生後6か月の乳児が先天性股関節脱臼の観血的整復術を受けることになった。術後の看護で正しいのはどれか。 | MyMerci
健康障害の病期別の小児と家族の看護
問題

生後6か月の乳児が先天性股関節脱臼の観血的整復術を受けることになった。術後の看護で正しいのはどれか。

解説
FLACCスケールは乳幼児の疼痛評価に適した行動評価尺度である。ギプス縁にタオルを挟むと圧迫点ができ皮膚トラブルの原因となる。痒みに対しては直接掻かず、冷風を当てるなど対応する。ドライヤーの温風は熱傷の危険がある。ギプス固定中は患側を下にすると循環障害や疼痛のリスクがある。

詳細解説

核心解説 この問題は、先天性股関節脱臼 (Congenital Dislocation of the Hip, CDH / 現在は発育性股関節形成不全: Developmental Dysplasia of the Hip, DDH) の術後看護、特にギプス (Spica Cast) 固定中の合併症予防と評価方法を問うています。生後6か月の乳児に対する観血的整復術後は、股関節を安定した位置に保つためにハイパースピカギプス で固定します。この時期の乳児は疼痛や不快感を言語で訴えられないため、行動観察による評価が不可欠です。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): この問題の核心は、乳幼児の術後疼痛管理 (Postoperative Pain Management in Infants)ギプスケア (Cast Care) の2つです。特に、乳児は成人とは異なる疼痛評価スケールを使用する点、ギプスによる皮膚トラブルや循環障害を予防するための具体的なケアが重要です。最重要! ギプス固定は長期にわたるため、合併症(皮膚びらん、圧迫創、神経麻痺、コンパートメント症候群など)を防ぐ看護が生命線となります。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 正解は②番です。最重要! FLACCスケール (Face, Legs, Activity, Cry, Consolability scale) は、生後2か月から7歳までの小児の疼痛評価に広く用いられる行動評価尺度です。顔の表情、下肢の動き、活動度、泣き方、慰めやすさの5項目をそれぞれ0~2点で評価し、合計点(0~10点)で痛みを客観的に評価します。言語表現が未熟な乳幼児にとって、バイタルサイン変動のみに頼るより、行動観察に基づくこのスケールがより正確な疼痛アセスメントを提供します。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): 混同注意! - ①番: ギプス内の痒みに対して直接手指で掻くことは禁忌です。皮膚が傷つき感染(びらん、潰瘍)のリスクが高まります。正しくは、ギプス縁から冷風を当てる、清潔を保つ、掻きたい場合はギプスの外から優しく叩くなどで対応します。痒みの原因がギプス内の汚れや汗の場合もあるため、異臭や発熱がないか観察します。 - ③番: ギプス縁にタオルを挟むことは禁忌です。タオルが圧迫点となり、ギプス内で皮膚を圧迫し、褥瘡(床ずれ)や循環障害の原因になります。ギプス縁の皮膚は、ガーゼや専用のパッドで保護するか、ギプス縁そのものを滑らかに仕上げてもらいます。 - ④番: ドライヤーの温風を直接当てることは禁忌です。温風はギプスの外側だけを乾かし、内側の湿潤が残るためギプスが軟らかくなり変形・破損の原因になります。また、熱傷の危険性もあります。ギプス乾燥は自然乾燥が原則です。温風を使用する場合は、低温設定で間接的に当て、こまめに触って温度を確認します。 - ⑤番: ギプス固定中の体位で患側を下にした側臥位は禁忌です。患側を下にすると、ギプスによる圧迫が強まり、疼痛増強や下肢の循環障害(腫脹、チアノーゼ、冷感)を引き起こすリスクがあります。基本的には仰臥位または健側を下にした側臥位が推奨されます。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): - 発育性股関節形成不全 (DDH) の治療: 新生児期のリーメンビューゲル装具 → 乳児期の牽引・徒手整復 → 観血的整復術+ハイパースピカギプス固定(通常3~6か月)。早期発見・早期治療が鍵です。 - 小児の疼痛評価スケール: FLACCスケール以外にも、新生児にはNIPS (Neonatal Infant Pain Scale)、3歳以上の幼児にはフェイススケール (Wong-Baker FACES) など、年齢や発達段階に応じて使い分けます。 - ギプス固定中の合併症と観察項目: 5Ps(Pain 疼痛、Pallor 蒼白、Pulselessness 脈拍触知不能、Paresthesia 知覚異常、Paralysis 運動麻痺)を定期的に観察します。乳児では泣き方の変化、ミルクの飲みが悪い、ギプス内の臭い(感染兆候)なども重要なサインです。
概念整理: 発育性股関節形成不全 (DDH) の術後ケアの核心は、乳幼児に特化した疼痛評価 (FLACCスケール)ギプス固定中の合併症予防(5Ps観察、皮膚トラブル予防、体位管理) です。
一目で比較!:
評価対象成人乳幼児
疼痛評価Numerical Rating Scale (NRS) Visual Analog Scale (VAS)FLACCスケール NIPS フェイススケール
循環障害観察5Ps 自覚症状(しびれ・冷感)重視5Ps に加え 泣き方・機嫌・ミルク摂取量・ギプスの臭いを重視

