核心解説
この問題は、エリク・エリクソン (Erik Erikson) の
心理社会的発達理論 (Psychosocial Development Theory) における各発達段階の課題を理解しているかを問うています。
エリクソンは、人間の一生を8つの発達段階に分け、各段階で乗り越えるべき「心理社会的危機 (Psychosocial Crisis)」があると提唱しました。この危機をうまく解決することで、健全な自我が発達します。
本問の「幼児期(1歳半~3歳)」は、「しつけ」や「自分でやりたい」という欲求が芽生える時期であり、この段階のテーマは
自律性 (Autonomy) です。この時期に、親や養育者から適切な見守りと励ましを得ることで、子どもは自信と自己コントロール感を獲得します。逆に、過度に制限されたり否定されたりすると、「恥・疑惑」の感情が強く残ります。
最重要! 各段階の年齢区分と発達課題(危機)の対をしっかり暗記しましょう。特に幼児期は「自律性 vs 恥・疑惑」です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
② 自律性 (Autonomy) が正解です。エリクソンの発達段階表において、
幼児期(1歳半~3歳)は「自律性 対 恥・疑惑」の段階であり、達成すべき課題は「自律性」の獲得です。この時期の子どもは「自分でする」ことに強いこだわりを持ち始め、排泄の自立や着脱などの基本的な生活動作を身につけていきます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①
混同注意! 「基本的信頼感 (Basic Trust)」は
乳児期(0~1歳半) の課題です。養育者との安定した愛着関係により、世界は安全で信頼できるものという感覚が育まれます。
③ 「勤勉性 (Industry)」は
学童期(6~12歳) の課題です。学校で学習や集団活動を通じて、努力してやり遂げる力や有能感を獲得します。
④ 「積極性 (Initiative)」は
遊戯期/幼児期後期(3~6歳) の課題です。自発的に活動し、目標を立てて行動する力が育ちます。「幼児期(1歳半~3歳)」と「遊戯期(3~6歳)」は異なる段階です。
⑤ 「同一性 (Identity)」は
青年期(12~20歳) の課題です。自我同一性の確立、つまり「自分とは何か」という問いに向き合い、一貫した自己像を形成します。
関連概念の整理 (Related Concepts)
エリクソンの全8段階は以下の通りです。他の理論(フロイトの心理性的発達理論、ピアジェの認知発達理論)と混同しないよう、年齢区分と課題を整理しておきましょう。
| 段階 | おおよその年齢 | 発達課題(心理社会的危機) |
|---|
| 1. 乳児期 | 0~1歳半 | 基本的信頼感 vs 基本的不信感 |
| 2. 幼児期 | 1歳半~3歳 | 自律性 vs 恥・疑惑 |
| 3. 遊戯期(幼児期後期) | 3~6歳 | 積極性 vs 罪悪感 |
| 4. 学童期 | 6~12歳 | 勤勉性 vs 劣等感 |
| 5. 青年期 | 12~20歳 | 同一性 vs 同一性拡散 |
| 6. 若い成人期 | 20~40歳 | 親密性 vs 孤立感 |
| 7. 成人期 | 40~65歳 | 生殖性 vs 停滞感 |
| 8. 老年期 | 65歳以上 | 統合性 vs 絶望感 |
概念整理: エリクソンの発達理論の根幹は、「各発達段階には乗り越えるべき『危機』があり、その解決が健全な人格形成に不可欠である」という点です。看護では、患者の年齢や発達段階に応じた心理社会的ケアを提供するために、この理論が活用されます。
一目で比較!:
エリクソン vs フロイト vs ピアジェ
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エリクソン: 心理社会的発達。生涯発達を重視。自我の発達。
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フロイト: 心理性的発達。幼児期の性的欲動に焦点。
-
ピアジェ: 認知発達。思考様式の質的変化に焦点。
看護師国試では、特にエリクソンとピアジェの年齢区分と発達課題の混同に注意が必要です。
看護過程ポイント:
アセスメント: 患者がどの発達段階にあり、その段階の危機がどの程度解決されているか(または葛藤を抱えているか)をアセスメントします。
看護計画: 例えば幼児期の子どもには、「自分でできた」という成功体験を積めるよう、見守りながら選択肢を与え(「どっちの靴を履く?」)、過度な介入や叱責を避ける看護介入が重要です。高齢者では、老年期の「統合性」を支援するため、回想を用いたケア(ライフレビュー)が有効です。
暗記のコツ: 「
自基積 同(じきせき どう)」と覚えましょう。
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自: 自律性(幼児期)
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基: 基本的信頼感(乳児期)
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積: 積極性(遊戯期)
-
同: 同一性(青年期)
年齢順に並べ替えると、乳児期(0~1歳半)→ 幼児期(1歳半~3歳)→ 遊戯期(3~6歳)→ 青年期(12~20歳)となり、「基・自・積・同」の順です。この語呂合わせで主要な4つの課題をまず押さえ、残りを埋めていくと覚えやすいでしょう。
国試頻出ポイント: エリクソンの発達段階は、看護師国家試験で
非常に頻出です。特に以下のパターンに注意しましょう。
1.
年齢と課題の直接的な組み合わせ: 「幼児期の発達課題は?」という本問のような形式。
2.
危機の対概念: 「自律性 vs 恥・疑惑」のように、課題と対になる感情もセットで問われます。