核心解説
この問題は、
脊髄損傷 (Spinal Cord Injury) における損傷高位と症状の関係を問うています。
脊髄の神経支配レベル (Myotome/Dermatome) を正確に理解することが鍵となります。特に
横隔神経核 (Phrenic Nerve Nucleus) は第3~5頸髄(C3~C5)に位置するため、C4レベルの損傷ではこの神経核の機能が障害され、横隔膜麻痺による呼吸不全が生じます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! C4損傷では、横隔神経核(C3-5)が障害されるため、
横隔膜麻痺 (Diaphragmatic Paralysis) による自力呼吸困難が生じます。また、C4レベルは上肢・下肢すべての随意運動の指令を伝達する経路が遮断されるため、四肢麻痺(Tetraplegia / Quadriplegia)となります。したがって、「四肢麻痺と横隔膜麻痺による呼吸不全」が予想される症状です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:上肢のみの麻痺は、より下部の頸髄(C6-7など)損傷や腕神経叢損傷でみられます。C4損傷では下肢も含めた四肢麻痺となります。
③番:横隔膜呼吸が可能となるのは、横隔神経核が温存されるC5レベル以下の損傷です。C4では不可能です。
④番:下肢のみの麻痺(対麻痺:Paraplegia)は胸髄(Th)以下の損傷で生じます。C4は頸髄であり四肢麻痺です。
⑤番:対麻痺と車椅子操作は胸髄以下の損傷で可能な場合があります。C4損傷では四肢麻痺であり、自力での車椅子操作は困難です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
脊髄損傷のレベルと機能残存の理解には、
混同注意! Frankel分類 (Frankel Classification)(完全麻痺・不全麻痺の程度)と
ASIA impairment scale も併せて学習しましょう。また、C4レベルとC5レベルの違いは頻出です。C5では横隔膜機能が保たれ、肩・肘の屈曲が可能になります(Biceps機能残存)。
概念整理: 脊髄損傷高位と主な残存機能
| 損傷高位 | 主な症状 | 横隔膜機能 |
|---|
| C1-C3 | 四肢麻痺、呼吸筋完全麻痺 | 完全不能(人工呼吸器必須) |
| C4 | 四肢麻痺 | 横隔膜麻痺(呼吸不全) |
| C5 | 四肢麻痺、肩・肘屈曲可能 | 横隔膜呼吸可能 |
| C6 | 四肢麻痺、手関節背屈可能 | 横隔膜呼吸可能 |
一目で比較!:
混同注意! 「四肢麻痺(Tetraplegia)」は頸髄損傷、「対麻痺(Paraplegia)」は胸髄以下の損傷で生じる。C4は四肢麻痺である。
看護過程ポイント:
最重要! アセスメント:呼吸パターン(横隔膜呼吸 vs 胸式呼吸)、SpO2、ABG(血液ガス)の評価。看護診断:非効果的気道開通、非効果的呼吸パターン。介入:気道確保、人工呼吸器管理、気管吸引、体位変換、呼吸理学療法。
暗記のコツ: 横隔神経は「C3,4,5 が横隔膜を動かす」とゴロで覚えましょう。「C4を超えると息ができない!」とイメージすると良いです。
国試頻出ポイント: 脊髄損傷のレベルと残存機能(特に呼吸機能、四肢運動機能)の組み合わせは、毎年必ずと言って良いほど出題される超重要頻出テーマです。特にC4、C5、C6の違いは確実に押さえましょう。
出題パターン注意!: 単純な「症状はどれか」だけでなく、「患者が車椅子操作や食事動作が可能か」「どのようなリハビリテーションが必要か」という事例問題に発展します。