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小児の成長と発達
問題

エリクソンの発達段階において、青年期(12~20歳)の危機(クライシス)とその肯定的な解決によって獲得される能力の組み合わせで正しいものはどれか。

解説
青年期の発達課題は「同一性 対 同一性拡散」であり、これを肯定的に解決することで「忠誠」の能力が獲得される。同一性の確立とは、自分が何者であるかという一貫した感覚を得ることであり、これは青年期の中心的な発達課題である。
同じテーマの次の問題エリクソンの発達段階において、幼児期(1歳半~3歳)に達成すべき発達課題はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、エリクソンの発達段階理論 (Erikson’s Psychosocial Development Theory) における各段階の「心理社会的危機 (Psychosocial Crisis)」と、その肯定的な解決によって獲得される「基本的な力 (Basic Virtue)」を問うています。看護師国家試験では、特に小児看護学や精神看護学、老年看護学の領域で、患者の発達段階に応じた看護を考える基盤となります。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): エリクソンの発達段階は、各ライフステージで乗り越えるべき発達課題(危機)があり、その解決を通じて人格が発達すると提唱しています。青年期 (12~20歳) の課題は、同一性 (Identity) の確立です。これは「自分は何者か」という一貫した感覚を得ることであり、この危機がうまく解決されないと 混同注意! 役割の混乱や同一性拡散 (Role Confusion / Identity Diffusion) に陥ります。肯定的解決により獲得される能力は 忠誠 (Fidelity) です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢②「同一性 対 同一性拡散 / 忠誠」が正解です。これはエリクソンの理論における青年期の発達課題と、その解決によって獲得される基本的な力の組み合わせとして完全に一致します。思春期から青年期にかけて、自己の価値観や将来の目標を模索し、社会の中で自分らしい役割を見つけようとする過程が「同一性の確立」であり、それを達成することで、たとえ困難があっても自分の信念に従い行動する「忠誠」の力が育まれます。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
①「自律性 対 恥・疑惑 / 意志」: 混同注意! これは幼児期前期 (2~4歳) の発達課題です。排泄や食事などの基本的な生活行動を自分で行いたいという欲求と、失敗した時の恥ずかしさの葛藤です。
③「親密性 対 孤立 / 愛」: これは青年期の次の段階である 若い成人期 (20~40歳) の発達課題です。同一性を確立した後に、他者との深い関係を築けるかどうかが問われます。
④「積極性 対 罪悪感 / 目的」: これは幼児期後期 (4~6歳) の発達課題です。自発的に行動し、周囲に働きかけようとする意欲と、その結果生じる罪悪感の葛藤です。
⑤「基本的信頼感 対 基本的不信 / 希望」: これは 最重要! 乳児期 (0~1.5歳) の最初の発達課題です。養育者からの一貫した愛情とケアにより、「世界は安全で信頼できる」という感覚が育まれます。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): エリクソンの発達段階は全部で8段階あり、各段階をうまく乗り越えることで次の段階へと発展します。青年期の同一性確立は、その後の「親密性 (愛)」や「生殖性 (世話)」の獲得の基盤となります。また、青年期の看護では、患者の自己決定を尊重し、将来への希望を持てるような関わりが重要です。同一性拡散のサイン(無気力、極端な集団同一視、役割の拒否など)にも注意が必要です。

概念整理: エリクソンの発達段階理論は、生涯発達を8つの段階に分け、各段階に「心理社会的危機」と「基本的な力」を設定します。青年期の核心は 同一性 (Identity)忠誠 (Fidelity) です。

一目で比較!:
発達段階心理社会的危機基本的な力
乳児期 (0-1.5歳)基本的信頼感 vs 基本的不信希望 (Hope)
幼児期前期 (2-4歳)自律性 vs 恥・疑惑意志 (Will)
幼児期後期 (4-6歳)積極性 vs 罪悪感目的 (Purpose)
学童期 (6-12歳)勤勉性 vs 劣等感有能感 (Competence)
青年期 (12-20歳)同一性 vs 同一性拡散忠誠 (Fidelity)
若い成人期 (20-40歳)親密性 vs 孤立愛 (Love)


看護過程ポイント: 青年期の患者(例:慢性疾患で長期入院中の10代)の看護では、発達課題である「同一性の確立」を支援することが重要です。アセスメントでは、友人関係や学業、将来への不安、自己イメージの変化などを評価します。看護診断としては「非効果的健康維持 (Ineffective Health Maintenance)」や「役割行動の変調 (Impaired Role Performance)」が考えられます。介入では、患者の自己決定を尊重し、可能な範囲で日常生活の選択肢を提供すること、病棟内での役割を持たせること、同じ年代の患者との交流を促すことなどが有効です。

