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消化・吸収機能障害のある患者への看護
悪心・嘔吐のある患者への看護で、嘔吐物の観察項目として最も重要なのはどれか。
-
1
嘔吐物の臭気
-
2
嘔吐物の温度
-
3
嘔吐物の量と色
✓ 正解
-
4
嘔吐物の粘稠度
-
5
嘔吐物のpH
解説
嘔吐物の量は脱水や出血の程度を、色は胆汁性か血性か(消化管出血の有無)を評価する上で最も重要な情報である。臭気や粘稠度、pH、温度も参考情報にはなるが、優先度は量と色が高い。
同じテーマの次の問題消化・吸収機能障害のある患者への看護において、下痢のアセスメントで最も優先度が高い項目はどれか。この問題が収録された問題集成人看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、悪心・嘔吐 (Nausea and Vomiting) のある患者の看護において、嘔吐物の観察項目で最も優先すべきものを問うています。看護師は嘔吐物の性状をアセスメントすることで、患者の病態や緊急性を迅速に判断する必要があります。
1. 核心概念の分析 (Key Concept): 嘔吐は消化管の内容物を逆流・排出する反射運動であり、その内容物は病態によって大きく異なります。観察の目的は、循環血液量の減少(脱水)と消化管出血の有無を評価することです。したがって、最も客観的かつ緊急性の判断に直結する情報は「量」と「色」です。
2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 最重要! ③番の嘔吐物の量と色が正解です。大量の嘔吐は脱水や電解質異常を、血性(コーヒー残渣様)の嘔吐は上部消化管出血を示唆し、ショックに至る可能性もあります。これらはバイタルサインと併せて、直ちに医師へ報告すべき所見です。また、胆汁性(黄緑色)かどうかは、嘔吐が幽門輪より遠位の閉塞によるものかを判断する手がかりとなります。
3. 誤答の分析 (Distractor Analysis):
- 混同注意! ①番の臭気は、腸閉塞や感染症の可能性を示唆する情報ですが、緊急性や処置の優先度は量と色に劣ります。
- ②番の温度、⑤番のpHは、嘔吐物の観察項目として通常は測定しません。現場では口腔内や皮膚への刺激のアセスメントは行いますが、優先項目ではありません。
- ④番の粘稠度も観察項目ではありますが、吸引時の閉塞リスク評価など限定的な状況で参考にする程度であり、全身状態の評価には直結しません。
4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 観察すべき嘔吐物の性状は「量、色、性状、混入物(血液、胆汁、食物残渣)」です。特にコーヒー残渣様嘔吐(Coffee Grounds Vomiting)は上部消化管出血の代表的な所見であり、直ちにバイタルサイン(血圧、脈拍)の測定と医師への報告が必要です。脱水の程度は、皮膚のツルゴールや口渇、尿量減少などでも評価します。
概念整理: 嘔吐物観察の核心は「循環動態のアセスメント」です。量(脱水リスク)と色(出血リスク)が最も重要な2軸であり、これにより緊急度・重症度が判断できます。その他の項目(臭気、粘稠度)は、状況に応じて付加的に評価します。
一目で比較!:
| 観察項目 | 臨床的意義 | 優先度 |
|---|
| 量と色 | 脱水/出血の程度評価 | 最重要 |
| 臭気 | 腸閉塞/感染症の可能性 | 重要 |
| 粘稠度 | 吸引時の閉塞リスク評価 | 参考 |
| 温度・pH | ルーチン観察項目ではない | 低い |
看護過程ポイント:
- アセスメント: 嘔吐の頻度・誘因・随伴症状(腹痛、下痢)も同時に評価。特に高齢者や乳幼児は急速に脱水が進行するため、バイタルサインと尿量の確認は必須。
- 看護診断 (Nursing Diagnosis): 「体液量不足リスク (Risk for Deficient Fluid Volume)」または「栄養バランス変化:必要量以下 (Imbalanced Nutrition: Less Than Body Requirements)」が優先されます。
- 介入: 嘔吐物の量と色を観察後、医師へ報告。指示があれば輸液療法(Fluid Therapy)を開始。口腔ケアを実施し、患者の不快感を軽減。必要に応じて制吐剤(Antiemetic)の投与。
暗記のコツ: 「嘔吐物は『量と色』がファーストチェック!」と覚えましょう。「大量で赤ければショック、コーヒー残渣なら胃潰瘍出血」とイメージすると記憶に残りやすいです。
国試頻出ポイント: 消化器系疾患の急性期看護、術後看護の設定で頻出です。特に上部消化管出血(胃潰瘍、食道静脈瘤破裂)との関連、脱水の指標(バイタルサイン、皮膚所見、尿量)との組み合わせで出題されやすいです。
出題パターン注意!: 「嘔吐を繰り返す患者の看護」という単純な知識問題に加えて、「術後患者で嘔吐がみられた場合、まず何を観察するか」という状況設定問題でも出題されます。必ず優先順位を考えられるようにしておきましょう。
臨床実践ガイド- 1臨床シナリオ (Clinical Scenario)60代女性、胃癌術後3日目。経鼻胃管(Nasogastric Tube)を挿入中。夜間、突然悪心を訴え、胃管から濃い茶色の液体(コーヒー残渣様)が約200ml排液されました。看護師としてどのように観察・対応すべきでしょうか?
- 2看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)まず、最重要! 患者さんのバイタルサイン(特に血圧と脈拍)を直ちに測定します。次に、胃管排液の性状(量・色)を確認し、血性排液の可能性をアセスメント。上部消化管出血が疑われるため、直ちに医師へ報告し(SBARを使用:Situation「術後患者、胃管からコーヒー残渣様排液200ml」、Background「胃癌術後3日目」、Assessment「消化管出血の可能性、バイタルサインは現在安定」、Recommendation「緊急の医師評価を要請」)、指示に従い輸液ルートの確保や採血の準備を行います。
- 3患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)禁忌! 消化管出血が疑われる場合、安易に胃管を洗浄(洗浄)しないでください。止血を阻害する恐れがあります。また、患者を安静に保ち、誤嚥予防のため側臥位を維持します。
看護プロトコル: 観察項目は「嘔吐/排液の量・色・性状」「バイタルサイン」「皮膚の冷感・湿潤の有無(ショックの兆候)」「腹痛の有無」。報告は速やかに、かつ具体的な数値で行う。記録は「排液の性状、時間、量、観察所見、報告内容と医師の指示」を正確に残す。
先輩看護師の一言: 「患者さんが嘔吐したとき、『また吐いた』で済ませてはいけません。その『吐いたもの』が何を意味するのか、患者さんの体で何が起きているのかを考えてください。特に血が混じっているときは、その一瞬で患者さんの命が変わる可能性があります。観察の『量と色』は、現場で患者さんを救う最初の一手です!」
- 悪心 — 嘔吐しようとする不快な感覚。しばしば嘔吐に先行するが、単独で生じることもある。脳幹の嘔吐中枢の興奮によって引き起こされる。
- 嘔吐 — 胃内容物を口腔内に強制的に排出する反射運動。延髄の嘔吐中枢によって制御される。
- 上部消化管出血 (Upper Gastrointestinal Bleeding) — Treitz靱帯より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血。コーヒー残渣様嘔吐やタール便として現れる。
- 脱水 — 体内の水分が不足した状態。嘔吐による水分喪失が原因となる。バイタルサイン(頻脈、血圧低下)、皮膚ツルゴール低下、口渇などで評価する。
- 輸液療法 (Fluid Therapy) — 静脈内に電解質液や栄養液を投与する治療法。脱水や電解質異常の補正、循環血液量の維持を目的とする。
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