経鼻胃管による持続吸引中の患者で、吸引量が急に増加し、緑色の液体が多量に吸引された。看護師が最初に行うべき対応はどれか。 | MyMerci
消化・吸収機能障害のある患者への看護
問題

経鼻胃管による持続吸引中の患者で、吸引量が急に増加し、緑色の液体が多量に吸引された。看護師が最初に行うべき対応はどれか。

解説
吸引量の急増と胆汁性(緑色)液体の多量吸引は、イレウスや消化管通過障害の悪化、あるいは胃管の位置異常を示唆する可能性がある。まず患者の全身状態を評価するためバイタルサインを測定し、異常があれば直ちに医師へ報告する必要がある。

詳細解説

核心解説 この問題は、経鼻胃管 (Nasogastric Tube) による持続吸引中の患者の急変時における、看護師の臨床判断と優先順位を問うています。吸引量が急増し、胆汁成分を含む緑色の液体が吸引された場合、イレウス (Ileus) の悪化や消化管通過障害の進行、あるいは胃管先端の位置異常(例:十二指腸への迷入)などの病態変化が疑われます。このような状況では、第一に患者の全身状態のアセスメント (Assessment of General Condition) が必須であり、そのために バイタルサイン (Vital Signs) の測定が最優先となります。 正解の根拠 (Answer Rationale) 最重要! 吸引量の急増と性状変化(緑色・胆汁性)は、患者の病態が急変している可能性を示すサインです。看護師はまず患者の生命兆候を確認し、全身の循環動態や呼吸状態、意識レベルを評価する必要があります。バイタルサインの異常(血圧低下、頻脈、発熱、呼吸数の増加など)は、敗血症性ショック (Septic Shock)脱水 (Dehydration)イレウスの重症化 (Worsening Ileus) を示唆するため、これらを確認した上で次の判断(医師への報告、吸引の中止、胃管位置の確認など)へと進むことが適切です。 誤答の分析 (Distractor Analysis) ①番:直ちに吸引を中止するのは早計です。吸引を急に中止すると、胃内容物が貯留し、患者の状態を悪化させる可能性があります。吸引中止は、医師の指示があるか、バイタルサインの結果など総合的な判断が必要です。
②番:胃管の位置を確認することも重要ですが、まずは全身状態の評価(バイタルサイン)が優先です。患者が安定していることを確認した上で、位置確認を行います。緑色の液体は胆汁の可能性が高く、胃管が 混同注意! 十二指腸に迷入している可能性も考えられますが、それよりも生命の安全確保が先決です。
③番:吸引圧を上げることは絶対に避けるべき行為です。吸引圧の上昇は胃粘膜を損傷するリスクがあり、特に状態が不安定な患者では有害です。
⑤番:医師への報告も必要な手順ですが、看護師は報告前に患者の状態を正しく把握し、SBAR(状況・背景・アセスメント・提案)に沿った報告が求められます。バイタルサインを測定せずに「吸引量が増えました」と報告するだけでは、適切な指示を得られない可能性があります。 関連概念の整理 (Related Concepts) - 経鼻胃管吸引の目的:消化管の減圧(イレウス・術後)、胃内容物の排出、消化管出血の観察など。 - 吸引液の性状評価:緑色(胆汁)・黄褐色(胃液+胆汁)・暗赤色(出血)・コーヒー残渣様(消化管出血)など。 - イレウス (Ileus) の病態:腸管の内容物通過障害。単純性と複雑性(絞扼性)があり、複雑性は緊急手術が必要。症状:腹痛、嘔吐、排ガス・排便停止、腹部膨満。
概念整理: 経鼻胃管吸引中の急変時対応は「まず全身状態評価(バイタルサイン)→ 異常確認後、医師報告 → 医師指示に基づき吸引中止/位置確認/処置」の順序。この順序を間違えないように覚えましょう。
一目で比較!:
状況優先行動理由
吸引量急増 + 緑色バイタルサイン測定全身状態のアセスメントが最優先
吸引が突然停止胃管の位置・屈曲確認閉塞や位置異常が原因
吸引液が鮮血直ちに吸引中止 + 医師報告活動性出血の可能性が高い

