核心解説
この問題は、
栄養状態 (Nutritional Status) のスクリーニングに用いられる指標についての基本的な知識を問うています。栄養スクリーニングは、栄養障害のリスクがある患者を早期に発見し、適切な栄養介入につなげるための重要なプロセスです。ここでは、各指標が栄養評価において何を反映しているのか、その本質を理解することが求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番「血清クレアチニン値 (Serum Creatinine Level)」です。
血清クレアチニン値 (Serum Creatinine) は、筋肉内のクレアチンリン酸の代謝産物であり、主に腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されます。そのため、
腎機能 (Renal Function) の指標として広く用いられ、値が上昇すると腎機能低下を示唆します。栄養状態のスクリーニングにおいては、筋肉量の指標として
血清アルブミン値 (Serum Albumin) や
上腕筋囲 (Arm Muscle Circumference; AMC) などが用いられることはありますが、血清クレアチニン値は腎機能評価が主目的であり、栄養スクリーニングの直接的な指標として適切ではありません。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
Body Mass Index (BMI):体重(kg) ÷ 身長(m)² で算出され、
低体重 (18.5未満) や肥満 (25以上) のスクリーニングに必須の指標です。栄養状態の評価に適切なため、誤りです。
②
血清総コレステロール値 (Serum Total Cholesterol):脂質栄養状態の指標の一つです。低栄養状態では低下する傾向があり、
エネルギー不足や脂質代謝異常のスクリーニングに用いられます。適切な指標のため、誤りです。
④
血清アルブミン値 (Serum Albumin):
最重要! 肝臓で合成される主要な血漿タンパク質で、
栄養状態 (特にタンパク質栄養) の重要な指標です。低値は低栄養、肝機能障害、ネフローゼ症候群などを示唆します。栄養スクリーニングに適切なため、誤りです。
⑤
上腕三頭筋皮下脂肪厚 (Triceps Skinfold Thickness; TSF):皮下脂肪の厚さを測定し、
体脂肪量 (Body Fat Mass) を評価する指標です。エネルギー備蓄量の評価に用いられ、栄養状態のスクリーニングに適切なため、誤りです。
概念整理: 栄養スクリーニングの主要指標は、
体重減少率 (Weight Loss Rate)、
BMI、
血清アルブミン値、
血清総コレステロール値、
上腕三頭筋皮下脂肪厚 (TSF)、
上腕筋囲 (AMC) などです。これらは「体格」「タンパク質栄養」「脂質栄養」「体組成」の各側面を評価します。一方、
混同注意! 血清クレアチニン値 は腎機能の指標であり、
血清尿素窒素 (Blood Urea Nitrogen; BUN) と併せて腎機能評価に用います。ただし、長期的な低栄養による筋肉量減少で血清クレアチニン値が低下することもあるため、間接的な関連はありますが、スクリーニングの第一選択ではありません。
一目で比較!:
| 指標 | 評価項目 | 栄養評価での意義 |
|---|
| BMI | 体格指数 | 低体重/肥満のスクリーニング |
| 血清アルブミン | タンパク質栄養 | 内臓タンパク質貯蔵量の反映 (低栄養で低下) |
| 血清総コレステロール | 脂質栄養 | エネルギー摂取不足で低下 |
| TSF | 体脂肪量 | エネルギー備蓄量の評価 |
| 血清クレアチニン | 腎機能 | 栄養スクリーニングには不適切 (腎機能評価) |
看護過程ポイント:
アセスメント:栄養状態のスクリーニングでは、
体重測定 (Measurement of Body Weight) と
食事摂取量の確認 (Assessment of Dietary Intake) が基本です。BMIや血清アルブミン値と併せて、患者の1ヶ月~6ヶ月の体重減少率を計算します。例えば、
6ヶ月で10%以上の体重減少は重症栄養障害のサインです。
看護診断:スクリーニング結果に基づき、「栄養摂取量不足 (Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)」や「嚥下障害 (Impaired Swallowing)」などの診断を検討します。
暗記のコツ: 「栄養スクリーニングの指標」と「腎機能の指標」を混同しないためのゴロ合わせ:
-
栄養スクリーニング:
「アブちゃんBMIでコレステロール、TSFで筋肉囲」 →
アルブミン (Albumin)、
BMI、
コレステロール (Cholesterol)、
TSF、
AMC (上腕筋囲)
-
腎機能の指標:
「クレアチニンとBUNは腎臓」 →
血清クレアチニン (Cr)、
BUN
国試頻出ポイント: 看護師国家試験では、栄養状態のスクリーニング指標と、各指標が何を反映するか(体格か、タンパク質か、脂質か)を問う問題が頻出です。特に、
混同注意! 血清アルブミン値 (Albumin) と
血清クレアチニン値 (Creatinine) の役割の違いは必ず押さえてください。また、
BMI の計算式と基準値(低体重:18.5未満、普通体重:18.5~25未満、肥満:25以上)も頻出事項です。
出題パターン注意!: 単純な「栄養評価に用いられる指標はどれか」という知識問題から、事例問題に発展する場合があります。例えば「体重減少がみられるがん患者の栄養状態を評価するために、最初に確認すべき指標はどれか」といった形で、スクリーニングの優先順位を問う問題が出題されることもあります。その場合も、基本となるBMIや体重減少率をまず確認し、次に血清アルブミン値などの詳細評価へ進むという流れを理解しておきましょう。