核心解説
この問題は、
脳性麻痺 (Cerebral Palsy) における麻痺の分布と病型分類を問うています。脳性麻痺は、胎児期から新生児期にかけての非進行性脳障害によって生じる運動機能障害であり、麻痺の分布パターンによって病型が分類されます。特に「四肢全てに麻痺があり、特に下肢に強い痙性を示す」という記述が、
両麻痺 (Diplegia) の典型的な特徴です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は①番の
両麻痺 (Diplegia)です。両麻痺は、
最重要! 四肢すべてに麻痺が認められますが、特に下肢に強く症状が現れる病型です。上肢の障害は軽度であるか、または下肢に比べて明らかに軽いことが特徴です。脳性麻痺の中でも最も頻度が高く、特に早産児に多く見られる病態で、脳室周囲白質軟化症 (PVL) との関連が深いとされています。痙性型が主体であり、下肢の尖足やはさみ足歩行が特徴的です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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混同注意! ②番の
単麻痺 (Monoplegia)は、一つの四肢のみに麻痺が認められる病型です。問題文は「四肢全て」とあるため明らかに該当しません。
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混同注意! ③番の
四肢麻痺 (Quadriplegia/Tetraplegia)は、四肢全てにほぼ同程度の麻痺が認められる病型です。問題文のように「特に下肢に強い」という下肢優位の特徴は四肢麻痺には該当せず、むしろ上肢と下肢の障害程度に差がない、または上肢にも重度の障害が及ぶことが多いです。
- ④番の
対麻痺 (Paraplegia)は、両下肢のみに麻痺が認められ、上肢には麻痺が認められない病型です。問題文は「四肢全て」とあるため該当しません。
- ⑤番の
片麻痺 (Hemiplegia)は、身体の片側(右半身または左半身)に麻痺が認められる病型です。上肢と下肢の両方に障害が現れますが、反対側は正常である点が四肢麻痺や両麻痺と異なります。
関連概念の整理 (Related Concepts)
脳性麻痺 (Cerebral Palsy) の病型分類は、運動障害のタイプ(痙性、アテトーゼ、失調、低緊張、混合型)と麻痺の分布(片麻痺、両麻痺、四肢麻痺、対麻痺、単麻痺、二重片麻痺)の二軸で理解することが重要です。痙性型が全体の約70%を占め、最も多く見られます。また、両麻痺は早産児に多いのに対し、四肢麻痺は満期産児で出生時仮死などの周産期低酸素性虚血性脳症 (HIE) に起因することが多く、重症度が高い点も合わせて押さえておきましょう。
概念整理: 脳性麻痺病型と麻痺分布の対応
| 病型 | 麻痺分布 | 特徴 |
|---|
| 両麻痺 (Diplegia) | 四肢全て 特に下肢優位 | 早産児に多い PVL関連 尖足・はさみ足歩行 |
| 四肢麻痺 (Quadriplegia) | 四肢全て 同程度または上肢優位 | 満期産児に多い HIE関連 重症度が高い |
| 片麻痺 (Hemiplegia) | 身体片側 上肢優位 | 新生児期の脳梗塞 脳奇形 痙性型が多い |
| 対麻痺 (Paraplegia) | 両下肢のみ | 脊髄障害によるものが多い 脳性麻痺では稀 |
| 単麻痺 (Monoplegia) | 一つの四肢のみ | 脳性麻痺では非常に稀 |
一目で比較!: 両麻痺 vs 四肢麻痺
| 項目 | 両麻痺 | 四肢麻痺 |
|---|
| 麻痺の重症度 | 下肢 > 上肢 | 上肢 ≒ 下肢 または 上肢 > 下肢 |
| 出生週数との関連 | 早産児に多い | 満期産児に多い |
| 主な原因病態 | 脳室周囲白質軟化症 (PVL) | 低酸素性虚血性脳症 (HIE) |
| 合併症の重症度 | 比較的軽度 知能正常も多い | 重度 知的障害・てんかん・摂食障害合併率高 |
| 歩行獲得 | 可能な場合が多い | 困難な場合が多い |
看護過程ポイント: 脳性麻痺の小児への看護では、
運動発達のアセスメント (Assessment of Motor Development) が重要です。特に両麻痺では、股関節脱臼や尖足変形の予防、関節拘縮予防のためのポジショニングとストレッチ、ADL拡大のための装具療法やリハビリテーションの継続支援が看護計画に組み込まれます。また、二次障害予防としての姿勢管理と、家族への介護指導(特に下肢のケアと歩行補助具の使い方)が看護介入の重点項目となります。
暗記のコツ: 「四肢全て」+「下肢が強い」=「両麻痺」と覚えましょう。「両」という字を「両方の脚(両下肢)」とイメージすると、上肢の障害はあっても下肢の障害が主体であることを連想しやすくなります。「四肢麻痺」は「四つの肢全てが同じくらい麻痺」とセットで暗記すると混乱しにくいです。
国試頻出ポイント: 脳性麻痺の病型分類は、麻痺分布(両麻痺・四肢麻痺・片麻痺・対麻痺)と運動障害のタイプ(痙性・アテトーゼ・失調・低緊張・混合型)の組み合わせを問う問題が頻出です。また、病型と出生週数・原因病態との関連(両麻痺=早産児+PVL、四肢麻痺=満期産児+HIE)は、看護師国家試験で繰り返し出題される重要テーマです。
出題パターン注意!: 単純な病型名称の暗記だけでなく、「痙性両麻痺の小児で期待される歩行パターンはどれか(尖足歩行・はさみ足歩行・動揺性歩行など)」といった臨床症状と結びつけた応用問題や、「脳性麻痺児の在宅療養において、看護師が家族に行う指導として適切なのはどれか」といった生活支援・家族支援に発展した事例問題にも対応できるよう、病態生理と日常生活動作 (ADL) の関連を理解しておきましょう。