核心解説
この問題は、
大腿骨頸部骨折 (Femoral Neck Fracture)の分類とその特徴を問うています。高齢者に多く、転倒による低エネルギー外傷が原因となることが多い骨折です。正しい分類を理解するには、骨折線の位置とそれに伴う
骨頭への血流 (Blood Supply to Femoral Head)の関係を押さえることが重要です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
本症例では、単純X線写真で「右大腿骨頸部内側に骨折線を認めた」と明記されています。大腿骨頸部骨折は、骨折線の位置により大きく2つに分類されます。
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最重要! **内側骨折 (Intracapsular Fracture / 大腿骨頸部骨折)**:骨折線が関節包(靱帯)の内側にあるもの。本症例の「頚部内側骨折」がこれに該当します。
- **外側骨折 (Extracapsular Fracture / 転子部骨折)**:骨折線が関節包の外側にあるもの。
問題文では「内側に骨折線を認めた」とあるため、正解は「頚部内側骨折 (大腿骨頸部骨折)」です。
最重要! 内側骨折は、大腿骨頭への主たる栄養血管(大腿骨頭回旋動脈の分枝)が骨折によって損傷されやすく、
骨頭壊死 (Avascular Necrosis of Femoral Head)や
偽関節 (Nonunion)のリスクが非常に高いという特徴があります。そのため、手術療法(人工骨頭置換術や骨接合術)が選択されることが多く、術後の注意深い観察が必要です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番(転子部骨折)と③番(頚部外側骨折)は、ほぼ同義であり、骨折線が関節包の外側にある転子部骨折を指します。転子部は血流が豊富なため骨癒合は得られやすいですが、問題文の「内側」という記述に合致しません。
④番(転子下骨折)は、転子部よりさらに遠位(下方)の骨折であり、問題文の部位とは異なります。
⑤番(顆上骨折)は、膝関節の大腿骨遠位端(顆部のすぐ上)の骨折であり、全く異なる部位です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
大腿骨近位部骨折の分類を整理しておきましょう。
| 分類 | 部位 | 特徴 |
| 内側骨折 (大腿骨頸部骨折) | 関節包内 | 骨頭壊死リスク高 / 人工骨頭置換術適応が多い |
| 外側骨折 (転子部骨折) | 関節包外 (転子間部) | 血流豊富で骨癒合良好 / 骨接合術適応が多い |
| 転子下骨折 | 小転子より遠位5cm以内 | 整復が難しく、偽関節リスクあり |
高齢者の大腿骨近位部骨折は、
転倒予防 (Fall Prevention)と
骨粗鬆症 (Osteoporosis)治療が重要です。
概念整理: 大腿骨頸部骨折は、骨折線が関節包の内側か外側かで「内側骨折(頸部骨折)」と「外側骨折(転子部骨折)」に分類される。内側骨折は骨頭への血流が途絶えやすく、骨頭壊死のリスクが高い。
一目で比較!: 内側骨折(骨頭壊死リスク高・偽関節リスク高・人工骨頭置換術) vs 外側骨折(転子部骨折:骨癒合良好・骨接合術)
看護過程ポイント: アセスメント:疼痛部位・歩行可否・下肢短縮・外旋変形の有無。術後は創部観察・感染予防・深部静脈血栓症 (DVT) 予防・せん妄予防。看護診断:「転倒リスク状態」「術後疼痛」「身体可動性障害」
暗記のコツ: 「内側骨折=関節の内側で折れる=骨頭の血管を傷つけやすい=壊死しやすい」とストーリーで覚えましょう。転子部骨折は「外側で折れる=血流豊富=くっつきやすい」。
国試頻出ポイント: 大腿骨近位部骨折の分類と術式の選択(人工骨頭置換術 vs 骨接合術)、術後合併症(骨頭壊死、偽関節、DVT、感染、せん妄)が頻出。
出題パターン注意!: 単純な分類問題に加え、「高齢女性が転倒後、歩行困難、下肢短縮・外旋変位あり」という典型的な事例と組み合わせて、術式や術後看護の優先順位を問う状況設定問題に発展します。