核心解説
この問題は、
腎臓 (Kidney) における
尿生成 (Urine Formation) の最初の段階である
原尿 (Primary Urine / Glomerular Filtrate) の生成部位を問うています。腎臓の構造と機能を正確に理解するための基本中の基本であり、看護師国家試験でも頻出のテーマです。
核心概念の分析 (Key Concept): 尿生成は、
腎小体 (Renal Corpuscle) で行われる
濾過 (Filtration) から始まります。腎小体は、
糸球体 (Glomerulus) と、その周囲を包む
ボーマン嚢 (Bowman's Capsule) から構成されています。血液が糸球体の毛細血管を通過する際、血球や大きなタンパク質以外の成分が濾過され、その濾過液(原尿)はボーマン嚢の腔内に流入します。
正解の根拠 (Answer Rationale): ②番の
ボーマン嚢 (Bowman's Capsule) は、濾過された原尿を受け止める最初の部位です。よって、「原尿が生成される部位」とは、濾過が行われる糸球体と、その濾液が集まるボーマン嚢を合わせた腎小体の一部であり、本問ではボーマン嚢が正解となります。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①
遠位尿細管 (Distal Tubule):
混同注意! ここでは主に電解質(Na⁺, K⁺, Ca²⁺)や酸塩基平衡の調整(再吸収と分泌)が行われます。原尿が生成される場所ではありません。
③
集合管 (Collecting Duct): 最終的な尿の濃縮・希釈(ADHの作用)が行われる部位です。原尿の生成はここでは行われません。
④
ヘンレループ (Loop of Henle): 尿の濃縮機構(対向流増幅系)の中心的な役割を担い、水とNaClの再吸収が行われます。原尿生成部位ではありません。
⑤
腎盂 (Renal Pelvis): 腎乳頭から排出された最終尿を集めて尿管へ送り出す、単なる尿の通り道です。
関連概念の整理 (Related Concepts): 原尿の量は通常1日約150L(150mL/分)生成されますが、その99%以上が尿細管と集合管で再吸収され、最終尿として排泄されるのは約1.5L/日です。この
濾過量 (Glomerular Filtration Rate: GFR) は腎機能の重要な指標であり、
eGFR (推算糸球体濾過量) として慢性腎臓病 (CKD) の診断・重症度分類に用いられます。
概念整理: 腎臓の尿生成経路(腎小体で濾過 → 尿細管・集合管で再吸収・分泌 → 最終尿として排泄)の流れを必ず頭に入れましょう。原尿生成部位 =
腎小体 (糸球体 + ボーマン嚢) です。
一目で比較!:
| 部位 | 主な機能 |
| 腎小体 (糸球体 + ボーマン嚢) | 血液の濾過 → 原尿生成 |
| 近位尿細管 | 原尿の60-70%を再吸収 (グルコース・アミノ酸・Na⁺・水) |
| ヘンレループ | 尿濃縮 (対向流増幅系) |
| 遠位尿細管・集合管 | 電解質調整・酸塩基平衡・最終的な濃縮希釈 |
| 腎盂 | 尿の貯留・輸送 |
看護過程ポイント: 腎機能低下 (CKD) 患者の看護では、
eGFR や
尿量、
血清クレアチニン (Cr)、
BUN をアセスメントし、体液過剰 (浮腫・肺水腫) や電解質異常 (高K血症) の早期発見に努めます。
暗記のコツ: 「
濾過する
球 = 糸球体、
受け止める
嚢 = ボーマン嚢」とイメージしてください。ボーマン嚢を「ボールをキャッチするグローブ」と連想すると覚えやすいでしょう。
国試頻出ポイント: 本問のような「原尿生成部位」の直接的な設問に加え、「尿細管での再吸収・分泌」「腎機能低下時の検査値異常」「CKDの病期分類と看護」へと発展した問題が頻出です。
出題パターン注意!: 単純知識問題(「原尿生成部位はどこか?」)に加え、事例問題(「慢性腎不全患者の尿量減少時、どの部位の機能低下が考えられるか?」)など、応用力を問う形で出題されます。