核心解説
この問題は、
原発性アルドステロン症 (Primary Aldosteronism) の病態生理を理解しているかを問うています。
副腎皮質 (Adrenal Cortex) の球状帯 (Zona Glomerulosa) からアルドステロン (Aldosterone) が過剰に分泌されることで、腎臓の遠位尿細管 (Distal Tubule) における
Na+再吸収促進とK+排泄促進 が亢進します。この結果、血液中のNa+が上昇し、K+が低下する特徴的な電解質異常が生じます。
正解の根拠 (Answer Rationale)
アルドステロンは「貯Na・排K」ホルモンです。過剰になると、体内にNaが貯留し、Kが尿中に失われるため、血液検査では
高Na血症 (Hypernatremia) と低K血症 (Hypokalemia) がみられます。また、水素イオン (H+) の排泄も促進されるため、血液はアルカリ性に傾き、
最重要! 代謝性アルカローシス (Metabolic Alkalosis) を合併します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番は、
低Cl血症 (Hypochloremia) は正しい方向ですが、代謝性アシドーシスではなく代謝性アルカローシスです。③番の
低Na血症と高K血症は、アルドステロンが不足する
アジソン病 (Addison's Disease / 副腎皮質機能低下症) の典型像です。④番と⑤番は、
副甲状腺 (Parathyroid Gland) や
Ca/P代謝 に関わる病態(副甲状腺機能亢進症・低下症、腎不全など)と混同した場合に選択される誤答です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
原発性アルドステロン症の診断には、
血漿レニン活性 (Plasma Renin Activity: PRA) の低値 と
アルドステロン/レニン比 (ARR) の高値 が重要です。本態性高血圧症との鑑別、特に治療抵抗性高血圧の患者では本疾患を疑うことが国試でも頻出です。
概念整理: アルドステロン (Aldosterone) の生理作用は「Na+再吸収増加 → 水も再吸収 → 循環血液量増加 & 血圧上昇」「K+排泄増加 → 低K血症」「H+排泄増加 → 代謝性アルカローシス」の3つ。この3つをセットで暗記する。
一目で比較!:
| 疾患 | 病態 | 血清Na | 血清K | 血圧 |
|---|
| 原発性アルドステロン症 | アルドステロン↑ | 高値 | 低値 | 高値 |
| アジソン病 | アルドステロン↓ | 低値 | 高値 | 低値 |
看護過程ポイント:
アセスメント: 高血圧と低K血症による筋力低下・脱力・多尿・口渇を観察。QT延長やU波出現などの心電図変化にも注意。
看護診断: 「
体液量過剰 (Excess Fluid Volume)」や「
電解質バランス異常 (Imbalanced Electrolytes)」が優先される。
介入:
スピロノラクトン (Spironolactone) などの抗アルドステロン薬投与時の電解質モニタリング、低K血症に対する食事指導(Kの多い食品の摂取促進)を実施。
暗記のコツ: 「
アルドステロン =
アルカローシス +
ドンドン
Naを貯める + 逆に
Kを出す(低K血症)」と覚えましょう。「貯Na排Kのアルカローシス」のキャッチフレーズで、3つの主要所見(高Na・低K・アルカローシス)をワンセットで記憶してください。
国試頻出ポイント: 高血圧の原因疾患(二次性高血圧)の一つとして、原発性アルドステロン症は毎年のように出題されます。特に、
低K血症 と
高血圧 の組み合わせがキーワード。アジソン病(副腎不全)との対比で電解質異常を問う問題が頻出です。