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内分泌機能障害のある患者の看護
先端巨大症(acromegaly)で経蝶形骨洞手術(TSS)を受けた45歳男性。術後2日目、看護師が行う観察項目として優先度が高いのはどれか。
-
1
尿量と尿比重の測定
✓ 正解
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2
関節痛の有無の確認
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3
体毛の状態の観察
-
4
血糖値の測定
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5
手指の腫脹の程度
解説
経蝶形骨洞手術後は、下垂体後葉の損傷による尿崩症(尿量増加、低比重尿)が最も注意すべき合併症である。術後早期の尿量と尿比重のモニタリングは、尿崩症の早期発見と治療に直結するため、優先度が最も高い。
同じテーマの次の問題1型糖尿病でインスリン療法中の30歳女性。仕事は営業職で外食が多い。血糖コントロール不良のため教育入院となった。看護師が食事療法の指導を行う際の対応で適切なのはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、先端巨大症 (Acromegaly) に対する 経蝶形骨洞手術 (Transsphenoidal Surgery, TSS) の術後看護における観察の優先順位を問うています。TSSは下垂体腺腫摘出のためのアプローチであり、術後最も注意すべき合併症は 下垂体後葉機能低下による尿崩症 (Diabetes Insipidus, DI) です。手術操作による下垂体茎の牽引や損傷、または下垂体後葉への血流障害により、抗利尿ホルモン (ADH/バソプレシン) の分泌が低下し、尿崩症が発症します。したがって、術後早期に尿量と尿比重のモニタリングを行うことは、尿崩症の早期発見と治療開始に直結するため、優先度が最も高い観察項目となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! TSS術後は、尿崩症 (Diabetes Insipidus) の発症が頻度の高い重大な合併症です。尿崩症の臨床的特徴は、多尿(1日尿量3000mL以上、時に5000~10000mL) と 低比重尿(尿比重1.005以下、または尿浸透圧300mOsm/kg以下) です。術後は1時間ごとの尿量測定と、必要に応じて尿比重や尿浸透圧を確認します。早期発見により、抗利尿ホルモン補充療法(デスモプレシン酢酸塩水和物: DDAVP)の適切な投与が可能となり、電解質異常や脱水を予防できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ②番の関節痛は先端巨大症の症状の一つですが、術後急性期の観察優先度は低く、慢性期のフォローアップで評価します。③番の体毛の状態も同様に長期的な改善を評価する項目です。④番の血糖値は、成長ホルモン (GH) がインスリン拮抗作用を持つため高血糖を認めることがありますが、TSS術後急性期では尿崩症のモニタリングほど緊急性は高くありません。⑤番の手指の腫脹も術前の身体所見であり、術後早期の改善を評価する優先度は低いです。
⚠️ これらの誤答分析は選択肢UI用の短いコメントではなく、学習用の詳細解説として(qn_ai_explain)内に記述しています。
関連概念の整理 (Related Concepts)
TSS術後には、尿崩症の他に以下の合併症にも注意が必要です。
- 髄液漏 (Cerebrospinal Fluid Leak, CSF Leak): 術中に硬膜を損傷した場合に発生。鼻漏(サトウ糖反応陽性の水様性鼻汁)や頭痛、髄膜炎の徴候を観察します。
- 下垂体前葉機能低下症 (Hypopituitarism): ACTH、TSH、LH/FSHなどのホルモン分泌低下。術後はコルチゾール補充が必要となることが多いです。
- 電解質異常 (Electrolyte Imbalance): 特に尿崩症に伴う高ナトリウム血症 (Hypernatremia) に注意。経過中にADH分泌が一過性に回復し、その後再び低下する三相反応 (Triphasic Response) を呈することもあります。
概念整理: TSS術後合併症の観察優先順位:①尿崩症(ADH分泌低下)→ ②髄液漏(硬膜損傷)→ ③前葉機能低下症(ホルモン補充要否)→ ④電解質異常(高Na血症)。尿崩症は頻度が高く、急激な水分喪失をきたすため最優先です。
一目で比較!: | 合併症 | 主要所見 | 観察ポイント |
|---|
| 尿崩症 (DI) | 多尿・低比重尿・口渇 | 1時間尿量、尿比重、血清Na、口渇感 |
| 髄液漏 (CSF Leak) | 水様性鼻汁・頭痛 | 鼻漏の性状(サトウ糖反応)、髄膜刺激症状 |
| 前葉機能低下症 | 倦怠感・低血圧・低血糖 | コルチゾール、TSH、電解質、バイタルサイン |
看護過程ポイント: アセスメント:術後バイタルサイン(特に血圧、脈拍)、意識レベル、1時間尿量と尿比重、血清電解質(Na, K)、口渇・喉の渇きの訴え。 看護診断:尿崩症に関連する体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)。 計画:尿量・尿比重の定時モニタリング、医師への報告基準(尿量>200mL/h または 尿比重<1.005)の設定、水分出納バランスの正確な記録。 実施:指示された抗利尿ホルモン(DDAVP)の正確な投与、必要時の水分補給。 評価:尿量の減少、尿比重の上昇、血清Na値の正常化、脱水徴候の改善。
