こんな問題があと475問挑戦 ›
診療に伴う技術
インスリン注射における注意点として正しいのはどれか。
-
1
注射後は穿刺部位を強く揉んで吸収を促進する
-
2
注射部位は毎回同じ場所を選択する
-
3
穿刺後は数秒間針を留置してから抜去する
✓ 正解
-
4
冷蔵庫から取り出した直後のインスリンを使用する
-
5
使用前によく振ってから注射する
解説
インスリン注射では、薬液が漏れ出るのを防ぐため、穿刺後数秒間針を留置してから抜去する。注射部位は毎回同じ場所では硬結や脂肪萎縮を起こすため、計画的に部位をローテーションする。インスリンは室温に戻してから使用し、使用前に転倒混和するが、強く振ってはいけない。
同じテーマの次の問題経口薬の内服介助において、薬剤を服用する際の体位として最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集看護師の基本となる基礎看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、インスリン注射 (Insulin Injection) の基本的な手技と注意点を問うています。インスリンは 糖尿病患者の血糖コントロールに不可欠なホルモン製剤 であり、注射技術の誤りは低血糖や高血糖、注射部位のトラブルを引き起こす可能性があるため、確実な知識が求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! 正解は③「穿刺後は数秒間針を留置してから抜去する」です。インスリン注射では、針を抜く際に薬液が穿刺孔から漏れ出る(逆流)のを防ぐため、薬液注入後も針を皮膚内に約5~10秒間留置します。これにより、確実に薬液を皮下組織内に投与できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
① 注射後は穿刺部位を強く揉んで吸収を促進する → 混同注意! 強く揉むとインスリンの吸収が速まり、低血糖を誘発するリスクがあります。原則として、注射部位は揉まずに軽く押さえるだけにします。
② 注射部位は毎回同じ場所を選択する → 同じ場所に繰り返し注射すると、脂肪萎縮 (Lipoatrophy) や 脂肪肥厚 (Lipohypertrophy) が生じ、インスリンの吸収にムラが生じます。部位は計画的にローテーション(例えば、腹部・大腿・上腕などを順番に)する必要があります。
④ 冷蔵庫から取り出した直後のインスリンを使用する → 冷たいインスリンは注入時の痛みが強く、吸収も不安定になります。使用前に室温に戻してから(約30分前に冷蔵庫から出す)注射します。
⑤ 使用前によく振ってから注射する → インスリンは静かに転倒混和(瓶を転がすように混ぜる)するのが正しい方法です。混同注意! 強く振ると泡立ちが生じ、正確な用量を吸入できなくなるため禁忌です。
関連概念の整理 (Related Concepts): インスリン注射には 皮下注射 (Subcutaneous Injection) の手技が用いられます。特に、血糖降下作用のピーク時間や持続時間を考慮した投与計画、注射部位による吸収速度の違い(腹部 > 上腕 > 大腿)、食事とのタイミング、低血糖症状(冷汗、動悸、意識障害)とその対処法(糖分摂取、グルカゴン投与)も併せて重要です。
概念整理:
| 項目 | 正しい手技 | 誤った手技(リスク) |
| 薬液準備 | 室温に戻す / 静かに転倒混和 | 冷蔵庫直後(痛み・吸収不安定) / 強く振る(泡立ちで用量誤差) |
| 穿刺部位 | 計画的ローテーション / 清潔な皮膚 | 同一部位連打(脂肪萎縮・肥厚) / 感染部位(蜂窩織炎リスク) |
| 注入・抜去 | 針を留置(5~10秒) / 軽く押さえる | すぐ抜去(薬液漏出) / 強く揉む(吸収促進・低血糖) |
一目で比較!: 混同注意! インスリン注射(皮下注射)と ヘパリン (Heparin) の皮下注射では、注射後の対応が異なります。ヘパリンは血腫形成を防ぐため、注射部位を揉まずに強く圧迫(約5~10分)しますが、インスリンは圧迫は軽くで構いません。どちらも「揉まない」は共通です。
看護過程ポイント:
- アセスメント: 患者の自己注射技術、注射部位の状態(硬結・発赤・萎縮の有無)、低血糖リスク(食事摂取量、活動量、腎機能)。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「自己管理の非効果的傾向(注射技術の誤り)」や「危険性状態:低血糖」などが該当。
- 計画・実施: 注射手技の定期的な評価と指導、部位ローテーション表の活用、低血糖時の対応マニュアルの共有。
- 評価: 血糖コントロール状態(HbA1c、血糖値の変動)、注射部位のトラブルの有無。
