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問題

在宅で療養中の慢性閉塞性肺疾患 (COPD) 患者が、息切れのために歩行距離が低下している。この患者に対する移動の援助で適切なのはどれか?

解説
COPD患者の息切れに対する移動援助では、無理をせずに歩行と休憩を繰り返すことで、酸素消費を抑えながら安全に移動することができる。選択肢1は口すぼめ呼吸は呼気を延長し、息切れを軽減する効果があるため、積極的に指導すべきである。選択肢2は前かがみの姿勢は呼吸補助筋を使いやすくするが、歩行時の姿勢としては推奨されない。選択肢4は歩行時は酸素需要が増えるため、通常より増量が必要な場合がある。選択肢5は食事直後は消化のために血流が胃腸に集中し、息切れが生じやすいため避けるべきである。
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詳細解説

核心解説 この問題は、慢性閉塞性肺疾患 (Chronic Obstructive Pulmonary Disease: COPD) 患者の在宅における活動耐性低下 (Activity Intolerance) に対する看護介入を問うています。COPDの病態生理の中心は、不可逆的な気道閉塞肺の過膨張であり、労作時に動的肺過膨張 (Dynamic Hyperinflation) が生じて息切れが悪化します。そのため、看護の原則は、酸素消費量を最小限に抑え、呼吸困難を管理しながら活動範囲を拡大することです。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! COPD患者の呼吸困難感は労作とともに増強し、不安がさらに呼吸を浅く速くする悪循環に陥ります。① 歩行と休憩を繰り返すペース配分 は、エネルギー保存の原則 (Energy Conservation) に基づいた最も安全かつ実践的なADL拡大の方法です。活動を小分けにし、適切な休憩を挟むことで、酸素需要を一定に保ち、動的肺過膨張による息切れの悪化を防ぐことができます。 誤答の分析 (Distractor Analysis) 混同注意! - 選択肢2(食後直後の歩行): 食後は消化のために血流が胃腸に集中し、横隔膜が挙上するため、もともと換気予備能が低いCOPD患者では呼吸困難が増強しやすいです。少なくとも1時間は休憩を取る必要があります。 - 選択肢3(前かがみ姿勢での歩行): 前かがみ姿勢(口すぼめ呼吸と併用)は、安静時に呼吸補助筋を活用し息切れを軽減する有効な呼吸法ですが、歩行時の姿勢としては不安定であり、転倒リスクを高めるため推奨されません。歩行時は、背筋を伸ばした姿勢のほうが肺拡張に有利です。 - 選択肢4(酸素流量を減らす): 禁忌! 労作時は酸素需要が増加するため、医師の指示に基づき安静時よりも酸素流量を増量する必要があります。SpO2が90%以上を保てるように調整します。 - 選択肢5(口すぼめ呼吸を避ける): 口すぼめ呼吸 (Pursed-lip Breathing) は、呼気時に気道内圧を高めて気道の虚脱を防ぎ、呼気延長とガス交換を改善する最も基本的な呼吸リハビリテーション技術です。歩行時など労作時にこそ、積極的に活用すべきです。 関連概念の整理 (Related Concepts) COPDの在宅管理では、呼吸リハビリテーション (Pulmonary Rehabilitation) の一環として、下肢の筋力トレーニングやADLトレーニングが重要です。息切れを過度に恐れて活動を避ける「不活動の悪循環(Dyspnea-Inactivity Spiral)」を断ち切ることが看護の目標となります。 概念整理
介入概念看護のポイント
ペース配分・活動休止エネルギー保存の原則に基づき、活動を小分けにして休憩を組み込む。
口すぼめ呼吸労作時に積極的に使用する。呼気延長による気道虚脱防止が目的。
酸素療法労作時は酸素需要が増えるため、指示に基づき流量を上げる。
食後の注意腹部膨満と横隔膜挙上による呼吸困難増強のため、食直後の運動は避ける。

