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内分泌機能障害のある患者の看護
糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) の患者の血液検査所見として最も適切なものはどれか。
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1
低血糖と代謝性アルカローシス
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2
高血糖と代謝性アルカローシス
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3
正常血糖と呼吸性アシドーシス
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4
低血糖と呼吸性アルカローシス
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5
高血糖と代謝性アシドーシス
✓ 正解
解説
糖尿病性ケトアシドーシス (DKA) はインスリン欠乏により、高血糖、ケトン体産生亢進、代謝性アシドーシスを特徴とする。動脈血ガス分析ではpH低下、HCO3-低下がみられる。低血糖と代謝性アルカローシスはインスリノーマなどでみられる。
同じテーマの次の問題甲状腺機能亢進症が疑われる患者の身体所見として最も適切なものはどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は 糖尿病性ケトアシドーシス (Diabetic Ketoacidosis, DKA) の血液検査所見の特徴を問うています。DKAは、インスリン欠乏を背景とした代表的な糖尿病急性合併症です。インスリン欠乏により、グルコースの細胞内取り込みが障害され高血糖 (Hyperglycemia) をきたすと同時に、脂肪分解が亢進してケトン体(アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸)が過剰産生されます。このケトン体が強酸性であるため、血液は代謝性アシドーシス (Metabolic Acidosis) へと傾きます。動脈血ガス分析では、pH低下、HCO3-低下、アニオンギャップ (AG) の開大が特徴的です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
正解は⑤「高血糖と代謝性アシドーシス」です。DKAの病態の核心は、①絶対的インスリン不足による高血糖、②ケトン体蓄積による代謝性アシドーシスの2つです。したがって、血液検査では血糖値が著明高値(通常250mg/dL以上、しばしば350~500mg/dL以上)を示し、血液ガス分析では代謝性アシドーシス(pH 7.3未満、HCO3- 15mEq/L未満)が確認されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
混同注意! ①と④の「低血糖」は誤りです。DKAはインスリン不足による高血糖であり、低血糖(血糖値70mg/dL未満)はインスリンの過剰投与やインスリノーマ(インスリン産生腫瘍)で見られます。また、②「代謝性アルカローシス」は誤りです。ケトン体は酸性物質であるため、アルカローシスにはなりません。代謝性アルカローシスは嘔吐による胃酸喪失などで起こります。③「正常血糖」は誤りで、DKAでは高血糖が必須です。また「呼吸性アシドーシス」は、肺胞低換気(CO2貯留)が原因であり、DKAのアシドーシスは代謝性が本態です。DKAでは代償性の過換気(Kussmaul呼吸)により、むしろ呼吸性アルカローシス傾向を伴うことがありますが、一次的な病態は代謝性アシドーシスです。
関連概念の整理 (Related Concepts):
DKAの鑑別として、高血糖高浸透圧状態 (Hyperosmolar Hyperglycemic State, HHS) があります。HHSは著明な高血糖と脱水をきたしますが、ケトーシスやアシドーシスは軽度であり、DKAとの違いを整理しておきましょう。また、DKAの治療では、補液(生理食塩水)とインスリン持続静注、カリウム補正が三大原則です。
概念整理:
DKAの三徴: 高血糖 (Hyperglycemia) + ケトーシス (Ketosis) + 代謝性アシドーシス (Metabolic Acidosis)。インスリン欠乏 → 糖利用障害(高血糖) + 脂肪分解亢進(ケトン体産生・アシドーシス)。
一目で比較!:
| 病態 | 血糖値 | アシドーシス/アルカローシス | ケトン体 |
|---|
| DKA | 高血糖(250mg/dL以上) | 代謝性アシドーシス | 高値 |
| HHS | 超高血糖(600mg/dL以上) | 正常〜軽度代謝性アシドーシス | 陰性〜軽度 |
| インスリノーマ | 低血糖(70mg/dL未満) | 代謝性アルカローシス傾向 | 低値 |
看護過程ポイント:
最重要! DKA患者のアセスメントでは、意識レベル(GCS)、脱水徴候(皮膚ツルゴール低下、口渇、尿量減少)、Kussmaul呼吸の有無、バイタルサイン(頻脈、低血圧)を評価します。看護診断としては「非効果的健康維持」「体液量不足リスク状態」「電解質バランス異常リスク状態」などが挙げられます。介入では、補液速度の厳守、インスリン持続静注時の血糖モニタリング(1時間ごと)、カリウム値の確認が必須です。
暗記のコツ:
DKAの3文字を分解して覚えましょう!
