人工膝関節全置換術(TKA)後の創部管理で、感染の徴候として最も注意すべきなのはどれか。 | MyMerci
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問題

人工膝関節全置換術(TKA)後の創部管理で、感染の徴候として最も注意すべきなのはどれか。

解説
人工関節置換術後は、深部感染が最も重篤な合併症の一つである。創部周囲の熱感と悪臭を伴う排膿は、深部感染の典型的な徴候であり、早期発見と対応が不可欠である。

詳細解説

核心解説 この問題は、人工膝関節全置換術 (Total Knee Arthroplasty, TKA) 後の創部管理において、深部感染 (Deep Surgical Site Infection) の徴候を見極めるポイントを問うています。TKA後の感染は、人工関節の機能不全や抜去につながる重篤な合併症であり、バイタルサインや創部の観察が極めて重要です。

正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! 正解は ④ 創部周囲の熱感と悪臭を伴う排膿 です。熱感 (Heat) と悪臭を伴う排膿 (Purulent Drainage with Foul Odor) は、細菌感染が進行していることを示す確実な徴候です。特に人工関節のような異物がある場合、感染は関節腔内に広がりやすく、抗生剤治療のみでは難治性で、再手術が必要となることがあります。看護師は、創部の視診・触診・嗅覚を総合的にアセスメントし、異常を早期に発見する必要があります。

誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! 創部周囲の皮下出血斑 は、手術中の血管損傷や止血不足による 血腫 (Hematoma) を示します。感染の直接的な徴候ではなく、術後早期によく見られます。ただし、大きな血腫は感染のリスクを高めるため注意が必要です。
創部からの漿液性の浸出液 は、創傷治癒過程における正常な滲出液(創液)であり、感染徴候ではありません。量が急に増えたり、色調が変化したりする場合は注意が必要ですが、単独では感染とは言えません。
創部周囲の軽度の発赤 は、炎症反応の一部として術後数日間は正常に見られます。しかし、発赤が拡大したり、持続したりする場合は感染の可能性が高まります。軽度であれば経過観察の範囲です。
創部の縫合糸の露出 は、創部離開や縫合不全を示す所見であり、感染の直接的な徴候ではありません。感染が原因で離開することもありますが、単独では感染とは判断しません。

関連概念の整理 (Related Concepts):
TKA後の合併症として、深部静脈血栓症 (DVT)・肺血栓塞栓症 (PE)・感染・関節不安定性・骨折などがあります。感染のリスク因子には、糖尿病・肥満・免疫抑制状態・長期ステロイド使用などが挙げられます。また、感染予防のための周術期抗生剤投与や、術中の清潔操作の徹底が重要です。 概念整理: 人工関節周囲感染 (Periprosthetic Joint Infection, PJI) は、表層感染と深部感染に分類されます。深部感染は関節腔内に及び、治療が困難です。感染徴候は、局所所見(発赤・熱感・腫脹・疼痛・排膿・悪臭)と全身所見(発熱・白血球増多・CRP上昇)を総合的に評価します。 一目で比較!:
所見正常な術後経過感染の疑い
創部の状態軽度の発赤、少量の漿液性浸出液熱感、悪臭を伴う排膿、発赤の拡大
疼痛経時的に軽減する創部痛増悪する疼痛、安静時痛
全身症状なし発熱 (38℃以上)、倦怠感
血液検査CRPは術後3-4日でピーク後低下CRP再上昇、白血球増多
看護過程ポイント:
- アセスメント: 創部の視診(発赤・腫脹・排膿の有無と性状)、触診(熱感・圧痛)、嗅覚(悪臭の有無)、バイタルサイン(体温・脈拍)、血液検査(CRP・白血球数)を毎日評価する。患者の主観的訴え(痛みの悪化)も重要。
- 看護診断: 「感染リスク状態 (Risk for Infection)」「急性疼痛 (Acute Pain)」「身体可動性障害 (Impaired Physical Mobility)」
- 計画・実施: 無菌的操作による創部交換、抗生剤の確実な投与、創部の安静保持、疼痛コントロール、栄養状態の改善(特にたんぱく質摂取)
- 評価: 感染徴候の有無、創部の治癒経過、炎症反応の推移 暗記のコツ: 「熱・悪臭・排膿=感染確定!」 と覚えましょう。正常な術後創は「少し赤い」「少し液が出る」程度ですが、感染が加わると「熱を持つ」「臭い」「膿が出る」の3拍子が揃います。 国試頻出ポイント: 人工関節置換術後の合併症は、感染・DVT・脱臼の3つが頻出です。感染の徴候として、局所の熱感・悪臭・排膿が最も確実な所見であることを押さえておきましょう。状況設定問題では、創部観察のタイミングや報告基準(SBAR)と関連して出題されることが多いです。 出題パターン注意!: 「TKA術後3日目、創部から悪臭のある膿性排液が少量認められた。看護師の最初の対応は?」→ 直ちに医師へ報告し、培養検査用の検体を採取する準備をする(新しいガーゼや滅菌容器の準備)。創部を洗浄したり、自己判断で抗生剤を投与したりしない。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario):
75歳女性、変形性膝関節症 (Osteoarthritis) に対して右TKAを施行。術後3日目、創部交換時に看護師が創部から黄色く濁った排膿と強い悪臭を確認。患者は「昨夜から膝が熱くて痛みが強くなった」と訴えています。バイタルサインは体温38.5℃、脈拍96回/分、血圧110/70mmHg、SpO2 97%。

