閉塞性黄疸の患者にみられる身体所見はどれか。 | MyMerci
消化・吸収機能障害のある患者への看護
問題

閉塞性黄疸の患者にみられる身体所見はどれか。

解説
閉塞性黄疸では、ビリルビンが血中に上昇し、皮膚や粘膜が黄染する黄疸が生じる。特に眼球結膜は黄疸が早期に出現しやすい部位である。手掌紅斑、くも状血管腫、女性化乳房は肝硬変など慢性肝疾患の所見である。クスマウル呼吸は代謝性アシドーシスでみられる。

詳細解説

核心解説 この問題は、閉塞性黄疸(Obstructive Jaundice)の患者に特徴的な身体所見を問うています。閉塞性黄疸とは、胆管(Bile Duct)が結石や腫瘍などで閉塞されることにより、胆汁(Bile)の流れが障害され、胆汁中に含まれるビリルビン(Bilirubin)が血中に逆流・上昇することで生じる病態です。このビリルビンの上昇が、皮膚や粘膜を黄染させる黄疸(Jaundice)の原因となります。特に最重要!眼球結膜(Bulbar Conjunctiva)は組織が薄く、黄疸が最も早期に、そして明瞭に出現する部位です。そのため、身体診察ではまず眼球結膜の色調を観察することが基本です。 正解の根拠(Answer Rationale)
選択肢⑤の「眼球結膜の黄染」は、閉塞性黄疸に限らず、すべての黄疸(肝前性、肝性、肝後性)に共通して見られる最も基本的な身体所見です。閉塞性黄疸では、直接ビリルビン(Conjugated Bilirubin)が上昇するため、尿の濃染(ビリルビン尿)や便の灰白色化(Clay-colored Stool)も特徴的な所見として併せて覚えておきましょう。 誤答の分析(Distractor Analysis)
混同注意!クスマウル呼吸(Kussmaul Respiration):これは深くて速い呼吸様式で、糖尿病性ケトアシドーシス(Diabetic Ketoacidosis, DKA)などの代謝性アシドーシス(Metabolic Acidosis)時に、体内の酸性物質を呼気から排出しようとする代償性反応です。黄疸とは全く関連がありません。 ② 手掌紅斑(Palmar Erythema):手掌が赤くなる所見で、肝硬変(Liver Cirrhosis)などの慢性肝疾患において、エストロゲン(Estrogen)の不活性化障害により毛細血管が拡張することで生じます。閉塞性黄疸の急性期には通常見られません。 ③ 女性化乳房(Gynecomastia):男性の乳房が女性のように肥大する所見で、手掌紅斑と同様に慢性肝疾患によるホルモン代謝異常(エストロゲン優位)が原因です。 ④ くも状血管腫(Spider Angioma / Spider Nevus):中心の赤い点から放射状に毛細血管が拡張した皮膚所見で、こちらも慢性肝疾患(特に肝硬変)に特徴的な徴候です。 関連概念の整理(Related Concepts)
黄疸の分類と主な原因を整理しましょう。
分類原因主なビリルビン
肝前性黄疸(溶血性黄疸)溶血性貧血(Hemolytic Anemia)間接ビリルビン(Unconjugated Bilirubin)増加
肝細胞性黄疸急性肝炎(Acute Hepatitis)、肝硬変両方(直接+間接)増加
肝後性黄疸(閉塞性黄疸)胆石(Gallstone)、胆管癌(Cholangiocarcinoma)、膵頭部癌(Pancreatic Head Cancer)直接ビリルビン(Conjugated Bilirubin)増加