暗記のコツ: 「TSS術後は、水(尿)が出すぎる(多尿)か、水(髄液)が漏れ出す(鼻漏)かに注意!まずは『尿』をチェック!」
国試頻出ポイント: TSS術後の尿崩症は、看護師国家試験で繰り返し出題される必須知識です。具体的な数値(尿量>200mL/h、尿比重<1.005)や、デスモプレシン(DDAVP)の薬理作用と投与方法(経鼻・経口・注射)と併せて覚えましょう。
出題パターン注意!: 単純な「術後の観察項目」を問う問題から、「術後2日目に尿量が急増、口渇が強い。看護師の対応として適切なのはどれか」といった状況設定問題へと発展します。検査値(血清Na 150mEq/Lなど)と組み合わせた出題にも対応できるようにしておきましょう。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)45歳男性、先端巨大症に対しTSSを施行。術後2日目、朝のバイタルサインは血圧98/60mmHg、脈拍92bpm、体温36.8℃。意識清明ですが「のどがとても渇く」と頻回に訴えています。夜間の尿量は3時間で1200mLでした。看護師として、まず何を確認すべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察 (Observation)指示された1時間尿量測定の結果を確認。尿量が>200mL/h 継続しているか確認。同時に尿比重を測定(<1.005 なら尿崩症強く疑う)。血清Na値を確認(正常135-145mEq/L、高値は脱水のサイン)。
- 2アセスメント (Assessment)尿崩症の発症を強く疑う。多尿による体液量減少(低血圧、頻脈)の徴候が出現している。
- 3報告 (Report - SBAR)Situation: 「TSS術後2日目の患者さん。夜間から多尿が続き、口渇が強いです。」Background: 「先端巨大症でTSS術後2日目。尿量は直近3時間で1200mL、尿比重1.002です。」Assessment: 「尿崩症を疑っています。低血圧と頻脈を認め、脱水のリスクがあります。」Recommendation: 「尿崩症の診断と治療(DDAVP投与)について、至急指示を仰ぎたいです。また、輸液の指示を確認したいです。」
- 4介入 (Intervention)医師の指示に基づき、DDAVP(デスモプレシン)を投与。輸液ルートの確保と指示された輸液(例:乳酸リンゲル液)の投与。尿量とバイタルサインの頻回モニタリング継続。
- 5評価 (Evaluation)DDAVP投与後2時間以内に尿量減少(100mL/h未満)と尿比重上昇(>1.010)を確認。血清Na値と血圧の安定化を確認。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)最重要! 尿崩症による過剰な水分喪失は、急激な高ナトリウム血症(血清Na>160mEq/L)を引き起こし、意識障害や痙攣、脳損傷のリスクがあります。また、輸液の過剰投与は低ナトリウム血症を招く可能性があるため、水分出納バランスの厳密な管理が必要です。DDAVP投与後は、水利尿が抑制されるため、輸液量を適宜調整しなければなりません(医師と相談)。 看護プロトコル: 観察項目:1時間尿量、尿比重(または尿浸透圧)、血清Na、血圧、脈拍、口渇感、意識レベル。報告基準:尿量>200mL/h または 尿比重<1.005 が2時間以上継続、血清Na>148mEq/L、血圧低下(収縮期血圧<90mmHg)。記録のポイント:1時間ごとの尿量と尿比重、水分出納バランス(摂取量と尿量)、DDAVP投与時刻と投与後の尿量変化、口渇・全身状態の経過。家族への説明の留意点:「手術後、一時的に尿量が増えることがあります。これは治療でコントロールできますので、看護師が頻回に確認します。」
先輩看護師の一言: 「TSS術後の患者さんは、『のどが渇いた』と訴えたら、まず尿量をチェック!このサインを見逃さないことが、重大な合併症を防ぐ第一歩です。尿量測定の手間を惜しまず、正確なモニタリングを徹底しましょう。国試の知識が、そのまま患者さんの安全に直結する分野ですよ!」
- 尿崩症 (Diabetes Insipidus) — 抗利尿ホルモン(ADH)の分泌低下または作用不全により、多尿と口渇をきたす疾患。TSS術後合併症として頻発。
- 経蝶形骨洞手術 (Transsphenoidal Surgery) — 鼻腔内から蝶形骨洞を通り、下垂体に到達する低侵襲手術。下垂体腺腫摘出に標準的に用いられる。
- 抗利尿ホルモン (ADH / Vasopressin) — 下垂体後葉から分泌され、腎臓の集合管での水再吸収を促進するホルモン。欠乏すると尿崩症を発症する。
- 尿比重 (Urine Specific Gravity) — 尿の濃縮度を示す指標。正常範囲は1.010~1.025。尿崩症では1.005以下の低比重尿となる。
- デスモプレシン (Desmopressin / DDAVP) — 合成ADHアナログ。尿崩症の治療に用いられ、尿量減少と尿濃縮効果を示す。
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