核心解説
この問題は、
嗅覚障害 (Olfactory Dysfunction)のアセスメントに用いられる検査法を問うています。嗅覚障害は、上気道感染や頭部外傷、鼻腔疾患(慢性副鼻腔炎など)、加齢、あるいは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の後遺症としても注目されています。看護師は、患者の訴え(匂いがわからない、味がしない)を的確にアセスメントし、適切な検査へとつなげる役割があります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ④番の
T&Tオルファクトメーター (T&T Olfactometer)は、嗅覚障害の客観的評価に用いられる標準的な嗅覚検査です。5種類の基準臭(A: バラの花、B: 焦げたにおい、C: 汗くさいにおい、D: 果実のにおい、E: 糞便臭)を用いて、嗅覚閾値(においを感知できる最小濃度)を測定します。これにより、患者の嗅覚がどの程度低下しているかを数値化し、治療経過の評価にも使用されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番の
石原式検査表 (Ishihara Color Vision Test)は
色覚検査で、色の識別能力を評価するために使用されます。②番の
アムスラーチャート (Amsler Grid)は
視野検査の一種で、主に加齢黄斑変性などの黄斑部疾患のスクリーニングに用います。③番の
リンネ試験 (Rinne Test)と⑤番の
ウェーバー試験 (Weber Test)は、どちらも
聴覚検査(伝音性難聴と感音性難聴の鑑別)に用いられる音叉を用いた検査です。これらはすべて異なる感覚器(視覚、聴覚)の検査であり、嗅覚とは無関係です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
嗅覚検査には、T&Tオルファクトメーター以外にも、簡便な
スティック型嗅覚検査や、より詳細な評価が可能な
静電容積オルファクトメーターなどがあります。また、嗅覚障害は味覚障害(味覚障害)と密接に関連するため、患者が「味がしない」と訴える場合も、嗅覚障害の可能性を考慮する必要があります。嗅覚障害の原因としては、鼻疾患による
呼吸性嗅覚障害、嗅粘膜障害による
嗅粘膜性嗅覚障害、嗅神経障害による
嗅神経性嗅覚障害があります。
概念整理: 嗅覚障害のアセスメントには、自覚的症状(患者の訴え)と他覚的検査(T&Tオルファクトメーターなど)の両方が重要です。看護師は、患者の嗅覚障害の程度を客観的に評価するための検査の種類を理解しておく必要があります。
一目で比較!:
| 検査名 | 評価する感覚 | 主な用途 |
|---|
| T&Tオルファクトメーター | 嗅覚 | 嗅覚閾値の測定(嗅覚障害の評価) |
| 石原式検査表 | 視覚(色覚) | 色覚異常のスクリーニング |
| アムスラーチャート | 視覚(中心視野) | 黄斑部疾患のスクリーニング |
| リンネ試験 | 聴覚 | 伝音性難聴と感音性難聴の鑑別 |
| ウェーバー試験 | 聴覚 | 一側性難聴の患側決定 |
暗記のコツ: 「オルファクト」は「嗅覚」を意味するラテン語「olfactus」に由来します。試験では「オルファクトメーター=嗅覚検査」と直結させて覚えましょう。「石原式=色覚」「アムスラー=視野」「リンネとウェーバー=音叉=聴覚」とセットで暗記すると混乱しません。
国試頻出ポイント: 看護師国家試験では、各感覚器の検査法を混同させる問題が頻出です。特に「嗅覚」「聴覚」「視覚」の検査をセットで整理して覚えることが重要です。また、COVID-19関連の後遺症としての嗅覚障害に関する問題も今後出題が予想されます。