核心解説
この問題は、
筋組織 (Muscle Tissue) の分類と、その組織学的特徴(随意性・不随意性、細胞の形状、核の数、横紋の有無)を正しく理解しているかを問うものです。筋組織は大きく
骨格筋 (Skeletal Muscle)、
心筋 (Cardiac Muscle)、
平滑筋 (Smooth Muscle) の3種類に分類され、それぞれ構造と機能が明確に異なります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
選択肢④「
骨格筋 (Skeletal Muscle) -
随意筋 (Voluntary Muscle) で、多核の円柱形細胞からなる」が正しい組み合わせです。
最重要! 骨格筋は意識して動かせる「随意筋」であり、その構成単位である筋線維は細長い「円柱形(多核)」をしており、明瞭な「横紋(Striations)」が観察されます。この横紋は、アクチンとミオシンの規則的な配列によるものです。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 以下の選択肢がなぜ誤りか、組織学的特徴を整理して理解しましょう。
① 骨格筋 - 不随意筋で、単核の紡錘形細胞からなる
→
誤り。 骨格筋は「随意筋」であり、細胞は「多核の円柱形」です。「単核の紡錘形細胞」は平滑筋の特徴です。不随意筋と随意筋の混同、および平滑筋との細胞形態の混同が原因です。
② 心筋 - 随意筋で、横紋が認められる
→
誤り。 心筋は「不随意筋」です。横紋が認められる点は正しいですが、「随意筋」としている点が誤りです。心筋と骨格筋の共通点(横紋がある)と相違点(随意性/不随意性)を区別できていない誤答です。
③ 平滑筋 - 不随意筋で、横紋が認められる
→
誤り。 平滑筋は「不随意筋」で正しいですが、「横紋」は認められません(無横紋筋)。この「横紋の有無」は、筋組織を分類する上で非常に重要な鑑別点です。
⑤ 心筋 - 不随意筋で、紡錘形細胞からなる
→
誤り。 心筋は「不随意筋」で正しいですが、細胞は「分枝して連なる円柱形(単核または二核)」であり、「紡錘形」ではありません。「紡錘形細胞」は平滑筋の特徴です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
3つの筋組織の比較は、看護師国家試験の解剖学・生理学の頻出テーマです。以下のポイントを必ず整理しておきましょう。
| 項目 | 骨格筋 | 心筋 | 平滑筋 |
|---|
| 随意性 | 随意筋 (Voluntary) | 不随意筋 (Involuntary) | 不随意筋 (Involuntary) |
| 横紋 | あり (Striated) | あり (Striated) | なし (Non-striated / Smooth) |
| 細胞の形状 | 円柱形 (多核) | 分枝する円柱形 (単核/二核) | 紡錘形 (単核) |
| 神経支配 | 体性神経 (運動神経) | 自律神経 | 自律神経 |
| 主な所在 | 四肢・体幹 | 心臓 | 血管・消化管・膀胱など |
概念整理: 筋組織の分類は「随意性(意識して動かせるか)」「横紋の有無」「細胞の形状」の3つの軸で比較暗記!「骨格筋 = 随意・横紋あり・多核円柱形」「心筋 = 不随意・横紋あり・分枝円柱形」「平滑筋 = 不随意・横紋なし・紡錘形」
一目で比較!: 骨格筋と心筋は共に横紋があるため「横紋筋」と呼ばれ、心筋と平滑筋は共に不随意筋である点が共通。一方、平滑筋のみ横紋がない点が最大の違い。
看護過程ポイント: 筋組織の知識は、廃用症候群(筋萎縮)の予防(骨格筋)、心不全の病態理解(心筋)、腸蠕動や排尿障害のアセスメント(平滑筋)など、多くの看護介入の基礎となります。筋の種類によって反応や障害の現れ方が異なることを理解しましょう。
暗記のコツ: 「横紋があるのは骨格筋と心筋だけ!心筋は不随意筋、骨格筋は随意筋!」と声に出して覚えましょう。平滑筋は「滑らか=横紋なし」とイメージすると忘れにくいです。
国試頻出ポイント: この問題はまさに国試の基本的な知識問題のパターンです。各筋組織の「随意性」「横紋の有無」「細胞の形態」の正しい組み合わせを暗記しているかが問われます。混同しやすいため、3つの比較表を自分で書けるようにしておくと安心です。
出題パターン注意!: 単独の知識問題として出題される他、各臓器の疾患(心筋梗塞、胃がん術後の蠕動障害など)と関連付けて、その臓器を構成する筋組織の種類を問う形で出題されることもあります。