こんな問題があと475問挑戦 ›
小児期特有の症状や疾患を持つ小児と家族の看護
自閉スペクトラム症の幼児に見られる特徴的な行動として適切なのはどれか。
-
1
模倣遊びの活発さ
-
2
特定の物への強いこだわり
✓ 正解
-
3
視線が合いやすい
-
4
言語発達の促進
-
5
他児への関心が強い
解説
自閉スペクトラム症では、特定の物や行動への強いこだわり、常同行動、感覚の過敏性または鈍麻性などが特徴的に見られる。視線が合いにくく、他児への関心が低いことが多く、言語発達の遅れや模倣遊びの困難さも見られる。
同じテーマの次の問題ダウン症候群の新生児で最も頻度が高い先天性心疾患はどれか。この問題が収録された問題集小児看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、自閉スペクトラム症 (Autism Spectrum Disorder, ASD) の幼児期における特徴的な行動パターンを問うています。ASDは、社会的コミュニケーションの質的障害と限定された反復的な行動・興味・活動を2つの核心症状とする神経発達症 (Neurodevelopmental Disorder) です。幼児期のASDでは、「他者と関わることの困難さ」と「同一性保持への強い欲求」が行動に如実に現れます。本問では、この「限定された反復的な行動パターン」に該当する選択肢が正解となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は「特定の物への強いこだわり」です。これはASDの診断基準の中核である 「興味の範囲の限局と常同性 (Restricted, repetitive patterns of behavior, interests, or activities)」 を直接的に示しています。例えば、同じ車のおもちゃのタイヤだけを回し続ける、特定のテレビ番組のワンシーンだけを繰り返し見る、物の並べ方に強いこだわりを持つなどの行動が該当します。この行動は、見通しが立たないことへの不安から、環境の予測可能性を高め、安心感を得るための適応行動であると理解できます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番の「模倣遊びの活発さ」は誤りです。ASDの幼児は、他者の行動を観察し模倣する 「社会的参照 (Social Referencing)」 や「見立て遊び (Pretend Play)」 が困難であることが特徴的です。定型発達児が「電話ごっこ」や「おままごと」を自然に始めるのに対し、ASD児は物の機能的な使い方(例:車を走らせる)に固執し、象徴的な遊びに発展しにくいです。
③番の「視線が合いやすい」は誤りです。混同注意! ASDでは、対面でのアイコンタクトの回避が早期から見られるサインの一つです。新生児期から人の顔を見ようとしない、視線を合わせてもすぐにそらすなどの特徴が、乳児期の気づきのきっかけとなることが多いです。
④番の「言語発達の促進」は誤りです。ASDでは言語発達の遅れや退行が高頻度で見られます。特に、2歳前後で一度獲得した言葉が消失する「獲得言語の退行」はASDに特徴的で、早期発見の重要な手がかりとなります。ただし、知的障害を伴わない高機能ASDでは、語彙自体は豊富でも、会話のキャッチボールができない、相手の気持ちを汲んだ言語使用が苦手という「語用論的障害」が前景に出ることもあります。
⑤番の「他児への関心が強い」は誤りです。ASDの幼児は、他の子どもに対して無関心であるか、または独特な方法で関わろうとすることが多いです。一方的に自分の好きな話題を話し続ける、集団遊びに入れず一人遊びに没頭する、他児が近づくとパニックになるなどの行動が見られます。
概念整理: 自閉スペクトラム症 (ASD) は、社会的コミュニケーションの障害(対人相互反応、非言語的コミュニケーション、関係構築の困難)と 限局的反復行動(常同運動、同一性保持、限定された興味、感覚の特異性)の2軸で理解します。幼児期の診断では、これらの行動が「年齢相応の発達」から逸脱しているかどうかが評価の鍵となります。
一目で比較!
| 特性 | 自閉スペクトラム症 (ASD) | 注意欠如・多動症 (ADHD) |
|---|
| 対人関係 | 回避・無関心・独特な関わり | 衝動的・過度に社交的 |
| こだわり | 強い (変化への抵抗) | 少ない (飽きやすい) |
| 注意 | 特定対象への過集中 | 注意散漫・持続困難 |
看護過程ポイント
- アセスメント: 乳幼児健診や保育園での集団生活における観察情報が重要。「視線が合わない」「名前を呼んでも振り返らない」「一人遊びが多い」「特定の遊びに固執する」などのサインを見逃さない。
- 看護診断: 例:「社会的相互作用の障害 (Impaired Social Interaction)」「非効果的対処 (Ineffective Coping)」「危険への防御低下 (Risk for Injury)」など。
- 介入: 構造化された環境の提供(見通しが立つスケジュール表示)、感覚過敏への配慮(照明や音の調整)、本人のペースを尊重した関わり、保護者への支援と社会資源(療育機関、ペアレントトレーニング)の情報提供。
- 評価: 特定の行動が軽減したか、コミュニケーション手段が拡大したか、保護者の育児負担感が軽減したか。
暗記のコツ
ASDの3つの核心症状は「3つの『こ』」で覚えましょう。
1. **こ**みゅにけーしょん(コミュニケーション)障害
2. **こ**さい(交代性)が苦手
3. **こ**だわりが強い
国試頻出ポイント
ASDは、小児看護学だけでなく、精神看護学、発達障害の分野でも頻出です。特に以下のポイントが問われます。
- 早期発見のサイン(3歳児健診でのチェックリストなど)
- 診断基準(DSM-5の2つの核心症状)
- 合併しやすい疾患(知的障害、てんかん、ADHD、不安障害)
- 薬物療法(易刺激性や常同行動に対するリスペリドンなど)
- 保護者支援と療育の基本(TEACCHプログラム、応用行動分析)
出題パターン注意!
