核心解説
この問題は、災害看護における
情報通信 (Information and Communication) の確保について、その基本的な考え方を問うています。災害時には、被災状況の把握、トリアージ、救護所間の連携、医療資源の調整など、あらゆる場面で正確かつ迅速な情報伝達が不可欠です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
災害時には、地震や停電、回線の輻輳(ふくそう)(通信の集中による混雑)などにより、特定の通信手段(固定電話や携帯電話)が使用不能になるリスクが常にあります。そのため、
衛星電話、MCA無線、業務用無線、アマチュア無線、インターネット(IP電話・メール)、災害時優先電話など、複数の通信手段を日常的に確保し、状況に応じて適切に使い分けられるように準備しておくことが、災害対策の基本原則です。これにより、情報の断絶を防ぎ、継続的な医療活動を支えることができます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番:「無線通信は専門知識が必要なため使用しない」は誤りです。確かに専門知識は必要ですが、
MCA無線や業務用無線は訓練すれば使用可能であり、災害時には重要なバックアップ手段です。使用しないのではなく、事前の訓練が重要です。
②番:「情報はすべて口頭で伝達する」は誤りです。口頭伝達は迅速ですが、記憶違いや伝達漏れ、誤解のリスクが高く、重要な情報は記録(記入様式・電子記録)と併用する必要があります。
③番:「一般のSNSは災害情報には使用すべきでない」は誤りです。近年では、
X(旧Twitter)などのSNSは、安否確認や被災情報の収集、救援要請などに有効に活用されており、行政や医療機関も情報発信に利用しています。ただし、情報の真偽確認(デマ・誤情報への注意)が必須です。
⑤番:「電話が使えれば情報通信は十分である」は誤りです。電話回線は輻輳や設備損傷で使用不能になるリスクが最も高く、複数の手段の確保が不可欠です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
災害時通信の確保は、災害対策基本法や地域防災計画に基づき、自治体や医療機関の責務として定められています。また、
EMIS(広域災害救急医療情報システム)やDMAT(災害派遣医療チーム)との連携においても、情報通信は生命線です。
概念整理: 災害時情報通信の確保は、
①複数手段の確保(電話・無線・インターネット)、
②事前の訓練と整備、
③情報の正確性担保(記録・複数確認)が三本柱です。
一目で比較!:
| 通信手段 | 長所 | 短所 |
|---|
| 固定電話 | 安定性が高い | 輻輳・断線リスク大 |
| 携帯電話 | 普及率が高い | 輻輳・基地局損傷リスク大 |
| 衛星電話 | 回線非依存で信頼性高い | 高額・専門知識が必要 |
| MCA無線 | 同時多人数通信可能 | 基地局設置・免許必要 |
| SNS | 広範囲に迅速な情報発信 | デマ・誤情報のリスク |
看護過程ポイント:
アセスメント:災害発生直後はまず現在使用可能な通信手段を確認。設備の損傷状況や通信事業者の障害情報も含める。
看護診断:「情報伝達困難リスク状態」「非効果的コミュニケーション」。
計画・実施:優先順位をつけて情報を収集・記録し、複数の手段で報告。トリアージタグや記入様式を活用。
評価:情報が正確に目的の相手に届いたか、タイムラグはなかったかを振り返る。
暗記のコツ: 「災害時の通信は『一本足打法』はダメ!『複数確保』が鉄則」と覚えましょう。「電話がダメでも、無線、SNS、衛星電話」のセットで記憶。
国試頻出ポイント: 災害看護の基本として、「複数の通信手段の確保」は頻出事項です。選択肢に「電話さえあれば大丈夫」「口頭だけで十分」「SNSは使わない」といった断定的な記述は、ほぼ誤りと判断して構いません。
出題パターン注意!: 「災害発生直後、病院の電話が不通になった。看護師として次にとるべき行動はどれか」といった具体的状況設定問題に発展します。備蓄していたMCA無線や衛星電話の使用手順、EMISへの報告手順なども併せて学習しておきましょう。