看護過程ポイント: - アセスメント: 吸引量・色・性状の経時的変化、バイタルサイン、腹部所見(膨満・圧痛・腸蠕動音)、脱水徴候(皮膚ツルゴル・口渇・尿量)。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「消化管通過障害に関連した栄養バランスの変化:必要量以下の摂取」「胃管挿入に関連した口腔粘膜損傷のリスク状態」。 - 計画・実施: 正確な入出量管理(Intake/Output chart)、口腔ケア(頻回)、吸引圧の適正管理(通常80~100 mmHg)。 - 評価: バイタルサイン安定、吸引量減少傾向、腹部症状の改善。
暗記のコツ: 「吸(吸引)急変 → まずバイタル(全身状態)→ 異常あれば報告 → 指示で中止確認」とリズムで覚えましょう。「急に変化したら、まずは患者さんの全身を診る」という看護の基本原則です。
国試頻出ポイント: 経鼻胃管の管理は頻出テーマ。特に「吸引液の性状変化(出血・胆汁)」と「看護師の判断と行動の優先順位」は、単純知識問題から状況設定問題まで様々な形で出題されます。SBARに基づく報告の順序も併せて学習しておきましょう。
出題パターン注意!: 「患者の腹部が緊満し、苦痛表情あり。経鼻胃管からの吸引量が増加し緑色。バイタルサインは正常範囲内。看護師の対応として適切なのはどれか。」のように、バイタルサインの情報が与えられた場合、正常であれば胃管の位置確認や医師報告が優先されることもあります。問題文の条件をしっかり読み取りましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 80代女性、イレウスで経鼻胃管による持続減圧中。夜勤帯、担当看護師が吸引バッグを見ると、3時間前まで淡黄色だった吸引液が濃い緑色に変わり、量も100mlから急に350mlに増加しています。患者は「お腹が張って気持ち悪い」と訴えています。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察: 直ちにバイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸数・体温・SpO2)を測定。意識レベル(JCS)も確認。腹部の視診・聴診・触診(腸蠕動音の減弱・消失の有無、腹部の硬さ)。 2. アセスメント: バイタルサインが安定しているか、ショックや脱水の兆候はないかを判断。胆汁性の吸引液増加は、イレウスの悪化または胃管の位置異常(十二指腸迷入)を示唆。患者の苦痛度も評価。 3. 報告(SBAR): Situation(状況): 「〇〇病棟の看護師です。80代女性のイレウス患者さんで、経鼻胃管からの吸引量が急増し、緑色に変わりました。」 Background(背景): 「イレウスで持続減圧中、バイタルサインは安定していますが、腹部膨満と不快感を訴えています。」 Assessment(アセスメント): 「イレウスの悪化または胃管迷入の可能性が考えられます。」 Recommendation(提案): 「胃管の位置確認のため、エックス線撮影の指示と、吸引の一時中止の判断をお願いします。」 4. 介入: 医師の指示に従い、胃管の位置確認(空気注入法やX線撮影)、吸引圧の調整(通常80~100mmHg)、必要に応じて生理食塩水によるフラッシュ(医師指示のもと)。患者の体位調整(ギャッジアップ)も検討。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 吸引を自己判断で中止しない(胃内容物の逆流・誤嚥リスク)。吸引圧の上昇は禁忌(胃粘膜損傷・出血リスク)。誤嚥性肺炎予防のため、患者の意識レベルと咳嗽反射を確認。高齢者は脱水になりやすいため、厳密な入出量管理と電解質補正を考慮。
看護プロトコル: 観察項目: バイタルサイン(特に血圧・脈拍)、吸引液の量・色・性状(毎回記録)、腹部所見(膨満・圧痛・腸蠕動音)、脱水徴候(口渇・皮膚ツルゴル・尿量)。報告基準(SBAR): 上記参照。記録のポイント: 時間、バイタルサイン、吸引液の性状変化、行ったケアとその反応、医師への報告内容と指示内容。
先輩看護師の一言: 「経鼻胃管の吸引って、見た目は地味だけど患者さんの状態をすごく反映してくれるモニターなんです。色が変わった、量が増えた、匂いが違う…こういうサインを見逃さないでください。そして、何より大事なのは患者さん自身の訴えです。『さっきまでテレビ見てたのに、急にしんどくなった』という言葉に、一番重要な情報が隠れていることもありますよ!」

重要概念

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