こんな問題があと491問挑戦 ›
泌尿器系
腎臓の機能を評価する検査項目として、糸球体濾過量 (GFR) の推定に最もよく用いられる計算式はどれか。
-
1
Glasgow Coma Scale (GCS)
-
2
修正Borg scale
-
3
Cockcroft-Gault式
✓ 正解
-
4
Brocaの式
-
5
Harris-Benedict式
解説
Cockcroft-Gault式は、血清クレアチニン値、年齢、体重、性別からクレアチニンクリアランス(GFRの指標)を推定する式である。Harris-Benedict式は基礎代謝量の推定に用いられる。
同じテーマの次の問題腎臓における尿生成の最初の過程はどれか。この問題が収録された問題集人体の構造と機能KRW 12,900
核心解説
この問題は、腎機能 (Renal Function) を評価するための検査指標である 糸球体濾過量 (GFR: Glomerular Filtration Rate) の推定方法を問うています。GFRは、腎臓が血液をろ過する能力を数値化したもので、腎機能の最も重要な指標の一つです。直接測定するのは困難なため、日常診療では血清クレアチニン値などを用いた推定式が用いられます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は③番の Cockcroft-Gault式 です。
最重要! Cockcroft-Gault式は、血清クレアチニン値、年齢、体重、性別の4つの変数から クレアチニンクリアランス (Creatinine Clearance: Ccr) を推定する計算式です。クレアチニンクリアランスはGFRを反映するため、腎機能の評価に広く用いられてきました。現在は eGFR (estimated GFR) がより簡便に用いられることも多いですが、Cockcroft-Gault式は薬剤投与設計など臨床現場で今なお重要な役割を果たしています。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意!
① Glasgow Coma Scale (GCS): 意識レベルの評価指標です。開眼(Eye opening)、言語(Verbal response)、運動(Motor response)の3項目で評価します。腎機能とは無関係です。
② 修正Borg scale: 呼吸困難感や自覚的運動強度を評価する主観的スケールです。慢性閉塞性肺疾患(COPD)や心不全患者の息切れ評価に用いられます。
④ Brocaの式: 標準体重(理想体重)を計算する式です。「身長(cm) - 100」という簡略式で知られ、栄養評価の参考値として用いられます。
⑤ Harris-Benedict式: 基礎代謝量 (Basal Metabolic Rate: BMR) を推定する式です。性別、年齢、身長、体重を用いて計算し、栄養管理の指標として用いられます。
関連概念の整理 (Related Concepts)
GFRの推定には、現在日本では 日本人用eGFR推算式(日本腎臓学会推奨)が広く用いられています。
eGFR(ml/min/1.73m²) = 194 × 血清Cr⁻¹.⁰⁹⁴ × 年齢⁻⁰.²⁸⁷(女性は×0.739)
Cockcroft-Gault式との違いは、体格補正(体表面積補正)がなされている点です。Cockcroft-Gault式は絶対的なクレアチニンクリアランス値を推定し、eGFRは体表面積で標準化した値を算出します。薬剤投与設計(特に腎排泄型薬剤の用量調節)にはCockcroft-Gault式が依然として推奨されるケースが多いため、両者の違いを理解しておくことが重要です。
概念整理: GFR推定の主要計算式はCockcroft-Gault式(Ccr推定)と日本人eGFR推算式(eGFR推定)の2つ。いずれも血清クレアチニン値、年齢、性別を必須因子とする。体重はCockcroft-Gault式のみ使用。
一目で比較!:
| 計算式 | 主な用途 | 使用する変数 |
| Cockcroft-Gault式 | Ccr推定 (腎機能評価、薬剤用量調節) | 血清Cr、年齢、体重、性別 |
| 日本人eGFR式 | eGFR推定 (慢性腎臓病(CKD)重症度分類) | 血清Cr、年齢、性別 (体表面積補正) |
| Harris-Benedict式 | 基礎代謝量推定 (栄養管理) | 性別、年齢、身長、体重 |
| Brocaの式 | 標準体重計算 (栄養評価) | 身長 |
| 修正Borg scale | 呼吸困難/運動強度評価 (症状評価) | 患者の主観的報告 (0-10) |
| Glasgow Coma Scale (GCS) | 意識レベル評価 (神経学的評価) | 開眼、言語、運動反応 (3-15点) |
看護過程ポイント: 腎機能低下患者の看護では、最重要! GFR/Ccrの値から 慢性腎臓病(CKD)の重症度分類(ステージ1〜5)をアセスメントし、食事療法(蛋白制限、塩分制限、カリウム制限)、水分管理、薬剤投与(腎排泄型薬剤の減量・禁忌の確認)の計画を立案する。評価指標としての血清クレアチニン値とeGFRの経時的推移を観察する。
