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栄養代謝機能障害のある患者の看護
栄養状態のスクリーニングに用いられる指標として適切でないものはどれか。
1
Body Mass Index (BMI)
2
血清総コレステロール値
3
血清クレアチニン値
✓ 正解
4
血清アルブミン値
5
上腕三頭筋皮下脂肪厚 (TSF)
解説
血清クレアチニン値は腎機能の指標であり、栄養状態のスクリーニングには直接用いられない。BMI、血清総コレステロール値、上腕三頭筋皮下脂肪厚、血清アルブミン値はいずれも栄養状態の評価に用いられる指標である。
同じテーマの次の問題 栄養アセスメントの指標の1つである血清アルブミン値について正しい記述はどれか。 この問題が収録された問題集 成人看護学 KRW 12,900
核心解説
この問題は、栄養状態 (Nutritional Status) のスクリーニングに用いられる指標についての基本的な知識を問うています。栄養スクリーニングは、栄養障害のリスクがある患者を早期に発見し、適切な栄養介入につなげるための重要なプロセスです。ここでは、各指標が栄養評価において何を反映しているのか、その本質を理解することが求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番「血清クレアチニン値 (Serum Creatinine Level)」 です。
血清クレアチニン値 (Serum Creatinine) は、筋肉内のクレアチンリン酸の代謝産物であり、主に腎臓の糸球体で濾過されて尿中に排泄されます。そのため、腎機能 (Renal Function) の指標として広く用いられ、値が上昇すると腎機能低下を示唆します。栄養状態のスクリーニングにおいては、筋肉量の指標として 血清アルブミン値 (Serum Albumin) や 上腕筋囲 (Arm Muscle Circumference; AMC) などが用いられることはありますが、血清クレアチニン値は腎機能評価が主目的であり、栄養スクリーニングの直接的な指標として適切ではありません。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
① Body Mass Index (BMI) :体重(kg) ÷ 身長(m)² で算出され、低体重 (18.5未満) や肥満 (25以上) のスクリーニング に必須の指標です。栄養状態の評価に適切なため、誤りです。
② 血清総コレステロール値 (Serum Total Cholesterol) :脂質栄養状態の指標の一つです。低栄養状態では低下する傾向があり、エネルギー不足や脂質代謝異常 のスクリーニングに用いられます。適切な指標のため、誤りです。
④ 血清アルブミン値 (Serum Albumin) :最重要! 肝臓で合成される主要な血漿タンパク質で、栄養状態 (特にタンパク質栄養) の重要な指標 です。低値は低栄養、肝機能障害、ネフローゼ症候群などを示唆します。栄養スクリーニングに適切なため、誤りです。
⑤ 上腕三頭筋皮下脂肪厚 (Triceps Skinfold Thickness; TSF) :皮下脂肪の厚さを測定し、体脂肪量 (Body Fat Mass) を評価する指標です。エネルギー備蓄量の評価に用いられ、栄養状態のスクリーニングに適切なため、誤りです。
概念整理 : 栄養スクリーニングの主要指標は、体重減少率 (Weight Loss Rate) 、BMI 、血清アルブミン値 、血清総コレステロール値 、上腕三頭筋皮下脂肪厚 (TSF) 、上腕筋囲 (AMC) などです。これらは「体格」「タンパク質栄養」「脂質栄養」「体組成」の各側面を評価します。一方、混同注意! 血清クレアチニン値 は腎機能の指標であり、血清尿素窒素 (Blood Urea Nitrogen; BUN) と併せて腎機能評価に用います。ただし、長期的な低栄養による筋肉量減少で血清クレアチニン値が低下することもあるため、間接的な関連はありますが、スクリーニングの第一選択ではありません。
一目で比較! : 指標 評価項目 栄養評価での意義 BMI 体格指数 低体重/肥満のスクリーニング 血清アルブミン タンパク質栄養 内臓タンパク質貯蔵量の反映 (低栄養で低下) 血清総コレステロール 脂質栄養 エネルギー摂取不足で低下 TSF 体脂肪量 エネルギー備蓄量の評価 血清クレアチニン 腎機能 栄養スクリーニングには不適切 (腎機能評価)
看護過程ポイント : アセスメント :栄養状態のスクリーニングでは、体重測定 (Measurement of Body Weight) と 食事摂取量の確認 (Assessment of Dietary Intake) が基本です。BMIや血清アルブミン値と併せて、患者の1ヶ月~6ヶ月の体重減少率を計算します。例えば、6ヶ月で10%以上の体重減少 は重症栄養障害のサインです。看護診断 :スクリーニング結果に基づき、「栄養摂取量不足 (Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)」や「嚥下障害 (Impaired Swallowing)」などの診断を検討します。
暗記のコツ : 「栄養スクリーニングの指標」と「腎機能の指標」を混同しないためのゴロ合わせ:
- 栄養スクリーニング :「アブちゃんBMIでコレステロール、TSFで筋肉囲」 → アルブミン (Albumin) 、BMI 、コレステロール (Cholesterol) 、TSF 、AMC (上腕筋囲)
