在宅で療養中の高齢者が、歩行器(シルバーカー)を使用して買い物に行く際の看護指導で適切なのはどれか? | MyMerci
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問題

在宅で療養中の高齢者が、歩行器(シルバーカー)を使用して買い物に行く際の看護指導で適切なのはどれか?

解説
歩行器(シルバーカー)を使用して坂道を下りる際は、歩行器を後ろ向きにして(自分と歩行器の向きを逆にして)ゆっくり下りることで、歩行器が先行して加速するのを防ぎ、転倒を予防できる。選択肢1は歩行器の高さは大転子(股関節の横の出っ張り)の高さに合わせるのが基本である。選択肢2は歩行器は体に近い位置に置き、前方に出し過ぎない。選択肢4は買い物袋をハンドルに掛けると歩行器が不安定になり転倒の原因となる。選択肢5は腕を伸ばし切ると歩行器が遠くなり、バランスを崩しやすい。
同じテーマの次の問題在宅で療養中の要介護高齢者が、車椅子からベッドへの移乗時に介助者に体重を預けることができず、移乗に時間がかかっている。この状況で最も適切な看護援助はどれか?

詳細解説

核心解説 この問題は、在宅高齢者の歩行器(シルバーカー)を用いた安全な外出支援に関する看護指導を問うています。歩行器 (Walker / Rollator) は、高齢者の自立歩行を支援する重要な福祉用具ですが、誤った使用法は転倒 (Fall) という重大な事故に直結します。特に屋外での坂道や段差における安全な移動技術 (Safe Mobility Technique) を理解することが、在宅看護(Home Care Nursing)の視点で不可欠です。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! ③ 坂道では歩行器を後ろ向きにして下りる。 坂道を下る際、歩行器を通常通り前に押すと、重力で歩行器が加速し、利用者が引っ張られて前傾姿勢となり転倒リスクが極めて高くなります。歩行器を後ろ向きにし、利用者が歩行器の前に立ってブレーキをかけながら下りることで、歩行器の速度をコントロールし、安全に下ることができます。これは福祉用具専門相談員理学療法士 (PT) と連携し、在宅環境に合わせた生活指導 (Activities of Daily Living, ADL 指導) として極めて重要です。 誤答の分析 (Distractor Analysis)買い物袋は歩行器のハンドルに掛けて使用する。混同注意! 買い物袋をハンドルに掛けると、重量バランスが崩れ歩行器が後方へ倒れやすくなります。荷物は専用のバスケットや座面下の収納に入れるよう指導します。 ② 歩行器の高さは患者の手首の高さに合わせる。混同注意! 正しい高さは、肘を軽く曲げた状態で大転子(股関節の外側の骨突出部)の高さにハンドルを合わせるのが基本です。手首の高さでは低すぎて前傾姿勢になります。 ④ 歩行器は両手で握り、腕を伸ばした状態で使用する。混同注意! 腕を伸ばし切ると歩行器が遠くなり、体幹が前傾してバランスを崩しやすくなります。肘は軽く曲げ(約15~30度)、体の近くで操作します。 ⑤ 歩行器は患者の前方約50cmの位置に置く。混同注意! 歩行器を前方に出しすぎると、支持基底面が不安定になり転倒しやすくなります。歩行器は体に近い位置に置き、一歩踏み出す際に前方へ押し出すように指導します。 関連概念の整理 (Related Concepts) シルバーカーは、歩行補助機能に加えて荷物運搬や休憩用の座面を備えた歩行車 (Rollator) です。固定式歩行器や四点杖とは異なる特性を持ちます。在宅高齢者の転倒予防アセスメント (Fall Risk Assessment) では、住環境のバリア(段差、敷居)だけでなく、福祉用具の適切な選択と使用方法の指導が含まれます。 概念整理
指導項目正しい方法誤った方法(リスク)
高さ調整大転子の高さ、肘が軽く曲がる手首の高さ(低すぎる)
握り方・距離体の近くで保持、肘を軽く屈曲腕を伸ばし切る、前方50cmに置く
荷物の運搬専用バスケット・座面下収納ハンドルに袋を掛ける(不安定)
坂道(下り)歩行器を後ろ向きにして体で制動前方に押して下りる(加速し転倒)
一目で比較!
特徴シルバーカー (歩行車)固定式歩行器四点杖
主な対象者屋外歩行が可能な比較的安定した高齢者下肢筋力低下が著明な場合の屋内歩行練習片側に軽度のバランス障害がある場合
安定性中程度(キャスター付き)高い(持ち上げて移動)低い(一点支持)
注意点坂道、荷物の掛け方段差での引っ掛かり健側で持つ、高さ調整
