膵炎の患者に対する食事療法で正しいのはどれか。 | MyMerci
消化・吸収機能障害のある患者への看護
問題

膵炎の患者に対する食事療法で正しいのはどれか。

解説
急性膵炎では膵酵素の活性化を抑えるため、絶食とし、中心静脈栄養による管理が基本となる。慢性期では脂肪制限を行い、蛋白質は十分に摂取する。アルコールは膵炎の増悪因子であるため、厳禁である。

詳細解説

核心解説 この問題は 膵炎 (Pancreatitis) における食事療法の基本原則を問うています。膵臓は消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)を分泌する臓器であり、膵炎発症時にはこれらの酵素が膵臓自身を消化してしまう自己消化(Autodigestion)が生じます。急性期の治療の基本は膵臓を休息させ、酵素の分泌を抑制することです。そのため、経口摂取を完全に中止し、消化管への刺激を遮断します。栄養補給は経口的ではなく、中心静脈栄養 (Total Parenteral Nutrition, TPN) で行います。 正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は②「急性期には絶食とし、中心静脈栄養で管理する」です。最重要! 急性膵炎の初期治療において、絶食(NPO, Nothing Per Oral)は膵酵素の分泌を抑え、膵臓の自己消化を最小限に抑えるための最も重要な看護介入の一つです。経口摂取を再開する際は、炎症所見(CRP、白血球数、アミラーゼ値)の改善、腹痛の消失を確認し、水・重湯 → 低脂肪食 → 普通食 と段階的に進めます。 誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! ①番:アルコールは膵液分泌を強力に促進し、膵管圧を上昇させるため、急性期・慢性期を問わず絶対禁忌です。少量でも再燃のリスクがあります。 ③番:慢性期の食事療法の基本は混同注意! 低蛋白食ではなく、低脂肪・高蛋白食です。蛋白質は膵臓の修復に必要ですが、脂肪の消化にはリパーゼが必要なため、脂肪制限は必須です。 ④番:膵臓の外分泌機能が低下すると、特に脂肪の消化吸収が障害されます。そのため、脂肪制限は必要です。脂肪の摂取は腹痛や脂肪便(Steatorrhea)の原因となります。 ⑤番:急性期に経口摂取を開始することは、膵炎の増悪(Exacerbation)を招くため禁忌です。また、高蛋白食ではなく、絶食からの段階的な再開が原則です。 関連概念の整理 (Related Concepts)
膵炎の栄養管理は、病期(急性期 vs 慢性期)で全く異なります。 - 急性期:絶食 + 中心静脈栄養(TPN)or 経腸栄養(空腸瘻から成分栄養剤) - 慢性期:低脂肪・高蛋白食 + 消化酵素補充療法(膵酵素薬) また、原因としてアルコール性胆石性が代表的で、それぞれの原因に対する治療(禁酒指導、内視鏡的乳頭切開術など)も看護計画に含まれます。 概念整理: 急性膵炎の治療の第一歩は、膵臓の休息 = 絶食 + 胃管吸引 + 中心静脈栄養。経口摂取再開は炎症の沈静化を確認してから段階的に行う。 一目で比較!:
病期食事療法栄養経路
急性期絶食中心静脈栄養 (TPN) / 経腸栄養 (EN)
慢性期低脂肪・高蛋白食経口 + 消化酵素薬
看護過程ポイント: - アセスメント: 腹痛(上腹部痛、背部放散痛)の有無、バイタルサイン、血清アミラーゼ・リパーゼ値、CRP、腹部CT所見。 - 看護診断: 「急性疼痛 (Acute Pain)」、「栄養バランスの変化:必要量以下の摂取リスク状態」、「非効果的健康維持(アルコール関連)」 - 計画・介入: 絶食中は口腔ケア(乾燥予防、感染予防)、中心静脈カテーテル管理(感染予防、閉塞予防)。経口再開時は少量から、患者の反応(腹痛、腹部膨満感)を観察。 - 評価: 疼痛スケール(NRS)、アミラーゼ値の推移、食事摂取量、体重変化。 