- 腎機能の指標 :「クレアチニンとBUNは腎臓」 → 血清クレアチニン (Cr) 、BUN
国試頻出ポイント : 看護師国家試験では、栄養状態のスクリーニング指標と、各指標が何を反映するか(体格か、タンパク質か、脂質か)を問う問題が頻出です。特に、混同注意! 血清アルブミン値 (Albumin) と 血清クレアチニン値 (Creatinine) の役割の違いは必ず押さえてください。また、BMI の計算式と基準値(低体重:18.5未満、普通体重:18.5~25未満、肥満:25以上)も頻出事項です。
出題パターン注意! : 単純な「栄養評価に用いられる指標はどれか」という知識問題から、事例問題に発展する場合があります。例えば「体重減少がみられるがん患者の栄養状態を評価するために、最初に確認すべき指標はどれか」といった形で、スクリーニングの優先順位を問う問題が出題されることもあります。その場合も、基本となるBMIや体重減少率をまず確認し、次に血清アルブミン値などの詳細評価へ進むという流れを理解しておきましょう。
臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) あなたは外科病棟の看護師です。70代女性、胃癌術後1週間の患者さんが、経口摂取が進まず体重が術前と比較して4kg減少(術前体重50kg、術後46kg)しています。ドクターから「栄養状態のスクリーニングをしてほしい」と依頼がありました。
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察 (Observation) :まず、患者さんの 体重 (Body Weight) 、BMI 、食事摂取量 (Dietary Intake) を確認します。術前からの体重減少率を計算します(4kg ÷ 50kg × 100 = 8%の減少)。この数値は、1ヶ月で5%以上、または6ヶ月で10%以上の体重減少 に該当し、栄養介入が必要なサインです。 2. アセスメント (Assessment) :スクリーニングの結果、栄養リスクが高いと判断した場合、より詳細な評価として 血清アルブミン値 (Serum Albumin) や 血清総コレステロール値 (Serum Total Cholesterol) のデータを確認します。また、嚥下機能 (Swallowing Function) や 食欲 (Appetite) 、腹痛の有無 (Presence of Abdominal Pain) もアセスメントします。 3. 報告 (Report) :SBAR (Situation-Background-Assessment-Recommendation) を用いて医師や管理栄養士に報告します。例:「S :胃癌術後1週目の患者さんが、経口摂取不良で体重減少が続いています。B :術前から4kg減少(8%減)、食事摂取量は3割程度です。A :栄養リスクが高いと判断し、スクリーニング結果を共有します。R :栄養サポートチーム (NST) への相談と、補助栄養剤の検討を提案します。」 4. 介入 (Intervention) :医師の指示のもと、経腸栄養剤の開始や、栄養補助食品 (Oral Nutritional Supplements) の提供を行います。また、患者の嗜好を考慮した食事の工夫や、少量頻回食の提案も行います。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 最重要! 栄養スクリーニングで使用する指標(特に 血清クレアチニン値 )を誤って解釈しないよう、各指標の正常値と異常値の意味 を正しく理解しておくことが医療安全につながります。 - 高齢者では、脱水や腎機能低下により 血清クレアチニン値 が低く見積もられることがあるため、推算糸球体濾過量 (eGFR) と併せて評価します。 - 経口摂取が困難な患者には、誤嚥性肺炎 (Aspiration Pneumonia) のリスクがあるため、嚥下評価 (Swallowing Assessment) を必ず行ってから経口摂取を再開します。
看護プロトコル : 栄養スクリーニングは入院時および週1回実施し、体重減少率、BMI、血清アルブミン値をルーチンでチェックします。記録には、スクリーニング日、各指標の数値、リスク評価(低リスク/中リスク/高リスク)、介入内容を記載します。
先輩看護師の一言 : 「栄養状態は患者さんの回復に直結するから、スクリーニングは本当に大切!『血清クレアチニン=腎機能』は絶対に忘れないでね。国試でも、この問題のように『適切でないもの』を選ばせる形で出ることが多いから、各指標の役割を整理して覚えておくと、現場でも即座にアセスメントできるようになるよ!」
栄養スクリーニング — 栄養障害のリスクがある患者を早期に発見するための簡便な評価法。体重減少率、BMI、血清アルブミン値などが用いられる。Body Mass Index — 体重(kg)を身長(m)の2乗で除した体格指数。低体重(18.5未満)、普通体重(18.5以上25未満)、肥満(25以上)に分類される。血清アルブミン値 — 肝臓で合成される血漿タンパク質の一種。栄養状態(特にタンパク質栄養)の指標であり、低値は低栄養、肝機能障害などを示唆する。血清クレアチニン値 — 筋肉の代謝産物で、腎臓の糸球体から濾過され尿中に排泄される。腎機能の指標であり、栄養スクリーニングの直接的な指標には適さない。上腕三頭筋皮下脂肪厚 — 皮下脂肪の厚さを測定し、体脂肪量を評価する指標。エネルギー備蓄量の評価に用いられる。
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