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内分泌機能障害のある患者の看護
クッシング症候群の患者に特徴的な身体所見はどれか?
1
満月様顔貌
✓ 正解
2
低血圧
3
眼球突出
4
低血糖
5
色素沈着
解説
クッシング症候群ではコルチゾール過剰により満月様顔貌、中心性肥満、皮膚線条、高血圧、高血糖などが特徴的である。色素沈着はアジソン病、眼球突出はバセドウ病に特徴的である。
同じテーマの次の問題 糖尿病治療中でインスリン自己注射を行っている患者が、夕食前に「今朝から喉が渇いて何度も水を飲んでいる」と訴えた。血糖値を測定したところ450mg/dLであった。看護師の最初の対応と… この問題が収録された問題集 成人看護学 KRW 12,900
核心解説
この問題は、クッシング症候群 (Cushing's Syndrome) の代表的な身体所見を問う、頻出の基礎知識問題です。本症候群の病態は、副腎皮質からのコルチゾール (Cortisol) 過剰分泌 にあり、このホルモンの全身への影響を理解することが鍵となります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! コルチゾール過剰により、糖質コルチコイド作用と軽度の鉱質コルチコイド作用が引き起こされます。その代表的な身体所見の一つが 満月様顔貌 (Moon Face) です。これは、顔面への脂肪沈着が促進されることで生じる特徴的な外見変化で、他にも 中心性肥満 (Central Obesity) 、皮膚線条 (Striae) (紫紅色の線条)、高血圧、高血糖、骨粗鬆症、易感染性などが高頻度でみられます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各誤答は、他の内分泌疾患と混同しやすいポイントです。
- ②番の 低血圧 は誤りです。コルチゾールの鉱質コルチコイド様作用や、血管反応性の亢進により、高血圧 (Hypertension) が特徴的です。
- ③番の 眼球突出 (Exophthalmos) は、バセドウ病 (Graves' Disease) (甲状腺機能亢進症)に特徴的な所見です。クッシング症候群ではみられません。
- ④番の 低血糖 は誤りです。コルチゾールは糖新生を促進し、インスリン抵抗性を誘導するため、高血糖 (Hyperglycemia) 、ひいてはステロイド糖尿病をきたします。
- ⑤番の 色素沈着 (Hyperpigmentation) は、アジソン病 (Addison's Disease) (副腎皮質機能低下症)に特徴的な所見です。クッシング症候群では、ACTHが抑制されるため色素沈着はみられません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
クッシング症候群は、下垂体腺腫によるACTH過剰分泌(クッシング病)と、副腎腫瘍やステロイド薬の長期大量投与によるもの(副腎性・医原性)に大別されます。看護では、易感染性、高血糖、骨粗鬆症による骨折リスク、精神症状(易刺激性、不眠)への対策が重要です。また、外見変化に伴う ボディイメージの変調 (Disturbed Body Image) への心理的支援も看護の重要な役割です。
概念整理 : クッシング症候群 = コルチゾール過剰 → 満月様顔貌、中心性肥満、高血圧、高血糖、易感染性。
一目で比較! : 疾患 主なホルモン 特徴的身体所見 クッシング症候群 コルチゾール ↑ 満月様顔貌、高血圧、高血糖 アジソン病 コルチゾール ↓ 色素沈着、低血圧、低血糖 バセドウ病 甲状腺ホルモン ↑ 眼球突出、頻脈、体重減少
看護過程ポイント : アセスメントでは、顔貌・体形の観察に加え、血糖値・血圧・骨密度の評価、感染徴候の早期発見が重要。看護診断では「感染リスク状態」「栄養状態:過栄養(肥満)」「ボディイメージ変調」が挙げられます。
暗記のコツ : 「クッシング=過剰(Too much)」と覚えましょう。コルチゾールが多すぎて、顔は満月、お腹は太鼓(中心性肥満)、血圧と血糖は高い、というイメージです。