看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):
1. 観察 (Observation): 創部の正確な状態(発赤範囲・腫脹・排膿量・色調・臭気)を記録。バイタルサインと疼痛スケール (NRS) を評価。
2. アセスメント (Assessment): 深部感染の可能性が高いと判断。悪臭と発熱はグラム陰性桿菌や嫌気性菌の関与が疑われます。
3. 報告 (Report - SBAR):
- S (Situation): 「TKA術後3日目、創部から悪臭を伴う排膿あり。体温38.5℃」
- B (Background): 「術後経過、既往歴(糖尿病あり)、使用抗生剤」
- A (Assessment): 「深部感染を疑います」
- R (Recommendation): 「創部培養の指示と、抗生剤変更の検討をお願いします」
4. 介入 (Intervention): 無菌操作で排膿を採取し培養検査提出。医師指示に基づき抗生剤投与開始。創部は清潔に保ち、湿潤環境を避ける。
5. 評価 (Evaluation): 培養結果に基づく抗生剤感受性確認。炎症反応の推移(CRP・白血球数)を毎日フォロー。全身状態の改善が見られない場合は、外科的デブリードマンや人工関節抜去の可能性について医師と相談。

患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):
- 最重要! 感染が疑われた場合、創部の洗浄は禁止。培養採取前に抗生剤を投与すると、培養陽性率が低下するため、可能な限り抗生剤投与前に培養検体を採取する。
- 患者の全身管理:敗血症への進展に注意。バイタルサインの頻回測定と、意識レベル・尿量の観察を行う。
- 感染対策:標準予防策 (Standard Precautions) の徹底。患者を個室隔離し、医療従事者の手指衛生とガウン・手袋の着用を徹底する。 看護プロトコル:
- 観察項目: 創部の色・臭気・排膿量・発赤範囲(マーキングして経時変化を評価)、体温(4時間ごと)、疼痛、血液検査(CRP・白血球・プロカルシトニン)
- 報告基準: 悪臭を伴う排膿、発熱 (38℃以上)、疼痛の急激な増悪、血圧低下などのショック徴候 → 緊急報告
- 記録のポイント: 排膿の性状(色・量・臭気)を具体的に記述。「黄色・膿性・悪臭あり、ガーゼに10cm大の染み」など。写真撮影も有効(院内規定に従う)。 先輩看護師の一言: 「TKA術後の患者さんは『痛みが強いのは当たり前』と思いがちですが、『いつもと違う痛み』や『熱感』は感染のサインです!創部交換のたびに、バイタルサインと創部の状態を必ず確認する習慣をつけましょう。『創部が臭う』という看護師の感覚が、患者さんを救う最初の一歩になることもありますよ!」

重要概念

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