核心解説
この問題は、
アジソン病 (Addison's Disease / 慢性副腎皮質機能低下症) の特徴的な臨床症状を問うています。
副腎皮質ホルモン(コルチゾール (Cortisol) とアルドステロン (Aldosterone))の分泌低下 が全身にどのような影響を及ぼすかを病態生理から理解することが鍵となります。正解は
③ 皮膚の色素沈着と低血圧 です。
正解の根拠 (Answer Rationale):
最重要! アジソン病では、コルチゾール低下により負のフィードバックがかからず、下垂体から
ACTH (副腎皮質刺激ホルモン) が過剰分泌されます。ACTHの前駆物質である
プロオピオメラノコルチン (POMC) からはメラニン細胞刺激ホルモン (MSH) も産生されるため、皮膚や粘膜に
特徴的な色素沈着 (Hyperpigmentation) が生じます。また、アルドステロン低下により
ナトリウム再吸収低下・水分喪失・カリウム貯留 が起こり、循環血液量が減少して
低血圧 (Hypotension) を呈します。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
① 中心性肥満と高血圧 →
混同注意! クッシング症候群 (Cushing's Syndrome) の特徴です。コルチゾール過剰により、体幹に脂肪がつく中心性肥満と、ナトリウム貯留による高血圧が生じます。
② 手指振戦と発汗過多 →
甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism / Basedow病) の症状です。代謝亢進により交感神経系が興奮した状態です。
④ 眼球突出と頻脈 → 同じく
甲状腺機能亢進症 (Hyperthyroidism) の代表的症状です。眼球突出は眼窩組織の浮腫やリンパ球浸潤によるものです。
⑤ 多尿と口渇 →
糖尿病 (Diabetes Mellitus) や
尿崩症 (Diabetes Insipidus) の症状です。高血糖による浸透圧利尿、またはバソプレシン分泌・作用低下によるものです。
関連概念の整理 (Related Concepts): アジソン病は一次性(副腎自体の破壊)と二次性(下垂体・視床下部障害)があり、二次性ではACTH低下による色素沈着は
みられません。また、急性増悪(副腎クリーゼ (Adrenal Crisis))は
致死的 であり、
ショック症状、低血糖、高カリウム血症 への迅速な対応(生理食塩水補液・ヒドロコルチゾン投与)が必須です。
概念整理: アジソン病は「副腎皮質ホルモンの低下」→ ACTH上昇(色素沈着)・アルドステロン低下(低血圧・高K血症)・コルチゾール低下(低血糖・易疲労感・体重減少)が三主徴。
一目で比較!:
| 疾患 | コルチゾール | 血圧 | 主な症状 |
|---|
| アジソン病 | 低下 | 低下 | 色素沈着・低血糖・体重減少 |
| クッシング症候群 | 高値 | 高値 | 中心性肥満・満月様顔貌・高血糖 |
看護過程ポイント: アセスメントでは
皮膚の色調変化(口腔粘膜・関節伸展側の色素沈着) と
バイタルサイン(特に血圧低下・起立性低血圧) の確認が重要。看護診断例として「疲労 (Fatigue)」「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」が挙げられます。
暗記のコツ: 「アジソン = 副腎がジ〜ンと沈黙(機能低下)」→「ACTHが増えるので、肌がジ〜ンと黒くなる(色素沈着)」、「アルドステロンが減るので、血圧がジ〜ンと下がる(低血圧)」と覚えましょう。
国試頻出ポイント: アジソン病とクッシング症候群の症状の対比、副腎クリーゼの初期対応(特に
グルココルチコイド の補充)が頻出。ホルモン名(ACTH, コルチゾール, アルドステロン)と症状を結びつける問題がよく出ます。