一目で比較!
推奨される姿勢目的と使用場面注意点
前かがみ座位安静時の息切れ緩和。呼吸補助筋を活用し、横隔膜を下げる。歩行中は転倒リスクがあるため不適切。
背筋を伸ばした姿勢歩行や活動時に推奨。肺の十分な拡張を促す。口すぼめ呼吸とペース配分を併用する。

看護過程ポイント アセスメント: 歩行前後のバイタルサイン、SpO2、呼吸困難感(修正Borgスケールなど)、不安の程度。
看護診断: 活動耐性低下 (Activity Intolerance)呼吸パターン非効果 (Ineffective Breathing Pattern)
看護介入: ペース配分の指導と、活動計画を患者と共に立案する。ポータブル酸素ボンベの使用方法と労作時の流量調整を確認する。 暗記のコツ 「COPD患者の活動は、「分けて (ペース配分)」「吐いて (口すぼめ呼吸)」「増やして (酸素流量)」「避けて (食後)」」と覚えましょう。 国試頻出ポイント COPDの看護では、口すぼめ呼吸の目的在宅酸素療法 (Home Oxygen Therapy: HOT) の指導内容、そしてADL拡大のためのペース配分が頻出です。特に、呼吸リハビリテーションの具体的な介入方法と、不適切な行動(息止め、食直後の活動など)を見極める問題が繰り返し出題されています。 出題パターン注意! この問題は「COPD=口すぼめ呼吸」という単純な知識ではなく、「歩行時という具体的な場面で、優先される介入は何か」を問う応用問題です。状況設定問題では、退院指導の場面や訪問看護の場面で「どのような指導を行ったか、評価すべき点は何か」という形で発展します。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 「70歳のCOPD患者Aさん。在宅酸素療法を導入して1ヶ月。『息が切れるのが怖くて、最近は家の中でもほとんど動いていない』と訴えています。訪問看護師として、Aさんが安全に活動範囲を広げられるよう支援したいと考えました。」 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 最重要! まずはAさんの「動くことへの恐怖心」に共感し、不活動の悪循環を理解していることを伝えます。その上で、「活動と休憩を繰り返せば、安全に動けること」をパンフレットなどを用いて説明し、自信を回復させます。 具体的には、居室内の移動から始め、歩行前に椅子に座って口すぼめ呼吸を練習し、歩行中も「1、2で吸って、3、4、5、6で口をすぼめて吐く」と声かけしながら、休憩を挟みつつ、ポータブル酸素の流量を確認しながら(例: 安静時1L/分→労作時2L/分)、SpO2が90%未満に低下しないかモニタリングします。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) 急変サイン: 歩行中にSpO2が急激に低下(90%未満)、チアノーゼ、意識レベルの低下、胸痛が出現した場合は、直ちに活動を中止し、安静座位を保持、指示の酸素流量上限まで増量し、医師に緊急連絡します。 看護プロトコル - 観察項目: SpO2、脈拍、呼吸数、呼吸困難感(修正Borgスケール)、表情、発汗、不安言動。 - 報告基準 (SBAR): 「Aさんです。歩行リハビリ中、SpO2が安静時95%から歩行開始2分後に88%まで低下し、呼吸困難感が強い状態です。指示の酸素2L/分投与していますが改善しません。」 - 記録: 活動量(歩行距離、時間)、バイタルサインの変動、呼吸困難感の主観的評価、使用した呼吸法とその効果、次回への課題。 先輩看護師の一言 「COPDの患者さんは、『呼吸が苦しい』という恐怖から、どうしても活動を避けてしまいがちです。私たち看護師の役割は、『休みながらなら動いても大丈夫』という成功体験を積み重ね、患者さんの『できる』を増やしていくことです。口すぼめ呼吸やペース配分は、患者さんが自分の力で息苦しさをコントロールするための大切な道具になります。根拠に基づいて指導し、患者さんの自立を支えていきましょう!」

重要概念

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