肺血栓塞栓症 (Pulmonary Thromboembolism) の診断において、スクリーニング検査として最も推奨さ… | MyMerci
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循環機能障害のある患者の看護
問題

肺血栓塞栓症 (Pulmonary Thromboembolism) の診断において、スクリーニング検査として最も推奨される血液検査項目はどれか。

解説
D-ダイマーは線溶系の亢進を示すマーカーであり、肺血栓塞栓症のスクリーニング検査として感度が高い。陰性の場合、肺血栓塞栓症の可能性をほぼ否定できる。トロポニンやBNPは心筋障害や心負荷の評価に用いられる。
同じテーマの次の問題急性心筋梗塞 (AMI) の患者において、心筋障害の程度を評価するために最も有用な血液検査所見はどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、肺血栓塞栓症 (Pulmonary Thromboembolism, PTE) の診断における初期スクリーニング検査を問うています。PTEは、深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis, DVT) から遊離した血栓が肺動脈を閉塞する病態であり、迅速な診断と治療が生命予後を左右します。スクリーニングには、感度が非常に高く、陰性的中率 (Negative Predictive Value, NPV) が高い検査が優先されます。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): PTEの診断フローでは、まず臨床的 probability(Wellsスコアなど)を評価し、その後 D-ダイマー (D-dimer) 検査を実施します。D-ダイマーは、フィブリン分解産物の一種で、血栓が形成され、その後線溶系が活性化されて分解された際に血中に出現します。PTE/DVTのスクリーニングにおいて感度は90%以上と非常に高く、陰性であればPTEをほぼ否定できます(陰性的中率 > 99%)。ただし、特異度は低く(加齢、悪性腫瘍、炎症、妊娠などでも上昇)、陽性の場合には確定診断のためにCT肺動脈造影 (CTPA) などの画像検査が必要です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): 選択肢1の D-ダイマー (D-dimer) が正解です。最重要! スクリーニング検査としての第一選択であり、基準値: 0.5μg/mL 未満(施設により異なる)で、カットオフ値を超える場合に陽性と判定します。陰性であれば、PTEの可能性は極めて低いと判断され、抗凝固療法を開始せずに経過観察が可能となるため、不必要な画像検査や治療を回避できます。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - 混同注意! ②番 トロポニンI (Troponin I) は心筋細胞に特異的なタンパクであり、心筋障害(急性冠症候群など)のマーカーです。PTEでも右心負荷による心筋障害で上昇することがありますが、スクリーニング検査としては使用せず、重症度評価や予後予測に用います。 - 混同注意! ③番 活性化部分トロンボプラスチン時間 (APTT) は内因系凝固経路を評価する検査で、ヘパリン療法のモニタリングに用います。PTEのスクリーニングには推奨されません。 - 混同注意! ④番 脳性ナトリウム利尿ペプチド (BNP) は心筋から分泌されるホルモンで、心不全の診断や重症度評価に用います。PTEでは右心負荷で上昇することがあり、予後予測に有用ですが、スクリーニング検査ではありません。 - 混同注意! ⑤番 プロトロンビン時間 (PT) は外因系凝固経路を評価する検査で、ワルファリンのモニタリングに用います。PTEのスクリーニングには使用しません。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): PTEの診断アルゴリズム(Wellsスコア、Revised Genevaスコア)とD-ダイマーの位置づけを理解することが重要です。また、D-ダイマーの特異度が低いため、偽陽性の原因(高齢者、炎症、外傷、悪性腫瘍、妊娠など)を考慮する必要があります。確定診断には CT肺動脈造影 (CTPA) または 肺換気・血流シンチグラフィ (V/Qスキャン) が用いられます。 概念整理: PTE診断フロー:①臨床的probability評価 → ②D-ダイマー(スクリーニング) → ③陽性ならCTPA(確定診断)。D-ダイマー陰性 = PTE否定 が基本原則。 一目で比較!:
検査項目主な用途PTEとの関係
D-ダイマー血栓症スクリーニング感度高い、陰性で否定可能
トロポニン心筋障害マーカーPTEの重症度評価(右心負荷)
BNP心不全マーカーPTEの重症度評価(右心負荷)
APTT/PT凝固系モニタリングPTE治療中の抗凝固療法評価
看護過程ポイント: アセスメント:D-ダイマー高値かつPTEが疑われる患者の呼吸状態(呼吸困難、胸痛、血痰)、循環状態(頻脈、血圧低下、頸静脈怒張)を評価。看護診断:非効果的気道クリアランス、非効果的呼吸パターン、心拍出量減少リスク。介入:安静維持、酸素投与、バイタルサイン・SpO2モニタリング、抗凝固療法(ヘパリン)の準備と副作用観察。 暗記のコツ: 「Dで否定!」と覚えましょう。D-ダイマー(D-dimer)が陰性(Negative)なら、Deep Vein Thrombosis / Pulmonary Embolism を否定できる(Deny)。 国試頻出ポイント: PTEのリスク因子(長期臥床、手術後、悪性腫瘍、経口避妊薬、妊娠など)と予防策(弾性ストッキング、間欠的空気圧迫装置、早期離床)とセットで出題されることが多いです。また、D-ダイマー検査の特性(高感度・低特異度)と、偽陽性となる状況も頻出事項です。 出題パターン注意!: 単純な「D-ダイマーがスクリーニング」という知識問題から、「術後患者のD-ダイマー高値と呼吸困難出現時のアセスメント」のような状況設定問題に発展します。事例問題では、Wellsスコアや他の検査結果と統合した判断が求められることがあります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 60代女性、左膝人工関節置換術後3日目。夜間に突然、右側胸部痛と呼吸困難を訴え、SpO2が92%に低下。医師に報告し、緊急で血液検査とCTPAがオーダーされました。採血結果でD-ダイマーが3.5μg/mLと高値。看護師としてどのようにアセスメントし、患者を支えますか? 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 最重要! D-ダイマー高値はPTEの可能性を示唆します。まずは患者の安全を最優先に、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)を再評価し、酸素投与(指示の範囲内で2-4L/分 鼻カニューレ)を開始します。患者に「検査の結果、肺の血管に血栓ができている可能性があります。すぐに詳しい検査をして、治療を始めますね」と説明し、不安を軽減します。医師への報告はSBAR形式で: - S:患者、60代女性、左膝術後3日目 - B:夜間突然の胸痛と呼吸困難、SpO2 92% - A:D-ダイマー高値、バイタルサインは血圧110/70、脈拍105/分、呼吸数28/分 - R:PTEを疑い、酸素投与中。CTPAの準備と抗凝固療法の指示が必要と考える 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): PTEが疑われる患者には絶対安静 (Absolute Bed Rest)を指示します。血栓の遊離・増大を防ぐため、激しい体動や咳込みは避けるよう指導します。また、肺梗塞 (Pulmonary Infarction)に伴う血痰 (Hemoptysis) の観察も重要です。抗凝固療法開始後は、出血のリスク(特に頭蓋内、消化管)に注意し、APTT(ヘパリン)またはPT-INR(ワルファリン)のモニタリングを確実に行います。 看護プロトコル: 観察項目:バイタルサイン(頻脈、血圧低下、呼吸数増加、SpO2低下)、胸痛の性状・部位・持続時間、咳嗽・血痰の有無、頸静脈怒張、下肢のDVT徴候(片側性の腫脹・圧痛・発赤・Homan兆候)。報告基準:SpO2 < 90%、呼吸数 > 30/分、収縮期血圧 < 90mmHg、新たな胸痛・呼吸困難の出現。記録には、症状の発症時間、経過、行った看護介入とその反応を詳述。 先輩看護師の一言: 「D-ダイマーは、陰性のときが本当に強い味方!『この患者さんはPTEの可能性が低い』と安心して次のステップに進めます。逆に陽性のときは、必ずしもPTEとは限らない(偽陽性)ことを覚えておいて。『なぜD-ダイマーが上がっているのか』という視点で、患者さんの全体像を捉えることが大切です。国試でも、D-ダイマーを『スクリーニング』と『陰性で否定』の2点で押さえれば、自信を持って答えられますよ!」

重要概念

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