看護過程ポイント: アセスメント: FLACCスケールで疼痛評価(例: 顔をしかめ、下肢を激しく動かし、大泣きで慰められない → 8点/10点 強い痛み)。ギプス縁の皮膚の発赤・腫脹の有無、ギプスの異臭、足趾の色・温度・毛細血管再充満時間(2秒以内)を観察。看護診断: 「急性疼痛」「皮膚統合障害のリスク」「末梢神経血管機能障害のリスク」。計画・実施: 医師の指示に基づく鎮痛薬投与(アセトアミノフェンなど)、体位変換(仰臥位または健側臥位)の介助、ギプス縁の保護、清潔ケア。評価: FLACCスコアの低下、ギプス内皮膚に異常がないこと、足趾の循環良好。
暗記のコツ: 乳幼児の痛みは「FLACCで顔・脚・活動・泣き・慰め」と覚えましょう。ギプスケアは「温風×、手指×、タオル挟む×」の3大禁忌と「5Ps観察」をセットで暗記!「温風は熱傷、手指は感染、タオルは圧迫」とイメージすると忘れにくいです。
国試頻出ポイント: 小児看護学の分野で、FLACCスケールの適応年齢と評価項目、ギプスケアの禁忌事項は毎年といっていいほど出題されます。特に「ギプス縁にタオルを挟む」は有名な誤答選択肢です。事例問題で「術後3日の乳児、ギプス内が痒いとぐずっている」という設定で、適切な看護介入を問う問題も頻出です。
出題パターン注意!: 単純な知識問題(「FLACCスケールで評価するのはどれか?」)だけでなく、状況設定問題に発展します。例えば「生後8か月の女児、DDHの観血的整復術後、ハイパースピカギプス固定中。夕方から機嫌が悪く、ミルクをほとんど飲まない。看護師の観察で最も優先すべき項目はどれか?」のような形で、疼痛評価の優先度や具体的な観察手順を問われます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 生後6か月の女児、DDHのため観血的整復術を受け、術後3日目。ハイパースピカギプスで固定中。夜間、ギプス内が気になるのか激しく泣き、足をバタつかせています。母親は「痒いのかな、どうにかしてあげたいけど…」と不安そうな表情です。看護師として、どのようにアセスメントし、対応すべきでしょうか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: まず 最重要! FLACCスケール で客観的に疼痛評価を行います。顔の表情(歯を食いしばっているか)、下肢の動き(激しいキックか、ギプスを蹴るような動きか)、活動度(体を反らせているか)、泣き方(大泣きか、ヒステリックか)、慰めやすさ(抱っこやおしゃぶりで落ち着くか)を観察。同時にギプス縁の皮膚の発赤・腫脹・湿潤の有無、足趾の色・温度・毛細血管再充満時間(2秒以内)、ギプスからの異臭を確認します。母親の心理的負担もアセスメントします。 2. 報告と介入: FLACCスコアが高値(例: 7点以上)で、明らかな皮膚トラブルや循環障害がなければ、医師へ報告し、指示に基づき鎮痛薬(アセトアミノフェン坐薬など)を投与します。痒みが主訴であれば、ギプス縁から 冷風(ドライヤーの冷風またはうちわ) を当てる、清潔なおむつ交換を確認する、ギプス内に汚れや汗がたまっていないかを確認します。母親には「掻かせないこと」「タオルを挟まないこと」を具体的に説明し、安心させます。 3. 評価: 薬剤投与後30分~1時間で再度FLACCスケールを評価し、疼痛緩和効果を確認。同時に母親の不安が軽減したかどうかも評価します。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): - ギプス縁にタオルやガーゼを挟み込まない(圧迫創のリスク)。ギプス縁の皮膚保護には、ガーゼをギプス縁に沿って当て、テープで固定するか、専用のパッドを使用します。 - ギプス乾燥中にドライヤーの温風を直接当てない(熱傷・ギプス変形のリスク)。乾燥促進には自然乾燥が原則。どうしても必要な場合は、低温設定で間接的に当て、こまめに温度確認。 - ギプス内の痒みに対して直接手指を入れさせない(皮膚損傷・感染のリスク)。保護者への指導を徹底。 - 特定集団の特殊性: 乳児は皮膚が薄く、ギプスによる圧迫創が発生しやすい。また、循環障害のサインを言語で伝えられないため、泣き方や機嫌の変化、ミルクの飲みの変化に注意。
看護プロトコル: 観察項目: 1) FLACCスケール(2時間ごと)、2) ギプス縁の皮膚状態(発赤・腫脹・湿潤・びらん)、3) ギプスの臭い(感染兆候)、4) 足趾の色・温度・毛細血管再充満時間・運動・感覚(5Ps)、5) ミルク摂取量・機嫌・睡眠状態。報告基準(SBAR): S「FLACCスケール8点、ギプス内痒みの訴えあり」B「DDH術後3日目、ハイパースピカギプス固定中」A「足趾の循環良好、皮膚に発赤なし、異臭なし」R「鎮痛薬投与の指示と、痒みに対する冷風対応の指示を仰ぎたい」。記録: 疼痛スケールのスコア、介入内容(薬剤名・用量・経路・投与時間・効果)、皮膚状態、母親の反応を詳細に記載。
先輩看護師の一言: 「この問題で最も大切なのは、乳幼児の痛みを『泣いているから』だけで判断せず、FLACCスケールという客観的なものさしを使うことです。ギプスケアの禁忌も、『なぜダメなのか』を保護者にわかりやすく説明できるようにしておきましょう。『痒いのはつらいよね、でも掻くと傷になっちゃうから、一緒に冷風を当てて気持ちよくしようね』と優しく声かけできる看護師を目指して!」

重要概念

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