核心解説
この問題は、
上肢の末梢神経 (Peripheral Nerves of the Upper Limb) とその皮膚感覚支配領域(皮節・末梢神経支配領域)の正確な組合せを問うています。神経の走行と分布を解剖学的に把握することが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
②
尺骨神経 (Ulnar Nerve) は、前腕尺側(内側)の皮膚感覚、そして手では
小指全体と薬指の尺側(内側)半分の皮膚感覚を支配します。また、小指球筋群(小指外転筋、短小指屈筋、小指対立筋)や骨間筋、第3・4虫様筋の運動も支配します。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①
混同注意! 正中神経 (Median Nerve) は、手掌の母指、示指、中指、薬指の橈側(外側)半分の皮膚感覚を支配します。前腕背側の感覚支配は
橈骨神経 (Radial Nerve) です。
③ 腋窩神経 (Axillary Nerve) は、三角筋と小円筋の運動、そして
肩関節外側の皮膚感覚(肩峰部)を支配します。前腕外側は
筋皮神経 (Musculocutaneous Nerve) です。
④ 橈骨神経 (Radial Nerve) は、上腕背側、前腕背側、手背の橈側(母指、示指の背側)の皮膚感覚を支配します。
手掌の母指球筋(母指対立筋、短母指外転筋など)の運動支配は正中神経 (Median Nerve) です。
⑤ 筋皮神経 (Musculocutaneous Nerve) は、上腕前面の筋(上腕二頭筋、烏口腕筋、上腕筋)を支配した後、前腕外側の皮膚感覚枝(外側前腕皮神経)として終わります。上腕背側の皮膚感覚支配は橈骨神経です。
関連概念の整理 (Related Concepts):
各末梢神経の損傷による典型的な症状(下垂手、猿手、鷲手など)と支配筋を関連付けて覚えると効率的です。また、脊髄神経根(C5~T1)による皮節(デルマトーム)支配と末梢神経支配の違いも重要です。
概念整理: 上肢の主要末梢神経の感覚支配領域をまとめます。
| 神経 | 皮膚感覚支配領域(主な部位) |
| 正中神経 | 手掌橈側半分(母指・示指・中指・薬指橈側半分) |
| 尺骨神経 | 前腕尺側、手掌尺側半分(小指・薬指尺側半分) |
| 橈骨神経 | 上腕背側、前腕背側、手背橈側半分 |
| 筋皮神経 | 前腕外側(外側前腕皮神経) |
| 腋窩神経 | 肩関節外側(肩峰部、上腕外側上部) |
一目で比較!:
混同注意! 手掌の感覚支配は正中神経と尺骨神経が分担し、手背の感覚支配は橈骨神経と尺骨神経が分担します。手掌の母指球筋の運動は正中神経、小指球筋は尺骨神経です。
看護過程ポイント: 神経損傷患者のアセスメントでは、
感覚障害の範囲(部位と広がり)を正確に評価し、記録することが重要です。例えば、尺骨神経損傷では小指のしびれや巧緻運動障害、橈骨神経損傷では手関節伸展障害(下垂手)などが生じ、日常生活動作 (ADL) に影響します。
暗記のコツ: 手指で「親指(母指)=橈骨神経?いや感覚は橈骨神経、運動は正中神経」「小指=尺骨神経」と覚えましょう。また、「尺骨は内側、橈骨は外側」と骨の位置関係から感覚支配を連想すると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 神経支配領域(感覚と運動)は、整形外科疾患(手根管症候群、肘部管症候群、橈骨神経麻痺など)や神経損傷の評価問題で頻出です。単純な組合せ問題から、症状(下垂手、鷲手、猿手など)と関連付けた状況設定問題も出題されます。
出題パターン注意!: 例えば「転倒して上腕骨骨幹部骨折を起こした患者に手関節が伸展できない下垂手(wrist drop)がみられた。損傷が疑われる神経はどれか?」のように、症状から損傷神経を推定させる問題に発展します。