腎臓におけるナトリウムの再吸収を促進し、体液量を増加させるホルモンはどれか。 | MyMerci
泌尿器系
問題

腎臓におけるナトリウムの再吸収を促進し、体液量を増加させるホルモンはどれか。

解説
アルドステロンは副腎皮質から分泌され、遠位尿細管および集合管におけるナトリウムの再吸収を促進する。これにより水の再吸収も増加し、体液量が増加する。心房性ナトリウム利尿ペプチドは逆にナトリウム排泄を促進する。

詳細解説

核心解説 この問題は、腎臓 (Kidney) における体液量調節のメカニズム、特にホルモンによる ナトリウム (Sodium, Na+) 再吸収 の調節を問うています。体液量の増減は血圧や循環動態に直結するため、看護師として各ホルモンの作用を正確に理解し、浮腫や脱水のアセスメントに活かすことが重要です。正解は アルドステロン (Aldosterone) で、これは レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系 (RAAS) の最終産物として、ナトリウムと水の再吸収を促進し、体液量を増加させます。 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! アルドステロン (Aldosterone) は副腎皮質から分泌され、遠位尿細管 (Distal Tubule) および 集合管 (Collecting Duct) に作用します。ここで Na+/K+ ATPaseポンプ を活性化し、尿細管腔内のナトリウムを血液中へ能動的に再吸収させます。ナトリウムの再吸収に伴い水も受動的に再吸収されるため、結果として 循環血液量 (Circulating Blood Volume) が増加し、血圧が上昇します。体液量減少や低血圧時にRAASが亢進し、アルドステロン分泌が促進されることは、病態生理の基本です。 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意! ①番の アンジオテンシンII (Angiotensin II) は強力な 血管収縮作用 (Vasoconstriction) を持ち、副腎皮質からのアルドステロン分泌を促進する刺激ホルモンですが、それ自体が直接的に腎臓でのナトリウム再吸収を促進する作用はメインではありません(近位尿細管での再吸収促進作用はあるが、問題文の「ナトリウム再吸収促進」の主役はアルドステロンです)。②番の エリスロポエチン (Erythropoietin) は腎臓から分泌され、骨髄での赤血球産生を促進するホルモンであり、ナトリウムや体液量調節には直接関与しません。③番の 心房性ナトリウム利尿ペプチド (Atrial Natriuretic Peptide, ANP) は心臓から分泌され、ナトリウムの排泄 (Natriuresis) を促進し、体液量を減少させる働きがあります。これはアルドステロンと正反対の作用なので、問題の「増加させる」に該当しません。⑤番の カルシトニン (Calcitonin) は甲状腺から分泌され、カルシウム代謝 (Calcium Metabolism) を調節するホルモンであり、ナトリウムや体液量には影響しません。 関連概念の整理 (Related Concepts): 体液量調節は、抗利尿ホルモン (ADH, Vasopressin) による水の再吸収促進と、アルドステロン (Aldosterone) によるナトリウム再吸収促進、そして ANP によるナトリウム排泄促進の3つのホルモンが中心的な役割を果たします。特に 混同注意! ADHは水のみを、アルドステロンはナトリウム(と水)を再吸収する点が異なります。心不全や肝硬変、ネフローゼ症候群などの病態ではRAASが亢進し、浮腫や腹水が生じるため、看護師はこれらのホルモン動態を理解した上で、体重測定 (Daily Weight)出入水量バランス (I/O Balance) の管理を徹底する必要があります。 概念整理: 体液量増加ホルモン(アルドステロン, ADH) vs 体液量減少ホルモン(ANP)。最重要! アルドステロンは「Na+再吸収 → 水再吸収 → 体液量増加」。ANPは「Na+排泄 → 水排泄 → 体液量減少」。 一目で比較!:
ホルモン分泌臓器主な作用体液量への影響
アルドステロン副腎皮質Na+再吸収促進 (K+排泄)増加
ADH (バソプレシン)下垂体後葉水再吸収促進増加
ANP心房Na+排泄促進 (利尿)減少
アンジオテンシンII肝臓で産生血管収縮 / アルドステロン分泌促進増加 (間接的)