暗記のコツ: 「急性膵炎(Pancreatitis)は膵臓(Pancreas)の『炎症』で『消化酵素が自分を消化(Autodigestion)』」→ 「消化活動を休ませる=絶食(NPO)」。語呂合わせ:「臓が症を起こしたら、べさせずかに養を心静脈で!」 国試頻出ポイント: 膵炎の治療は「急性期の絶食と中心静脈栄養」「慢性期の低脂肪・高蛋白食」「アルコールの禁止」が3点セットで頻出。また、経口摂取再開のタイミングや、経腸栄養(空腸瘻)の適応(急性期でも腸管粘膜の萎縮を防ぐため経腸栄養が推奨されるケースがある)も近年注目されています。 出題パターン注意!: 単純な知識問題(「急性期の食事療法はどれか」)から、事例問題(「急性膵炎で入院中の患者、入院3日目、腹痛が軽減しアミラーゼ値が低下した。食事開始の指示があった場合の看護は?」)への発展に注意。段階的な食事開始(重湯 → 低脂肪食)のプロセスを問う問題も頻出です。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario)
50代男性、アルコール性急性膵炎(Mild Acute Pancreatitis)で緊急入院。上腹部痛(NRS 7/10)、背部放散痛、嘔気あり。血清アミラーゼ値は基準値上限の5倍に上昇。医師より「絶食、経鼻胃管(NG tube)挿入、持続吸引、中心静脈栄養(TPN)開始」の指示が出ました。看護師として、患者とその家族への説明とケアを開始します。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: 疼痛の程度(NRS)、部位、性状。バイタルサイン(特に発熱の有無、血圧低下の兆候は重症化のサイン)。腹部の聴診(腸蠕動音の減弱は麻痺性イレウスの可能性)。血清アミラーゼ、CRP、WBCの推移。
2. アセスメント: 膵炎の重症度評価(Ranson criteria、CT severity index)。経口摂取が開始できるかどうかの判断基準(疼痛消失、アミラーゼ正常化、腹部症状の改善)。
3. 報告 (SBAR): 「S(状況):急性膵炎で入院中の50代男性、現在も疼痛あり(NRS 5/10)。B(背景):アルコール性。A(アセスメント):炎症反応は持続、絶食中。R(提案):疼痛コントロールのための薬剤の検討、絶食継続の指示確認。」
4. 介入: 絶食・胃管吸引の徹底。TPNルートの管理(感染徴候、刺入部の発赤・排膿がないか毎日確認)。口腔ケア(含嗽、保湿)。疼痛コントロール(鎮痛薬投与、体位変換(ファーラー位が楽なことが多い))。禁酒指導(回復期に開始)。
5. 評価: 疼痛の軽減(NRS 3以下)。アミラーゼ値の正常化。経口摂取開始後の症状増悪の有無。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
- 経鼻胃管挿入中は誤嚥性肺炎に注意。患者の体位は頭部挙上(30度以上)を維持。
- TPNカテーテルは中心静脈なので、空気塞栓(Air Embolism)予防のため、接続部のロックや抜去時の圧迫を徹底。
- 疼痛コントロールに使用するオピオイド鎮痛薬(モルヒネなど)は、Oddi括約筋を収縮させ膵管圧を上昇させる可能性があるため、混同注意! 最近のガイドラインでは使用が推奨されていますが、注意深い観察が必要。 先輩看護師の一言: 「膵炎の患者さんは、絶食で何も食べられず、痛みも強くて本当に辛いんです。だからこそ、看護師は『なぜ食べられないのか』『この治療がなぜ必要なのか』を優しく根拠を示して説明することが大切です。そして、口腔ケアや体位変換などの基本的なケアが、患者さんの苦痛を大きく和らげます。国試では絶食の根拠が問われますが、現場では患者さんの不安に寄り添いながらケアする力が求められますよ!」

重要概念

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