こんな問題があと475問挑戦 ›
診療に伴う技術
経皮吸収型製剤(テープ剤)の貼付部位に関する説明で正しいのはどれか。
-
1
体毛の多い部位に貼付する
-
2
関節の屈曲部に貼付する
-
3
前回と同じ部位に貼付する
-
4
清潔で乾燥した皮膚に貼付する
✓ 正解
-
5
創傷や皮疹のある部位に貼付する
解説
経皮吸収型製剤は、清潔で乾燥した皮膚に貼付する。関節屈曲部や体毛の多い部位は剥がれやすく、前回と同じ部位への貼付は皮膚刺激の原因となる。創傷や皮疹のある部位への貼付は禁忌である。
同じテーマの次の問題経口薬の内服介助において、薬剤を服用する際の体位として最も適切なのはどれか。この問題が収録された問題集看護師の基本となる基礎看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、経皮吸収型製剤(テープ剤)の正しい貼付方法を問う、基礎看護学の基本知識です。経皮吸収型製剤 (Transdermal Drug Delivery System, TDDS)は、薬剤を皮膚から吸収させ、全身循環に移行させることで持続的な薬効を得ることを目的としています。そのため、薬剤の安定的な吸収と皮膚トラブルの予防の観点から、貼付部位の選択は非常に重要です。正解は「清潔で乾燥した皮膚に貼付する」です。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): 経皮吸収型製剤の効果を最大限に引き出すためには、薬剤が一定の速度で安定して吸収される環境を整える必要があります。その基本が貼付部位の皮膚の状態を適切に保つことです。清潔で乾燥した皮膚は、角質層のバリア機能が正常であり、テープの粘着力も安定します。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ④番「清潔で乾燥した皮膚に貼付する」が正解です。最重要! 貼付前に皮膚を流水と石鹸で優しく洗浄し、十分に水分を拭き取って乾燥させることが基本です。これにより、汗や皮脂、汚れによる貼付不良を防ぎ、薬剤の吸収を安定させます。ローションや軟膏が塗布された皮膚は吸収を阻害するため、避ける必要があります。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- ①番「体毛の多い部位に貼付する」: 混同注意! 体毛の多い部位はテープの粘着が不十分で剥がれやすく、除毛による皮膚刺激のリスクもあります。貼付前に体毛を剃るなどして清潔にした部位、または体毛の少ない部位を選びます。
- ②番「関節の屈曲部に貼付する」: 混同注意! 関節屈曲部は皮膚の伸展・収縮が大きく、テープが剥がれやすく、摩擦による皮膚刺激も生じやすいため不適切です。原則として、体幹や上腕など、皮膚の動きが少ない平坦な部位を選びます。
- ③番「前回と同じ部位に貼付する」: 同じ部位への連続貼付は、接触皮膚炎や角質層のバリア機能障害の原因となります。貼付部位は毎回ローテーション(順番に変える)することが必須です。
- ⑤番「創傷や皮疹のある部位に貼付する」: 創傷や皮疹のある部位は皮膚のバリア機能が破綻しており、薬剤の吸収が亢進したり、局所の炎症を悪化させるため禁忌です。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 経皮吸収型製剤には、持続的な効果を発揮するための「貼付部位のローテーション」と「皮膚保護」の考え方が共通します。貼付する製剤の種類(例:ニトログリセリン、フェンタニル、エストラジオール、ツロブテロール)によって推奨される部位が異なる場合があるため、必ず医薬品添付文書を確認します。
概念整理: 経皮吸収型製剤 (Transdermal Drug Delivery System) の基本原則は、①清潔で乾燥した皮膚、②体毛・関節・創傷のない部位、③部位ローテーションの3つです。薬剤の安定した吸収と皮膚障害予防のために必須の知識です。
一目で比較!:
| 貼付部位の条件 | 適切 | 不適切(理由) |
|---|
| 皮膚の状態 | 清潔・乾燥・無傷 | 湿潤・汚染・創傷・皮疹(吸収不安定・刺激) |
| 体毛 | 除毛後の部位 | 体毛の多い部位(剥がれやすい) |
| 関節付近 | 平坦な部位(体幹・上腕など) | 関節屈曲部(剥がれやすい) |
| 貼付順番 | ローテーション(部位を変える) | 毎回同じ部位(皮膚炎・バリア障害) |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 貼付予定部位の皮膚の状態(清潔度、乾燥度、発赤、発疹、創傷の有無)を観察します。患者のボディイメージや貼付部位へのこだわりも聴取します。