D = 糖尿病(高血糖)
K = ケトン(ケトーシス)
A = アシドーシス(代謝性)
「糖尿病でケトンが出てアシドーシスになった」とストーリーで覚えてください。
国試頻出ポイント:
DKAの血液検査所見(高血糖 + 代謝性アシドーシス + ケトン体上昇)は、看護師国家試験で毎年必ずと言っていいほど出題されます。また、DKAとHHSの鑑別や、DKA治療中の低カリウム血症(インスリン投与によるK+の細胞内シフト)への注意も頻出です。
出題パターン注意!:
単純な「DKAの血液ガス所見は?」という知識問題から、「DKA患者にインスリン持続静注中、血糖値が低下し、心電図でU波が出現した。何を疑うか?」といった、治療経過中の合併症(低カリウム血症)を問う状況設定問題へ発展します。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario):28歳女性、1型糖尿病 (Type 1 DM) でインスリン療法中の患者。風邪で2日間食事がとれず、インスリンを自己中断したところ、意識障害で救急搬送されました。来院時、血糖値は580mg/dL、動脈血ガス分析でpH 7.1、HCO3- 8mEq/L、尿ケトン体強陽性。Kussmaul呼吸が認められます。看護師として最初に優先すべき観察項目は何でしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):最重要! ①気道確保・呼吸・循環の評価 (ABC):Kussmaul呼吸による呼吸補助筋の使用や、意識レベル低下による誤嚥リスクを評価します。②補液の開始:生理食塩水で脱水是正(最初の1時間に15~20mL/kg投与)。③インスリン持続静注の準備:医師の指示のもと、インスリン(ヒューマリンRなど)を生食に混注し、0.1単位/kg/時間で持続静注を開始。④血糖モニタリング:1時間ごとに血糖測定し、血糖降下速度が50~70mg/dL/時間を超えないように確認。⑤カリウム値の確認:治療開始後、インスリン作用でK+が細胞内に移行し、低カリウム血症(U波出現、心室性不整脈)をきたすリスクがあるため、血清K+値は少なくとも2~4時間ごとに測定。心電図モニターでU波やPVC(心室性期外収縮)の出現を監視します。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions):注意! ①低血糖に注意:血糖が急激に下がりすぎないよう、血糖値が250mg/dL程度になったら、輸液をブドウ糖含有液に切り替え、インスリン投与を継続します(DKA治療中の低血糖は高頻度に発生)。②脳浮腫のリスク:特に小児や若年成人で、補液が急速すぎると脳浮腫を誘発する可能性があります。意識レベルや頭痛、嘔吐の有無を観察。③中心静脈ラインや動脈ラインの管理:重症例ではCVP測定や動脈血ガス分析のためにラインが挿入されるため、感染予防と閉塞防止を徹底します。
看護プロトコル:観察項目(SBAR報告基準)S(状況): 「DKAで加療中の患者、血糖値〇〇mg/dL、pH〇〇、Kussmaul呼吸あり」B(背景): 「1型糖尿病、風邪でインスリン中断」A(アセスメント): 「現在、補液とインスリン持続静注中。意識レベルは清明だが、尿量が減少傾向。カリウム値3.0mEq/Lと低値です」R(推奨): 「カリウム補正と、心電図モニター継続が必要です」
先輩看護師の一言:「DKAは緊急性の高い代謝性救急疾患です。特に『インスリンをやめてしまった』『感染症をきっかけに』という患者さんが多く、来院時はすでに重症化していることが少なくありません。国試では血液ガス分析の読み方と、治療中の低カリウム血症リスクがよく出ます。『高血糖』と『アシドーシス』を結びつける病態理解が、現場で患者さんの急変に気づく力になりますよ!」
- 糖尿病性ケトアシドーシス (Diabetic Ketoacidosis, DKA) — インスリン欠乏により、高血糖、ケトン体産生亢進、代謝性アシドーシスを呈する糖尿病の急性合併症。
- 代謝性アシドーシス (Metabolic Acidosis) — 体内の酸産生過剰(ケトン体など)や重炭酸イオン(HCO3-)喪失により、血液pHが低下する病態。
- ケトン体 (Ketone Bodies) — アセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトン。脂肪分解の産物で、DKAでは血中・尿中で高値を示す。
- 高血糖 — 血糖値が異常に高い状態。DKAでは通常250mg/dL以上。
- Kussmaul呼吸 (Kussmaul Respiration) — 代謝性アシドーシスに対する代償性の深く速い呼吸。アセトン臭を伴うことがある。
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