暗記のコツ: 「インスリンはデリケート」と覚えましょう。
- 冷→ 冷蔵庫から出して室温に(冷たいの禁止)
- 振→ 静かに混ぜる(激しく振るの禁止)
- 揉→ 揉まずに軽く押さえる(強く揉むの禁止)
- 同→ 部位はローテーション(同じ場所禁止)
- 漏→ 針を留置して漏れ防止
国試頻出ポイント: インスリン注射の基本手技(留置、部位ローテーション)は毎年必ずと言ってよいほど出題されます。また、GLP-1受容体作動薬 (GLP-1 Receptor Agonist) などの新しい注射薬との違いや、注射器具(インスリンペン型注入器、針の長さ)の選択に関する問題も増えています。
出題パターン注意!: 「糖尿病患者が自己注射中に低血糖を起こした。看護師が行うべき対応は?」といった状況設定問題への発展が典型です。単純な手技の知識だけでなく、副作用(低血糖)の発見と対応を統合して問われます。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 50代の女性糖尿病患者が、昼食前に速効型インスリンを自己注射しました。しかし、10分後に「冷や汗が出て、手が震える」と訴えました。バイタルサインを測定すると、血圧 100/60 mmHg、脈拍 110回/分、意識は清明です。この患者さんへの対応を考えてみましょう。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察最重要! まず、血糖値を測定します(ポケットグルコメーター)。この症状から 低血糖 (Hypoglycemia) が強く疑われます。血糖値が 70 mg/dL 未満であれば、低血糖と確定診断します。
- 2アセスメント低血糖の原因として、食事摂取量が少なかった、インスリン注入量が多かった、あるいは揉んでしまった可能性が考えられます。
- 3報告(SBAR)「S(状況):50代女性、昼食前インスリン注射後、低血糖症状あり。B(背景):血糖値 50 mg/dL。A(アセスメント):低血糖と判断。R(提案):ブドウ糖の経口摂取を開始します。」と医師に報告します。
- 4介入意識が清明なので、ブドウ糖(ブドウ糖含有食品や砂糖水)の経口摂取 を指示します。15分後に再評価し、血糖値が改善しない場合は、医師の指示に基づき グルカゴン (Glucagon) の筋注や ブドウ糖注射液 (50% Glucose) の静脈注射を準備します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):- 禁忌: 意識障害がある患者に経口摂取をさせると誤嚥を引き起こすため、絶対に行わないでください。その場合は静脈路を確保し、医療者の指示を仰ぎます。
- 注射部位の観察: 低血糖の対応後、患者の注射部位に硬結や肥厚がないか確認し、ローテーションの指導を再度行います。
- 経過観察: 低血糖は再発することがあるため、対応後も30分~1時間は経過観察が必要です。 看護プロトコル:- 1観察項目注射前後の血糖値、食事摂取量、注射部位の状態、症状(冷汗、動悸、意識レベル)。
- 2報告基準(SBAR)低血糖症状出現時は、即座に血糖値を測定し、結果と症状を医師に報告。
- 3記録のポイント注射時刻、用量、部位、血糖値、症状、介入内容、介入後の経過を時系列で正確に記録。
- 4患者教育のポイント低血糖症状の自己チェック、ブドウ糖の携帯、症状出現時の対処法(糖分摂取)、インスリン注射の正しい手技の再確認。
先輩看護師の一言: 「インスリン注射は、患者さんが毎日自分で行う大切な治療です。手技が間違っていると、低血糖という命に関わるリスクが生じます。だからこそ、国試で学んだ正しい知識を、患者さんに優しく、根拠を持って伝えられる看護師になりましょう!注射部位を『毎回ちゃんと変えてる?』と声をかけるだけでも、患者さんの安全を守る第一歩になりますよ。」
- インスリン — 血糖降下ホルモン。糖尿病患者の血糖コントロールに用いられる注射薬。作用発現時間により超速効型、速効型、中間型、持続型などに分類される。
- 低血糖 — 血糖値が正常範囲以下に低下した状態(一般的に70mg/dL未満)。冷汗、動悸、意識障害などの症状を呈し、放置すると生命の危険がある。
- 脂肪萎縮 — インスリン注射部位の皮下脂肪が萎縮し、皮膚が陥没する状態。同一部位への繰り返し注射が原因で、吸収にムラが生じる。
- 脂肪肥厚 — インスリン注射部位の皮下脂肪が肥厚し、しこり(硬結)となる状態。インスリンの吸収が遅延・不安定になる。
- 皮下注射 (Subcutaneous Injection) — 薬液を皮下組織に注入する注射法。インスリンやヘパリンなどで用いられる。45~90度の角度で穿刺する。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。