核心解説
この問題は、
組織の再生・修復 (Tissue Regeneration and Repair) における各組織の再生能力の違いを問うています。人体の組織は、その細胞分裂能によって「再生可能組織」「再生困難組織」「再生不能組織」に分類されることがポイントです。
1.
核心概念の分析 (Key Concept): 組織修復は、損傷を受けた組織が元の構造と機能を取り戻す「再生 (Regeneration)」と、線維芽細胞による線維組織(瘢痕)で修復される「線維化 (Fibrosis)」の2種類があります。再生能力は、細胞周期に入っている細胞(分裂能を持つ細胞)の割合に依存します。
例: この問題は
組織の再生分類 の知識を問うています。
神経細胞(ニューロン)は出生後分裂能を失う永久細胞 (Permanent Cell) であり、再生不能であることを理解することが鍵となります。
2.
正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢②「神経細胞は損傷後、分裂して再生することができる」が誤りです。
例:
最重要! 中枢神経系の神経細胞(ニューロン)は、出生後には分裂能を完全に失い、一度損傷を受けると再生しません(再生不能組織)。ただし、
末梢神経 (Peripheral Nerve) の軸索は、神経細胞体が無事であれば再生可能です。この「神経細胞体」と「軸索」を混同しないようにしましょう。
3.
誤答の分析 (Distractor Analysis):
①番:正しい記述です。
混同注意! 骨格筋細胞(筋線維)は分裂能が低いですが、筋細胞間に存在する
筋衛星細胞 (Muscle Satellite Cell) が活性化され、分裂・分化することで筋線維を再生します。
③番:正しい記述です。
皮膚表皮 (Epidermis) は、基底層の
基底細胞 (Basal Cell) が常に分裂し、角層へと移動・分化することで、絶えず再生しています(再生可能組織の代表例)。
④番:正しい記述です。軟骨組織は栄養血管に乏しく、軟骨細胞(コンドロサイト)の分裂能も限定的であるため、
修復は非常に遅く、完全な再生は難しいです。
⑤番:正しい記述です。
肝臓 (Liver) の肝細胞は、部分切除後も盛んに分裂し、元の大きさと機能を回復する高い再生能を持ちます(再生可能組織)。
4.
関連概念の整理 (Related Concepts): 組織の再生能分類は、看護師国家試験で頻出です。細胞分裂能の高い順に、①再生可能組織(肝細胞・骨髄細胞・表皮基底細胞・消化管粘膜上皮)、②安定細胞(腎尿細管上皮・肝細胞(もう一つの分類法)・線維芽細胞・平滑筋細胞など、刺激により分裂可能)、③永久細胞(神経細胞・心筋細胞・骨格筋細胞(但し衛星細胞による再生は可))と覚えましょう。
混同注意! 心筋細胞も神経細胞と同様に永久細胞に分類され、損傷後の再生は極めて困難です。
概念整理: 組織の再生能は、その細胞の分裂能(細胞周期に入る能力)に依存する。再生不能組織(永久細胞)の代表例:
神経細胞 (Neuron)、
心筋細胞 (Cardiomyocyte)。
一目で比較!:
| 組織分類 | 代表的な組織 | 再生能 |
|---|
| 再生可能組織 | 表皮基底細胞・肝細胞・消化管粘膜 | 高い |
| 安定細胞 | 腎尿細管上皮・線維芽細胞・平滑筋 | 中程度(刺激で分裂) |
| 再生不能組織(永久細胞) | 神経細胞・心筋細胞 | 極めて低い(再生しない) |
看護過程ポイント: 再生不能組織の損傷(例:脳梗塞、心筋梗塞)では、失われた機能に対する代償とリハビリテーション(神経可塑性を活用した機能再建)が看護の中心となる。
暗記のコツ: 「神心(しんしん)はダメ!」と覚えましょう。『神(神経細胞)心(心筋細胞)』は『ダメ(再生不能)』です。
国試頻出ポイント: 各組織の再生能力の正誤を問う問題は、基礎医学の定番。特に「末梢神経の軸索は再生するが、神経細胞体は再生しない」という細かい知識が問われることがあります。
出題パターン注意!: 単純な一問一答から、「肝切除後の患者の看護で、肝再生を促進する栄養管理はどれか」のような状況設定問題に発展します。基本を押さえましょう。