核心解説
この問題は、
身体障害者福祉法 (Act on Welfare of Persons with Physical Disabilities) に基づく
身体障害者手帳 (Physical Disability Certificate) の交付対象を問う、社会保障制度・福祉制度に関する基本問題です。看護師国家試験では、医療だけでなく、患者が利用できる社会資源を正しく理解し、退院支援や在宅ケアに結びつける視点が求められます。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 身体障害者手帳は、
身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)に基づき、
視覚障害 (Visual Impairment)・
聴覚障害 (Hearing Impairment)・
平衡機能障害 (Balance Disorder)・
音声・言語・そしゃく機能障害 (Voice, Speech and Masticatory Dysfunction)・
肢体不自由 (Limb Disability)・
内部障害 (Internal Disability:心臓・腎臓・呼吸器・膀胱・直腸・小腸等の機能障害)といった、
一定の障害があると認定された者に対して、
都道府県知事(政令指定都市・中核市の長を含む)が交付するものです。申請は市町村の窓口で行い、医師の診断書や意見書をもとに障害程度の認定が行われます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ②番の「市町村長が交付を決定」は誤りです。身体障害者手帳の交付権限は
都道府県知事にあります。一方、
療育手帳 (Certificate of Mental Retardation)は知的障害者福祉法に基づき都道府県知事または政令指定都市の長が交付しますが、実務上は市町村が判定・交付を行う場合もあります。このように、手帳の種類ごとに交付主体や根拠法が異なる点を整理しておきましょう。
③番の「18歳未満は対象外」は誤りです。身体障害者手帳に年齢制限はなく、
子どもも対象となります(例えば先天性の心疾患や肢体障害を持つ乳幼児・児童にも交付されます)。
④番の「1級または2級のみ」は誤りです。障害等級は
1級から6級(一部7級)まであり、より軽度の障害でも対象となります。
⑤番の「医師の診断書があれば障害程度にかかわらず申請できる」は誤りです。申請は可能ですが、
認定基準に満たない場合は不交付となります。医師の診断書は必要ですが、障害の程度が法律の定める基準に該当することが要件です。
関連概念の整理 (Related Concepts): 他の障害者手帳との比較は頻出です。
療育手帳(知的障害、都道府県知事等交付)、
精神障害者保健福祉手帳(精神障害、都道府県知事交付)と共に、「
3つの障害者手帳」としてまとめて覚えましょう。また、
障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスの利用にも、これらの手帳が関係します。
概念整理:
身体障害者手帳の根拠法と交付主体
| 項目 | 内容 |
|---|
| 根拠法 | 身体障害者福祉法 |
| 交付主体 | 都道府県知事(政令指定都市・中核市の長を含む) |
| 対象障害 | 視覚・聴覚・平衡機能・音声言語機能・肢体不自由・内部障害(心臓、腎臓、呼吸器、膀胱、直腸、小腸、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能障害) |
| 年齢制限 | なし(子どもも対象) |
| 障害等級 | 1級~6級(一部7級) |
一目で比較!:
3つの障害者手帳の比較
| 手帳の種類 | 根拠法 | 対象 | 交付主体 |
|---|
| 身体障害者手帳 | 身体障害者福祉法 | 身体障害(肢体・視覚・聴覚・内部障害等) | 都道府県知事 |
| 療育手帳 | 知的障害者福祉法(根拠) | 知的障害 | 都道府県知事等 |
| 精神障害者保健福祉手帳 | 精神保健福祉法 | 精神障害 | 都道府県知事 |
看護過程ポイント: 退院支援・地域連携において、患者・家族が利用可能な社会資源(障害者手帳、障害年金、障害福祉サービス等)をアセスメントし、必要に応じて申請を支援することが看護師の役割の一つです。
暗記のコツ: 「
身体障害者手帳は『都道府県知事』が交付」と覚えましょう。「市町村は窓口(申請受付)」、「医師は診断書作成」という役割分担をイメージすると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: 過去問では「身体障害者手帳の交付主体」「対象となる障害の種類」「他の手帳との比較」が頻出です。特に「内部障害」が含まれることと、18歳未満も対象となる点は盲点になりやすいので注意しましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題に加え、「
事例問題」で「退院後の生活を見据え、この患者に利用できる社会資源はどれか」という形で出題されることもあります。例えば「人工呼吸器を装着した在宅療養中のALS患者」に「身体障害者手帳」が利用できるかどうかを判断させる問題などです。