暗記のコツ: 「腎臓はクレアチニン(Cr)と年齢と体重が重要!」「Cockcroft-Gaultは『Ccr』(Cから始まる)を推定。Harris-Benedictは『H』で『代謝』(ハリス・ベネディクト=代謝)。Brocaは『B』で『体重』(ブローカ=標準体重)。GCSは『G』で『意識』(グラスゴー=意識スケール)。Borgは『B』で『呼吸』(ボルグ=息切れ)」と頭文字で連想。
国試頻出ポイント: Cockcroft-Gault式の名称とその目的(腎機能評価、Ccr推定)を直接問う問題に加え、慢性腎臓病(CKD)のステージ分類(eGFRの値に基づく)と看護介入(特に薬剤投与量調節、食事療法、透析導入時期の判断)と組み合わせた状況設定問題(事例問題)が頻出。
出題パターン注意!: 単純な「計算式の目的」の知識問題から、「70歳男性、体重50kg、血清クレアチニン1.5mg/dL。Cockcroft-Gault式でCcrを計算し、この患者に腎排泄型の抗生剤を投与する際の注意点を述べよ」といった実践的な計算・判断問題へ発展します。計算式そのものを暗記する必要はありませんが、何の目的でどの変数を使うかは確実に押さえましょう。
臨床実践ガイド
腎機能評価 (Renal Function Assessment) は、慢性腎臓病(CKD)や 急性腎障害(AKI) の診断・重症度評価、薬剤投与設計(特に抗生剤、抗凝固薬、糖尿病治療薬)、造影剤使用前のスクリーニングなど、日常診療で頻繁に行われます。臨床シナリオ (Clinical Scenario)
「80歳女性、糖尿病性腎症で通院中。血清クレアチニン2.0mg/dL、eGFR 25ml/min/1.73m²(CKDステージ4)。肺炎を発症し、抗菌薬の投与が必要となりました。医師から『この患者さんの腎機能に合わせて、抗菌薬の投与設計を確認してほしい』と指示がありました。看護師として、どの情報を医師に報告し、どのような点に注意して薬剤を投与すべきでしょうか?」
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察 (Observation)バイタルサイン、尿量(1日尿量、時間尿量)、血清クレアチニン値・BUN・eGFRの推移、体重変化、浮腫の有無、電解質(K, P)異常の有無を確認。
- 2アセスメント (Assessment)この患者のeGFR 25ml/min/1.73m²は、CKDステージ4(高度低下)に相当。多くの腎排泄型薬剤では減量または投与間隔の延長が必要。医師の処方箋を確認し、添付文書上の腎機能別投与設計と照合。
- 3報告 (SBAR報告)「医師、80歳女性の肺炎患者さんですが、eGFRが25と腎機能が高度低下しています。処方されている抗菌薬XXは腎排泄型であり、標準量では過量投与となる可能性があります。腎機能に応じた投与量への変更が必要か確認をお願いします。」
- 4介入 (Intervention)医師の指示に従い、減量後の薬剤を正確に投与。腎機能モニタリング(血清Cr再検、尿量測定)のタイミングを確認。患者・家族に「腎臓の働きが弱っているため、薬の量を調整しています」と説明し、理解を得る。
- 5評価 (Evaluation)薬剤投与後の腎機能悪化(血清Cr上昇、尿量減少)、副作用(消化器症状、アレルギー)の有無を観察。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 禁忌! 腎機能低下患者への メトホルミン (Metformin) 投与は乳酸アシドーシスのリスクから禁忌(eGFR 30未満では原則禁忌)。NSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)も腎血流低下により腎機能を悪化させるため慎重投与。
- 危険所見! 血清クレアチニン値が48時間以内に0.3mg/dL以上上昇、または尿量が6時間以上0.5mL/kg/hr未満の場合は 急性腎障害(AKI) の可能性。直ちに医師へ報告。
- 造影CT検査前は、eGFRを確認し、30未満では原則禁忌(造影剤腎症リスク)。30〜60では水分負荷と造影剤減量を検討。
先輩看護師の一言
「腎機能の評価って、単に検査値を見るだけじゃなくて、『この患者さんにこの薬をこの量で投与して大丈夫か』という安全確認に直結する大事なスキルです。Cockcroft-Gault式もeGFRも、患者さんを薬剤性腎障害から守るための武器。暗記ではなく、『なぜこの患者さんにこの計算式が必要なのか』を考えられる看護師になりましょう!」
- Cockcroft-Gault式 — 血清クレアチニン値、年齢、体重、性別からクレアチニンクリアランス (Ccr) を推定する計算式。腎機能評価と薬剤投与設計に用いられる。
- 糸球体濾過量 — 腎臓の糸球体が1分間に濾過する血漿量。腎機能の最も重要な指標であり、直接測定は困難なため推定式(eGFR)が用いられる。
- 血清クレアチニン — 筋肉で生成される老廃物。腎臓から排泄されるため、血清Cr値の上昇は腎機能低下を示す。GFR推定の必須因子。
- 慢性腎臓病 — 腎障害またはeGFR 60未満が3ヶ月以上持続する病態。ステージ1〜5に分類され、重症化に応じて食事療法、薬物療法、透析療法が選択される。
- 腎排泄型薬剤 — 主に腎臓から排泄される薬剤。腎機能低下患者では体内に蓄積しやすく、過量投与による副作用(腎障害、電解質異常、神経症状など)リスクが高いため、減量や投与間隔延長が必要。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。