概念整理: 閉塞性黄疸は胆汁排泄障害による直接ビリルビンの上昇が本態。身体所見の核心は、眼球結膜の黄染と、胆汁の腸管への流出が途絶えることによる灰白色便、そして尿中にビリルビンが排泄されることによるビリルビン尿(濃茶色尿)です。
一目で比較!: 混同注意! 慢性肝不全(肝硬変)で見られる身体所見(手掌紅斑、くも状血管腫、女性化乳房)と、閉塞性黄疸を含む急性の黄疸で見られる身体所見(眼球結膜黄染、灰白色便、ビリルビン尿)は全くの別物です。
看護過程ポイント:
  • アセスメント: 視診で皮膚・粘膜の色調(特に眼球結膜と口腔粘膜)、尿・便の色調(灰白色便の有無)、皮膚の掻痒感(Pruritus)の有無を観察。
  • 看護診断: 「黄疸に関連した皮膚統合性の脅威(掻痒による掻爬のリスク)」「消化・吸収障害に関連した栄養状態の脅威」など。
  • 介入: 掻痒感が強い場合は、爪を短く切り、清潔を保ち、指示に基づき抗ヒスタミン薬を投与。脂肪の消化吸収障害に備えた食事指導。

暗記のコツ: 「黄疸と言えば、眼球結膜!」をまず暗記。そして「閉塞=出口が詰まる=便の色が抜ける(灰白色)・尿の色が濃くなる(ビリルビン尿)」とイメージしましょう。
国試頻出ポイント: 身体所見の部位を画像と紐づけて出題されることが多い。手掌紅斑とくも状血管腫は「慢性肝疾患」、眼球結膜黄染は「黄疸全般」、クスマウル呼吸は「代謝性アシドーシス」のキーワードとセットで覚えましょう。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ(Clinical Scenario)
消化器外科病棟に勤務する看護師あなた。60代男性が、上腹部痛と全身の痒みを訴え、眼球結膜の黄染が認められ入院してきました。血液検査で肝胆道系酵素(AST, ALT, ALP, γ-GTP)の上昇と直接ビリルビンの高値、腹部CTで総胆管に結石が確認され、閉塞性黄疸と診断されました。 看護介入と判断戦略(Nursing Intervention & Clinical Judgment)
1. 観察: 毎日のバイタルサイン(特に体温:胆管炎併発の有無)と、眼球結膜・皮膚の黄染の程度、尿・便の色調、皮膚の掻痒の程度を観察します。 2. アセスメント: 掻痒の増強は、閉塞が進行している可能性を示唆。発熱は急性胆管炎(Acute Cholangitis)の合併を示す危険なサインです。胆管が完全に閉塞すると、ビタミンKの吸収障害によりプロトロンビン時間(PT)延長による出血傾向が出現するため、血液検査値と皮下出血の有無も確認します。 3. 報告(SBAR): 「S(状況):〇〇さん、昨日より皮膚の痒みが強くなり、不眠がちです。B(背景):閉塞性黄疸で入院中で、現在ERCP待機中です。A(アセスメント):掻痒の増強とともに、今朝から体温37.8℃と微熱があり、胆管炎の合併が疑われます。R(推奨):すぐに診察をお願いします。」 4. 介入: 掻痒に対しては、皮膚の清潔を保ち、保湿剤を塗布。指示があれば抗ヒスタミン薬を投与。検査(ERCP: 内視鏡的逆行性胆管膵管造影)や治療(EST: 内視鏡的乳頭切開術など)に向けての準備と説明を行います。出血傾向に注意し、注射や採血後は十分な圧迫止血を実施します。
看護プロトコル: 閉塞性黄疸患者の観察項目は、黄疸の程度(眼球結膜、皮膚、尿・便の色調)、掻痒の程度(睡眠障害や皮膚損傷の有無)、バイタルサイン(発熱の有無)、出血傾向(皮下出血、歯肉出血、PT/APTT)、ビタミン欠乏症状(脂溶性ビタミンA, D, E, Kの欠乏に注意)。
先輩看護師の一言: 「黄疸を見たら、まず眼球結膜!これは新人研修でも必ず教わる基本です。そして、閉塞性黄疸の患者さんは、掻痒が本当に辛いんです。『我慢しなさい』ではなく、『どうしたら楽になるか』を一緒に考えてあげてください。掻破による皮膚トラブルを予防することも大切な看護です。また、治療が始まるまでの間、出血傾向に注意するのも忘れずにね!」

重要概念

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