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診療に伴う技術
災害時における「情報通信」の確保に関する記述で適切なのはどれか。
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1
無線通信は専門知識が必要なため使用しない
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2
情報はすべて口頭で伝達する
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3
一般のSNSは災害情報には使用すべきでない
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4
複数の通信手段を確保しておくことが重要である
✓ 正解
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5
電話が使えれば情報通信は十分である
解説
災害時には電話回線の輻輳や停電、設備の損傷により特定の通信手段が使用できなくなる可能性がある。そのため、衛星電話、MCA無線、業務用無線、インターネットなど複数の通信手段を日頃から確保しておくことが重要である。口頭伝達のみでは情報が正確に伝わらないリスクがある。
同じテーマの次の問題災害発生時に看護師がトリアージタグを使用する目的として正しいものはどれか。この問題が収録された問題集看護師の基本となる基礎看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、災害看護における 情報通信 (Information and Communication) の確保について、その基本的な考え方を問うています。災害時には、被災状況の把握、トリアージ、救護所間の連携、医療資源の調整など、あらゆる場面で正確かつ迅速な情報伝達が不可欠です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
災害時には、地震や停電、回線の輻輳(ふくそう)(通信の集中による混雑)などにより、特定の通信手段(固定電話や携帯電話)が使用不能になるリスクが常にあります。そのため、衛星電話、MCA無線、業務用無線、アマチュア無線、インターネット(IP電話・メール)、災害時優先電話など、複数の通信手段を日常的に確保し、状況に応じて適切に使い分けられるように準備しておくことが、災害対策の基本原則です。これにより、情報の断絶を防ぎ、継続的な医療活動を支えることができます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番:「無線通信は専門知識が必要なため使用しない」は誤りです。確かに専門知識は必要ですが、MCA無線や業務用無線は訓練すれば使用可能であり、災害時には重要なバックアップ手段です。使用しないのではなく、事前の訓練が重要です。
②番:「情報はすべて口頭で伝達する」は誤りです。口頭伝達は迅速ですが、記憶違いや伝達漏れ、誤解のリスクが高く、重要な情報は記録(記入様式・電子記録)と併用する必要があります。
③番:「一般のSNSは災害情報には使用すべきでない」は誤りです。近年では、X(旧Twitter)などのSNSは、安否確認や被災情報の収集、救援要請などに有効に活用されており、行政や医療機関も情報発信に利用しています。ただし、情報の真偽確認(デマ・誤情報への注意)が必須です。
⑤番:「電話が使えれば情報通信は十分である」は誤りです。電話回線は輻輳や設備損傷で使用不能になるリスクが最も高く、複数の手段の確保が不可欠です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
災害時通信の確保は、災害対策基本法や地域防災計画に基づき、自治体や医療機関の責務として定められています。また、EMIS(広域災害救急医療情報システム)やDMAT(災害派遣医療チーム)との連携においても、情報通信は生命線です。
概念整理: 災害時情報通信の確保は、①複数手段の確保(電話・無線・インターネット)、②事前の訓練と整備、③情報の正確性担保(記録・複数確認)が三本柱です。
一目で比較!: | 通信手段 | 長所 | 短所 |
|---|
| 固定電話 | 安定性が高い | 輻輳・断線リスク大 |
| 携帯電話 | 普及率が高い | 輻輳・基地局損傷リスク大 |
| 衛星電話 | 回線非依存で信頼性高い | 高額・専門知識が必要 |
| MCA無線 | 同時多人数通信可能 | 基地局設置・免許必要 |
| SNS | 広範囲に迅速な情報発信 | デマ・誤情報のリスク |
看護過程ポイント: アセスメント:災害発生直後はまず現在使用可能な通信手段を確認。設備の損傷状況や通信事業者の障害情報も含める。看護診断:「情報伝達困難リスク状態」「非効果的コミュニケーション」。計画・実施:優先順位をつけて情報を収集・記録し、複数の手段で報告。トリアージタグや記入様式を活用。評価:情報が正確に目的の相手に届いたか、タイムラグはなかったかを振り返る。
暗記のコツ: 「災害時の通信は『一本足打法』はダメ!『複数確保』が鉄則」と覚えましょう。「電話がダメでも、無線、SNS、衛星電話」のセットで記憶。
国試頻出ポイント: 災害看護の基本として、「複数の通信手段の確保」は頻出事項です。選択肢に「電話さえあれば大丈夫」「口頭だけで十分」「SNSは使わない」といった断定的な記述は、ほぼ誤りと判断して構いません。
出題パターン注意!: 「災害発生直後、病院の電話が不通になった。看護師として次にとるべき行動はどれか」といった具体的状況設定問題に発展します。備蓄していたMCA無線や衛星電話の使用手順、EMISへの報告手順なども併せて学習しておきましょう。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): あなたは地域の中核病院に勤務する看護師です。大規模地震が発生し、病院の固定電話と携帯電話がすべて不通になりました。被災者(患者)が続々と搬送され始めています。医師から「本部と連絡を取りたいが、どうすれば良いか」と質問されました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): まず、病院の災害対策マニュアルを確認し、予め整備されている MCA無線や衛星電話の保管場所と使用手順を把握します。観察→アセスメント→報告→介入→評価の流れ:①観察:現在使用可能な通信機器の状態を確認。停電の有無も確認。②アセスメント:通信手段は複数あるか、緊急性の高い情報(トリアージ結果、手術室の空き状況、医療物資の不足)は何か。③報告:アセスメント結果を医師や災害対策本部に、優先順位をつけて簡潔に報告(SBARの活用)。④介入:指示に基づき、MCA無線で外部の災害対策本部と連絡を取る。記録は簡潔に行う。⑤評価:情報が伝達されたか、新たな情報が必要か確認する。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 重要! 口頭伝達のみに頼らず、必ず記録を残す。情報の真偽(特にSNS情報)には注意し、確認が取れるまでは医療判断の根拠としない。停電に備え、予備バッテリーや手回し充電器の準備も確認する。
看護プロトコル: 観察項目:通信機器の種類と台数・稼働状況、停電の有無、連絡すべき相手先リスト。報告基準(SBAR):S(状況)「電話が不通です」、B(背景)「地震発生直後」、A(アセスメント)「MCA無線が使用可能」、R(提案)「本部との連絡に使用します」。記録:通信日時、相手先、内容、結果。家族への説明は、限られた情報の中で事実を簡潔に伝え、不安を軽減する。
先輩看護師の一言: 「災害時に『情報がない』というのが一番怖いんです。普段から病院の災害マニュアルを読み込んで、どこにどんな通信手段があるのか、使い方を確認しておきましょう。訓練の時に実際に操作してみることが、本番で役に立ちます。国試の知識は、まさに現場で患者さんを守るための羅針盤です!」
- 輻輳 — 通信回線にアクセスが集中し、通話や通信がつながりにくくなる状態。災害時に最も発生しやすい。
- MCA無線 (Multi-Channel Access Radio) — 複数の利用者で複数のチャンネルを共有する業務用無線。グループ通信や個別通信が可能で、災害時の情報連絡に広く用いられる。
- 災害時優先電話 (Disaster Priority Telephone) — 災害時に、あらかじめ契約した重要通信機関(病院・官公庁など)の回線を優先的に接続するNTTのサービス。
- EMIS (広域災害救急医療情報システム) — 大規模災害時に、被災地の医療機関の稼働状況や患者受け入れ情報を共有するための全国規模の情報システム。
- DMAT (Disaster Medical Assistance Team) — 災害の急性期に活動できる機動性を持った医療チーム。情報通信機器を装備し、災害対策本部との連絡を密に行う。
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