事例問題で「保育園で集団行動ができず、一人で遊んでいる幼児」の事例が提示され、「最も考えられるのは?」という出題が典型的です。また、ASDとADHDの鑑別を問う問題や、ASD児の看護介入の優先順位(例:環境調整 vs 服薬指導 vs 保護者への病状説明)を問う問題も増えています。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): 3歳男児。保護者から「言葉の遅れが気になる。他の子と遊ばず、一人でブロックをずっと並べている。並べ方が崩れると大声で泣く」と相談を受けました。発達外来を受診し、ASDと診断されています。初回の療育指導で、看護師はどのような関わりを提案すべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. **観察・アセスメント**: まず、男児が現在どんな遊びに没頭しているか(ブロックを並べる、タイヤを回すなど)、パニックの誘因(見通しの変化、感覚刺激)は何かを観察します。保護者の困りごと(育児ストレス、周囲の理解不足)も同時にアセスメントします。
2. **計画・介入**:
- 最重要! **構造化された環境**: 見通しが立つよう、「絵カードスケジュール」を導入します。「おもちゃで遊ぶ→お片付け→おやつ」といった順序を視覚的に示すことで、安心して次の活動に移行できるよう支援します。
- **感覚への配慮**: 遊戯室の照明を落とす、BGMを消すなど、感覚過敏への環境調整を行います。男児が苦手な刺激(特定の音や光)を特定し、避ける工夫をします。
- **遊びの拡大**: こだわりを利用し、ブロック遊びに少しずつ変化を加えます。例えば、「赤いブロックは青いブロックの上に乗せる」といった簡単なルールを導入し、楽しみながら柔軟性を育てます。
- **保護者支援**: ペアレントトレーニングの情報提供、同じ悩みを持つ保護者同士の交流の場(地域の親の会)を紹介します。「お母さん(お父さん)のせいではありません」と伝え、孤立感を軽減します。
3. **評価**: パニックの頻度が減ったか、スケジュールを見て行動できるようになったか、保護者が安心して子育てできるようになったかを評価します。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 危険 **パニック時の安全確保**: パニック時に自分や他者を傷つける行動(頭を打ち付ける、噛みつく)がないか注意します。安全な空間(クッションのある部屋)を確保し、刺激を遮断します。
- **転落・転倒予防**: 常同行動(体を揺らす、ぐるぐる回る)中にバランスを崩すリスクがあります。周囲の危険物を取り除きます。
- **保護者への説明**: 「こだわり」は否定せず、少しずつ許容範囲を広げていくことが大切だと伝えます。無理強いせず、子どものペースを尊重するよう助言します。
看護プロトコル
- **観察項目**: こだわりの内容と程度、パニックの誘因と頻度、コミュニケーション手段(指差し、クレーン現象、発語)、対人反応性(視線、表情模倣)、遊びの内容(象徴遊びの有無)、感覚の特性(特定の音・触感への反応)。
- **報告基準 (SBAR)**:
- **Situation**: 「〇〇君(3歳、ASD診断)が、療育中に突然大声で泣き出し、頭を床に打ち付けました。」
- **Background**: 「ブロックの並べ方が崩れたことが誘因と思われます。普段から並べ方に強いこだわりがあります。」
- **Assessment**: 「パニック状態です。刺激を遮断し、安全を確保しました。」
- **Recommendation**: 「今後の対応として、こだわりを無理に修正せず、徐々に許容範囲を広げる関わりを検討したいです。保護者への報告と連携が必要です。」
- **記録のポイント**: 行動観察は具体的に記録します(「赤い車を右から左に20往復させていた」など、数値や順序を含める)。介入前後の行動の変化を比較できるように記述します。
- **家族への説明**: 診断名の告知後は、ASDの特性(「特性であり、病気ではない」こと)をわかりやすく伝え、適切な療育につなげることが重要です。
先輩看護師の一言
「ASDの子どもさんの看護で一番大切なのは、『個性として尊重する』という視点です。『変わった子』ではなく『この子はこういう世界の見方をしているんだな』と理解すると、介入の仕方が変わってきます。国試では『特徴的な行動は何か?』という知識問題が出ますが、現場では『その行動にどんな意味があるのか?』を考えられる看護師になりましょう。こだわりは『安心のためのルーティン』、感覚過敏は『この世界の情報量が多すぎるんだ』という視点が、保護者支援にもつながりますよ!」
- 自閉スペクトラム症 — 社会的コミュニケーションの障害と限局的反復行動を特徴とする神経発達症。スペクトラム(連続体)という概念で捉え、症状の重症度は個人差が大きい。
- 常同行動 — 目的がないように見える、反復的でパターン化された運動(体を揺らす、手をひらひらさせる、くるくる回るなど)。ASDに特徴的な行動の一つ。
- 社会的参照 (Social Referencing) — 乳幼児が、不確かな状況で他者の表情や行動を手がかりに自分の行動を決める能力。ASD児はこの機能が弱いとされる。
- 見立て遊び (Pretend Play) — 物や状況を別のものに見立てて行う遊び(例:積み木を食べ物に見立てる)。ASD児はこの象徴的な遊びの発達が遅れることが多い。
- TEACCHプログラム — 自閉症の人々のための構造化された教育プログラム。環境やスケジュールを視覚的に構造化することで、見通しを持ち、安心して活動できるよう支援する。
MyMerciで看護師国家試験を完全対策
過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。
無料で始める
学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。