暗記のコツ: 各段階の「危機」と「力」をゴロ合わせで覚えましょう。
信じる希望(乳児期) → 自分でする意志(幼児前期) → やりたい目的(幼児後期) → 頑張る有能感(学童期) → 自分は誰?忠誠(青年期) → あなたを愛す(若い成人期)

国試頻出ポイント: エリクソンの発達段階は、看護師国家試験で毎年1~2問程度出題される頻出テーマです。単純な語句の組み合わせだけでなく、各段階における看護介入の事例問題としても出題されます。特に、青年期の「同一性」、老年期の「統合性」は頻出です。

出題パターン注意!: 「慢性疾患を持つ青年期の患者が、治療を拒否し『どうせ治らない』と発言している。看護師として最も適切な対応はどれか」のような事例問題に発展します。この場合、単に「同一性拡散」と診断するだけでなく、患者の自己決定を支えながら、同一性再構築を促す関わり(傾聴、将来の目標への支援、ロールモデルの提示など)が求められます。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 16歳の女子高校生、1型糖尿病 (Type 1 Diabetes Mellitus) で初回入院。インスリン自己注射の指導中に「もうこんな生活嫌だ。みんなと一緒に遊べないし、好きなものも食べられない」と涙を見せる。HbA1cは11.2%と高値。看護師としてどのように関わりますか?

- 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! この患者は、慢性疾患により青年期の発達課題である「同一性の確立」が脅かされている状態です。
観察: 患者の表情、発言内容、食事摂取状況、インスリン注射への態度、友人や家族との関係性を観察します。
アセスメント: 「病気=自分は普通じゃない」という同一性拡散のリスク、非効果的健康管理パターンの可能性を評価します。
報告・相談: 医師、看護師長、必要に応じて心理士や養護教諭と連携します。SBARで「S(状況):インスリン指導への拒否感、B(背景):初回入院、A(評価):同一性の危機の可能性、R(提案):心理的サポートと生活指導の強化」を報告します。
介入: まずは患者の感情(悲しみ、怒り、不安)を否定せず、アクティブリスニング (Active Listening) で傾聴します。その上で、疾患管理が「制限」ではなく「自分の人生を自分でコントロールする力」であることを伝えます。具体的には、血糖コントロールの良い状態で友人と遊ぶ計画を一緒に立てる、年齢の近い糖尿病サークルを紹介する、インスリン注射を「自分を守るツール」として肯定的に捉えられるよう支援します。
評価: 患者が自ら血糖測定やインスリン注射を行うようになったか、治療への主体的な態度が見られるか、将来への希望を持てるようになったかを評価します。

- 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 青年期の患者は、無理な食事制限による低血糖 (Hypoglycemia) や、インスリン注射の怠りによる高血糖 (Hyperglycemia) のリスクが高いです。特に、周囲に合わせるための過度な食事制限や、体重増加を恐れてのインスリン注射の過剰投与(ダイアブリミア:Diabulimia)にも注意が必要です。転倒・転落予防、インスリン注射のダブルチェックは必須です。

看護プロトコル: 観察項目: 血糖値、HbA1c、食事内容、インスリン投与量と時刻、体重変化、皮膚トラブルの有無、心理状態(特にうつ症状のスクリーニング)、自己管理の状況。報告基準(SBAR): 低血糖症状(冷汗、動悸、意識障害)出現時は緊急報告。HbA1cが治療目標値(通常7.0%未満)を大きく逸脱した場合や、治療拒否が続く場合も速やかに報告。記録のポイント: 患者の発言(直接引用が望ましい)、看護師の介入内容と患者の反応を客観的に記録する。SOAP形式が有効。家族への説明: 疾患管理の重要性を伝えるとともに、過干渉が患者の同一性確立を阻害する可能性があること、温かく見守る姿勢が大切であることを説明する。

先輩看護師の一言: 「青年期の患者さんは、『病気=自分』というアイデンティティに苦しむことが多いです。私たち看護師は、治療を強制するのではなく、『病気を持ちながらも、自分らしく生きる力』を引き出す伴走者でありたいですね。国試ではこの発達段階を覚えるだけでなく、事例の中で『なぜこの関わりが良いのか』を考えられるようにしておきましょう!」

重要概念

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