核心解説
この問題は、
主観的包括的評価 (Subjective Global Assessment, SGA) の評価項目を問うています。SGAは、栄養状態を評価するための簡便なベッドサイドツールであり、血液検査値に依存しない点が最大の特徴です。患者の病歴(体重変化、食事摂取量、消化器症状、身体機能)と身体所見(皮下脂肪減少、筋肉消耗、浮腫、腹水)を総合的に評価します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! ⑤番の「体重変化、食事摂取量、消化器症状、身体所見」は、SGAの主要な評価項目そのものです。SGAは「主観的」という名称ですが、実際には病歴と身体診察に基づく半客観的な評価法であり、
血液生化学検査(アルブミンやリンパ球数)は含まれないことをしっかり押さえておきましょう。このため、医療資源が限られた環境や、検査結果を待たずに迅速に栄養状態を判定したい場面で広く活用されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
①番「心理社会的ストレスのみ」:SGAでは病歴の一部として身体機能や活動状況を評価しますが、心理社会的ストレス単独では評価しません。
②番「肝機能と腎機能の検査値」:SGAは血液検査値を用いません。これはMNA(Mini Nutritional Assessment)やNRS-2002などの他の栄養スクリーニングツールと混同しやすいポイントです。
③番「血清アルブミン値と総リンパ球数のみ」:これらは従来栄養評価に用いられてきた血液マーカーですが、SGAでは評価しません。アルブミンは半減期が長く(約20日)、急性の栄養変化を反映しにくいためです。
④番「骨密度と体脂肪率」:骨密度はDEXA法、体脂肪率は生体電気インピーダンス法などで評価しますが、SGAの評価項目ではありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
SGAと類似の栄養スクリーニングツールとして、MNA(高齢者向け)、NRS-2002(入院患者向け)、MUST(地域在住者向け)があります。これらは血液検査を含むものと含まないものがあり、目的や対象に応じて使い分けられます。特に国試では「SGA = 身体所見と病歴のみ」という定義が頻出です。
概念整理: SGAは、体重変化(6ヶ月前と現在、および過去2週間の変化)、食事摂取量(変化の有無)、消化器症状(悪心、嘔吐、下痢、食欲不振が2週間以上続くか)、身体機能(活動性の変化)、身体所見(皮下脂肪減少、筋肉消耗、膝窩浮腫、腹水)を評価します。
一目で比較!:
| 評価ツール | 血液検査 | 主な評価項目 |
|---|
| SGA | 含まない | 病歴 + 身体所見 |
| NRS-2002 | 含む場合あり | BMI、体重減少率、食事摂取量、疾患重症度 |
| MNA | 含む(アルブミン) | BMI、体重減少、食事摂取、心理状態、生活環境 |
看護過程ポイント: 看護師は入院時にSGAを用いて栄養状態をスクリーニングし、低栄養リスクが高い患者(SGA B or C)を早期に発見します。その後、管理栄養士と連携し、栄養補給計画(経腸栄養・静脈栄養)を立案します。
暗記のコツ: SGAの「S」はSubjective(主観的)ですが、評価項目は「体重変化(Weight)・食事(Diet)・消化器(GI)・身体機能(Function)・身体所見(Physical Exam)」と覚えましょう。頭文字を取って「W・D・G・F・P」とすると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 看護師国家試験では、「SGAで評価しないものはどれか」という逆転問題や、「血液検査値の異常がなくてもSGAで低栄養と判定される例」が出題されます。特に、アルブミン値が正常でも、急速な体重減少と食欲不振があればSGAで低栄養と評価される点が重要です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、「事例:胃がん術後患者、体重が1ヶ月で5kg減少、食事量は半分以下、軽度の下痢あり。この患者の栄養評価に適したツールはどれか」といった状況設定問題に発展します。