国試頻出ポイント : クッシング症候群の身体所見は、アジソン病やバセドウ病との鑑別問題として頻出です。特に「満月様顔貌 vs 色素沈着」「高血圧 vs 低血圧」「高血糖 vs 低血糖」のセットで問われます。
出題パターン注意! : 近年は、ステロイド薬の長期使用による医原性クッシング症候群をテーマにした状況設定問題も増えています。「関節リウマチの患者にプレドニゾロンを長期投与中、満月様顔貌と高血糖が出現した」という事例で、看護介入(血糖管理、感染予防、骨粗鬆症対策など)を問われます。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario) 35歳女性、クッシング病(下垂体腺腫)の診断で経蝶形骨洞的下垂体腺腫摘出術 (TSS) を受けることになりました。術前の状態として、満月様顔貌、中心性肥満が顕著で、血圧は 160/98 mmHg、空腹時血糖は 180 mg/dL、易感染状態です。術後は、一過性の尿崩症や副腎皮質機能低下症のリスクがあります。看護師として、術前・術後を通してどのようなアセスメントとケアが必要でしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment) 最重要! 術前は、高血圧と高血糖のコントロール状態を確認し、感染予防(口腔ケア、皮膚の清潔保持)を徹底します。術後は、尿量と尿比重の厳密なモニタリング (尿崩症の兆候:多尿・低比重尿)、血圧と電解質の管理 (副腎皮質機能低下症の兆候:低血圧、ショック)、鼻腔からの髄液漏出の有無 (TSS特有の合併症)を観察します。コルチゾール値が低下するため、補充療法としてのヒドロコルチゾン投与が行われます。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions) - 易感染性 : 創部感染、呼吸器感染、尿路感染に注意。手指衛生を徹底し、バイタルサインの微妙な変化を見逃さない。 - 骨粗鬆症 : 転倒・骨折リスクが高い。ベッド柵の使用、歩行補助、環境整備を行う。 - 心理的ケア : 満月様顔貌や肥満によるボディイメージの変調への支援。手術後の外見改善に対する期待と不安の両方に寄り添う。 - 警告:クッシング症候群の患者に感染症が発症した場合、免疫抑制のため症状がマスクされやすく、重症化しやすい。微熱や軽度の炎症兆候でも積極的に報告する。
看護プロトコル : 観察項目 :バイタルサイン、血糖値(必要時4回/日)、尿量・尿比重、体重、創部の状態、精神状態。報告基準(SBAR) :Situation「クッシング病術後の患者です。尿量が300mL/hを超えています。」 Background「TSS術後2日目、ヒドロコルチゾン投与中。」 Assessment「尿崩症の可能性が疑われます。」 Recommendation「デスモプレシンの投与の必要性について医師の指示を仰ぎたい。」
先輩看護師の一言 : 「クッシング症候群の患者さんは、見た目の変化でとても悩んでおられることが多いです。『治療すれば良くなるから大丈夫』と軽く言うのではなく、『今、どんな気持ちですか?』と寄り添うことから始めましょう。また、術後の尿崩症は突然起こるので、夜勤帯の尿量測定は特に慎重に!『患者さんが今どんな状態か』を五感で感じ取ることが、安全な看護の第一歩です。」
満月様顔貌 — クッシング症候群でみられる、コルチゾール過剰による顔面への脂肪沈着が原因の特徴的な顔貌。クッシング症候群 — 副腎皮質からのコルチゾール過剰分泌により、満月様顔貌、中心性肥満、高血圧、高血糖などを呈する疾患。中心性肥満 — 体幹部に脂肪が沈着し、四肢は細いままの肥満形態。クッシング症候群の特徴の一つ。アジソン病 — 副腎皮質機能低下症。コルチゾールとアルドステロンが不足し、色素沈着、低血圧、低血糖、倦怠感などを呈する。バセドウ病 — 甲状腺機能亢進症の代表的疾患。眼球突出、頻脈、手指振戦、体重減少、発汗過多などが特徴。
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