
概念整理: 平衡感覚は 視覚 (Vision)、前庭感覚 (Vestibular Sense)、固有感覚 (Proprioception) の3つの入力が統合されて成り立つ。視覚遮断(閉眼)により代償が働かなくなるため、障害の有無が顕在化する。
一目で比較!: ロンベルグ試験陽性(閉眼で動揺増強) vs 陰性(開眼でも閉眼でも動揺)。陽性なら脊髄性・前庭性、陰性なら小脳性を疑う。
看護過程ポイント: アセスメント:ロンベルグ試験、歩行観察(開眼・閉眼での変化)、めまい・眼振の有無。看護診断:転倒リスク状態、身体可動性障害。介入:転倒予防(歩行補助具、環境整備)、安全な移動介助。
暗記のコツ: 「ロンベルグは閉眼で陽性」→「ロン・閉・陽」と覚えましょう!
国試頻出ポイント: 事例問題で「患者が閉眼でふらつく」という所見から、どの神経系の障害かを問う問題が頻出。平衡機能の評価方法(ロンベルグ試験、マン試験、片足立ち)と異常所見の解釈は確実に押さえること。
出題パターン注意!: 「高齢の患者が歩行時にふらつく」という状況で、「看護師が行うべきアセスメントとして適切なのはどれか」と発展。単なる知識問題から、臨床判断を問う事例問題への応用が可能。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
80代女性、変形性膝関節症 (Knee Osteoarthritis) と糖尿病性神経障害 (Diabetic Neuropathy) で通院中。夜間にトイレに行く際に転倒し、左大腿骨頸部骨折 (Femoral Neck Fracture) で入院。術後、歩行訓練を開始するにあたり、看護師が平衡感覚のアセスメントを実施します。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察まずは患者のベッドサイドで、開眼時の立位保持と、閉眼時の変化を観察します(ロンベルグ試験の実施)。次に、歩行器を使用しての歩行を、開眼時と閉眼時(安全に配慮し、閉眼はごく短時間、手を添えて)で観察します。
- 2アセスメント閉眼で動揺が増強する場合、固有感覚障害や前庭機能低下が疑われます。また、患者の内服薬(降圧薬、睡眠薬など)によるふらつきの影響も評価します。
- 3報告と介入SBAR(Situation-Background-Assessment-Recommendation)を用いて医師・理学療法士に報告。例:「夜間のトイレ歩行時にふらつきが強く、閉眼で著明に増強します(Assessment)。転倒リスクが高いため、夜間のポータブルトイレ導入と歩行補助具の見直しを提案します(Recommendation)。」
- 4患者安全転倒・転落リスクが高いため、評価中は必ず手を添え、ベッドや壁を背にして行う。閉眼時の評価は転倒リスクが特に高いため、短時間かつ安全な環境で実施。
看護プロトコル: 観察項目:開眼・閉眼での立位保持時間、歩行時の動揺幅、歩隔の広さ、方向転換時のふらつき。記録:ロンベルグ試験の結果(陽性・陰性)、歩行状態の具体的記述(例:「閉眼で体幹が左に傾く」)。
先輩看護師の一言: 「平衡感覚の評価は、転倒予防の第一歩です!特に『開眼で大丈夫だから安心』と思っている患者さんほど、閉眼で急に倒れそうになることがあります。安全第一で、必ず手を添えて評価しましょう。国試では『なぜ閉眼が重要なのか』を病態と結びつけて覚えてくださいね!」
- ロンベルグ試験 (Romberg Test) — 閉脚立位で開眼時と閉眼時の体幹動揺を比較する神経学的検査。閉眼で動揺が増強する場合(陽性)は脊髄性運動失調や前庭性障害を示唆する。
- 平衡感覚 (Equilibrium Sense / Balance) — 視覚、前庭感覚、固有感覚(深部感覚)の3つの入力が統合されて維持される身体の位置と傾きの感覚。
- 脊髄性運動失調 (Spinal Ataxia) — 脊髄後索(固有感覚伝導路)の障害により、深部感覚が障害されることで生じる運動失調。閉眼で増強するのが特徴。
- 前庭性障害 (Vestibular Disorder) — 内耳の前庭器官(三半規管、耳石器)の障害による平衡障害。回転性めまい、眼振、閉眼での動揺増強が特徴。
- 小脳性運動失調 (Cerebellar Ataxia) — 小脳の障害による協調運動障害。開眼・閉眼に関わらず動揺がみられ、測定障害、変換運動障害、歩行時の酩酊歩行が特徴。
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