- 看護診断: 「皮膚統合性の障害リスク状態 (Risk for Impaired Skin Integrity)」や「知識不足(経皮吸収型製剤の管理方法に関する)(Deficient Knowledge)」が該当します。
- 計画・実施: 貼付前に皮膚を清潔にして乾燥させ、部位ローテーションを計画します。貼付後はテープの剥がれや発赤の有無を確認します。
- 評価: 貼付部位に発赤・瘙痒・皮疹がないか確認し、患者が正しい貼付方法を理解し実践できているかを評価します。
暗記のコツ: 「テープ剤の3原則:清潔・乾燥・ローテーション」と覚えましょう。「清潔で乾いた肌に、毎回場所を変えて貼る」が基本です。関節や毛深い場所は「剥がれる場所」、傷や湿疹は「禁忌の場所」とイメージすると記憶に残りやすいです。
国試頻出ポイント: 経皮吸収型製剤は、貼付部位の選択とローテーションが頻出です。特に「同じ部位への連続貼付は避ける」という点は、転倒数の問題としても出題されます。「前回と同じ部位」が選択肢にある場合は、ほぼ間違いと判断できます。
出題パターン注意!: 単純な貼付部位の知識だけでなく、事例問題として「高齢者で貼付部位の皮膚が脆弱な場合の注意点」や「貼付後のテープ剥がれへの対応」が問われることもあります。応用問題では、貼付部位の観察項目や皮膚トラブル発生時の対応(貼付中止、医師報告)まで含めて学習しましょう。
臨床実践ガイド
実際の病棟で、70代の女性患者に経皮吸収型の鎮痛薬(フェンタニルパッチ)を貼付する場面を想像してみましょう。- 1臨床シナリオ (Clinical Scenario)「患者さん、今日から新しい痛み止めのテープを貼ります。今まで貼っていた場所はどこでしたか?」と確認し、前回の貼付部位が左肩甲骨下部だったことがわかります。次の貼付部位は、右肩甲骨下部や胸部、上腕など、ローテーション計画に基づいて決めます。
- 2看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)まず、貼付予定部位の皮膚を観察します。発赤や湿疹、傷がないことを確認します。次に、患者の体を清拭し、皮膚を清潔にして十分に乾燥させます。テープを貼付する際は、手で30秒以上しっかりと押さえ、端まで密着させます。貼付後は、日付・時間・貼付部位を記録し、患者や家族にも貼付部位を変える理由を説明します。
- 3患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)最重要! 経皮吸収型製剤は、剥がれたテープを他の人が触れると薬剤が移行するリスクがあります。使用済みテープの処理方法(折りたたんで廃棄)も指導します。また、発熱時は薬剤の吸収が亢進し、副作用(呼吸抑制など)が出現しやすくなるため、注意深い観察が必要です。高齢者は皮膚が脆弱で剥がれやすいため、テープの上から透明なフィルムドレッシング材で保護することもあります。
看護プロトコル: 観察項目は、貼付部位の皮膚状態(発赤・瘙痒・皮疹)と、全身の副作用(特にオピオイド系の場合は呼吸数・鎮静レベル・便秘)です。報告基準(SBAR)は「S:経皮吸収型製剤貼付後、貼付部位に発赤あり。B:前回も同部位に貼付していた。A:接触皮膚炎の可能性。R:貼付部位変更の指示と、ステロイド外用薬の指示を仰ぎたい」です。
先輩看護師の一言: 「テープ剤は『貼って終わり』じゃありません!毎回の観察とローテーションこそが看護師の腕の見せどころです。患者さんに『先生に言われた場所に貼ってるよ』と言われたら、必ず部位を確認し、ローテーションの必要性を優しく説明してください。皮膚トラブルは患者さんのQOLを大きく下げます。予防が最善です!」
- 経皮吸収型製剤 (Transdermal Drug Delivery System) — 皮膚から薬剤を吸収させ、全身に持続的に作用させる剤形。テープ剤やパップ剤が含まれる。
- 部位ローテーション — 同じ部位への連続貼付による皮膚刺激を避けるため、貼付部位を順番に変えること。
- 角質層 (Stratum Corneum) — 表皮の最外層。薬剤の経皮吸収における主要なバリアであり、その状態が吸収率に影響する。
- 接触皮膚炎 (Contact Dermatitis) — テープ剤の粘着剤や薬剤自体に対する刺激やアレルギー反応により生じる皮膚の炎症。
- 皮膚統合性の障害リスク状態 (Risk for Impaired Skin Integrity) — 経皮吸収型製剤の貼付などにより、皮膚が損傷を受ける危険性がある状態。看護診断の一つ。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。