看護過程ポイント: アセスメント: 体液量増加の兆候(浮腫、体重増加、肺雑音、頸静脈怒張、高血圧)を観察。特に心不全患者ではRAAS亢進による体液貯留が病態悪化につながるため、尿量減少体重増加 を早期に発見する。 看護診断: 「体液過剰 (Excess Fluid Volume)」または「体液不足 (Deficient Fluid Volume)」が該当。 介入: 医師の指示に基づく利尿薬(フロセミドなど)の投与、Na+制限食の提供、I/Oバランスの厳密な記録。 暗記のコツ: 「アルドステロン → Naを『アルド(あるど)』ステロン」→「あるど(ある程度)Naをためる」と覚える。逆にANPは「A(アンチ)NP」で「ナトリウムを排泄する」と連想する。 国試頻出ポイント: RAASの流れ(レニン → アンジオテンシンI → アンジオテンシンII → アルドステロン)は頻出。各ホルモンの作用を「血管収縮」「Na再吸収」「水再吸収」のどれに該当するかで整理しておく。高血圧症や心不全の治療薬であるACE阻害薬やARB(アンジオテンシン受容体拮抗薬)の作用機序とも関連付けて覚える。 出題パターン注意!: 単純な「どれがアルドステロンか」だけでなく、「心不全患者に浮腫が生じるメカニズムとして正しいのはどれか(RAASの亢進)」のような病態連鎖問題や、利尿薬(スピロノラクトン:アルドステロン拮抗薬)の作用機序と組み合わせた出題が増えています。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 70代男性、慢性心不全 (Chronic Heart Failure) で入院中。両下腿に浮腫 (Edema) と体重増加(入院時比+3kg/週)が認められます。血圧は150/90mmHgと高値です。主治医から「アルドステロン拮抗薬(スピロノラクトン)の内服を開始する」と指示がありました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! まず バイタルサイン (Vital Signs)(特に血圧と脈拍)と 体重 (Body Weight) を毎日同時刻に測定し、推移を記録します。スピロノラクトンはK+保持性利尿薬であるため、高カリウム血症 (Hyperkalemia) のリスクがあります。看護師は 血清K+値 (Serum Potassium Level) のモニタリングが不可欠です。患者に「めまい(低血圧のサイン)」「筋肉のけいれん(電解質異常のサイン)」「不整脈(高K+による)」などの症状出現がないか観察します。食事では 塩分制限 (Salt Restriction) が重要なので、栄養士と連携して患者・家族への食事指導を行います。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): スピロノラクトンはカリウム保持性利尿薬のため、K+製剤やACE阻害薬・ARBとの併用で高K+血症が重症化するリスクがあります。 また、重度の腎機能障害 (Renal Impairment) のある患者には禁忌です。看護師は投与前の腎機能(血清Cr、eGFR)と電解質(特にK+)を必ず確認し、異常値があれば医師へ報告します。浮腫が強い患者では スキンケア (Skin Care)転倒・転落予防 (Fall Prevention) にも注意が必要です(浮腫による皮膚脆弱性と、起立性低血圧によるふらつきのリスク)。 看護プロトコル: 観察項目: 体重(毎朝食前排尿後)、血圧(臥位・立位)、浮腫の程度(pitting edemaの深さと範囲)、尿量、血清K+値(週1回程度、投与開始時は頻回)。 報告基準(SBAR): S(状況)「心不全の◯◯さん、体重が昨日より1kg増加しています」 B(背景)「アルドステロン拮抗薬を内服中ですが、浮腫が改善していません」 A(アセスメント)「体液過剰が続いている可能性があり、薬剤調整が必要と考えます」 R(推奨)「医師に利尿薬の増量または変更について相談したいです」。 記録のポイント: I/Oバランス、体重推移、浮腫の変化、患者の訴え(息苦しさなど)を具体的に記載。 先輩看護師の一言: 「体液量管理は心不全や腎不全の看護の肝です!国試ではホルモン名を覚えるだけでなく、『なぜこの薬が使われるのか』『患者さんにどんな観察が必要か』までつなげて考えてください。例えば『アルドステロン=Na再吸収』と覚えたら、その拮抗薬であるスピロノラクトンは『Na排泄=利尿』と『K+保持=高K+リスク』がセットで思い出せますよ!」

重要概念

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