看護過程ポイント アセスメント (Assessment): 運動機能(下肢筋力、バランス能力)、認知機能(使用方法の理解度)、住環境(坂の有無、通路幅)、生活行動(買い物の頻度、荷物の量)を評価します。 看護診断 (Nursing Diagnosis): 身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)転倒リスク (Risk for Falls)看護計画 (Planning): 実際の生活道路を用いた歩行練習、適切な用具選定のための多職種連携(PT、福祉用具相談員)。 実施 (Implementation): 坂道での後ろ向き歩行や、荷物の適切な積載方法を、口頭説明だけでなく実際の動作を見本 (Demonstration) で示し、患者が実施してみせて (Return Demonstration) もらい、技術習得を確認します。 暗記のコツ 坂道での歩行器操作は「下り坂は振り返って(後ろ向き)」と覚えましょう。ジェットコースターが前向きで急降下すると怖いのと同じで、歩行器も下りでは制御が必要だ、とイメージすると記憶に残ります。また、ハンドルに荷物を掛ける「ながら運転」が危険なのは、自転車運転と同様です。 国試頻出ポイント 在宅看護論や老年看護学において、福祉用具の安全な使用方法は高頻度で出題されます。特に「坂道」「段差」「荷物」というキーワードが出たら、誤った選択肢を見抜くための確実な知識が求められます。状況設定問題では、具体的な生活場面(例:自宅前の急な坂道、スーパーでの買い物袋)が提示され、適切な看護指導を選択させる形式が典型です。 出題パターン注意! 単純に「正しいのはどれか」という知識問題から、事例の中で「この患者への転倒予防指導で最も適切なのはどれか」という状況設定問題として出題されます。在宅のアセスメント情報(例:玄関前に急な下り坂がある、週3回500m先の商店に買い物に行く)と組み合わせて、坂道での指導や荷物運搬の注意点を問われるパターンが頻出です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario) 「80歳女性、独居。変形性膝関節症のためシルバーカーを使用し、週に2回、自宅から300m先のスーパーへ買い物に行く。退院前の在宅指導で看護師が同行したところ、帰り道の緩やかな下り坂で、シルバーカーに買い物袋を2つ掛け、前傾姿勢で早足になっている様子がみられた。」 この患者に対し、看護師はどのように指導・介入すべきでしょうか。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 1. 観察 (Observation): 歩行速度、姿勢(前傾の有無)、呼吸状態、バランス、ハンドルの握り方、荷物の積載状況を観察します。 2. アセスメント (Assessment): 荷物の重さと掛け方が歩行器の安定性を損ない、下り坂の重力加速が加わって転倒リスクが極めて高い状態と判断します。独居のため、転倒による要介護度悪化は自立生活の破綻に直結するため、緊急性が高いです。 3. 介入 (Intervention): まず安全な平坦な場所に移動し、休憩を促します。落ち着いたところで、「少し急な坂は危ないので、ゆっくり一緒に歩きましょう」と声をかけ、歩行器を後ろ向きにして下りる方法を実際にやってみせます (Demonstration)。次に患者に実施してもらい (Return Demonstration)、体で覚えてもらいます。荷物については、カゴへの収納を促し、ハンドルに掛ける危険性を説明します。 4. 評価 (Evaluation): 正しい方法で安全に坂を下りることができたか、荷物の積載方法が改善されたかを確認します。患者が「これなら安心して買い物に行ける」と実感できることが重要です。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 環境アセスメントの重要性: 指導は病院内の平地だけでなく、実際の生活道路で行うことが最も効果的です。退院前訪問指導や外泊時の確認が不可欠です。 - ブレーキ操作の確認: シルバーカーのブレーキレバーの操作方法と、駐車時には必ずブレーキをかける習慣も併せて指導します。 - 独居高齢者への配慮: 万一の転倒に備え、緊急通報システムや近隣との見守り体制など、ソーシャルサポート (Social Support) の確認も看護師の役割です。 看護プロトコル 観察項目: バイタルサイン(活動前後の変化)、歩容、バランス能力、息切れの有無、使用している福祉用具の種別と調整状態。 報告基準 (SBAR): Situation(坂道での歩行が不安定)、Background(変形性膝関節症、独居、シルバーカー使用)、Assessment(用具の誤使用と環境要因による転倒リスク大)、Recommendation(理学療法士による歩行再評価と福祉用具適合、ケアマネジャーへの環境調整依頼)。 記録のポイント: 指導内容、患者の反応と理解度、動作の習得状況、残存するリスクと今後の計画を具体的に記載する。 家族への説明: 遠方の家族へも、具体的な使用方法の写真や動画を共有し、正しい見守り方を伝える。 先輩看護師の一言 「患者さんの『大丈夫、慣れてるから』という言葉にこそ、潜むリスクを見抜くのが私たち看護師です。在宅での生活は、病院という管理された環境とは全く異なります。『なぜ危ないのか』を病態生理や力学的な根拠をもって説明し、実際に体感してもらうことで、患者さんの安全な生活を生涯にわたって守ることができます。国試の問題を通して、臨床のリアルをイメージするクセをつけてくださいね。」

重要概念

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