核心解説
この問題は、
心拍出量 (Cardiac Output)の定義とその構成要素を正確に理解しているかを問うています。
心拍出量は、心臓が1分間に全身に送り出す血液量であり、心臓のポンプ機能を評価する最も基本的な指標の一つです。この値は、
1回拍出量 (Stroke Volume)と
心拍数 (Heart Rate)の積(CO = SV × HR)で算出されます。したがって、心拍出量を直接評価するためには、この2つの指標を同時に把握することが不可欠です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要!心拍出量 (CO) は、1回拍出量 (SV) と心拍数 (HR) の積で定義されます。CO = SV × HR。この式は看護師国家試験においても必須の知識です。心臓が1回の収縮で拍出する血液量(SV)と、1分間の拍動回数(HR)が分かれば、心臓の1分間の仕事量を直接計算できます。よって、選択肢5の組み合わせが最も適切です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
①番:
混同注意!中心静脈圧 (CVP) と肺動脈楔入圧 (PAWP) は、それぞれ右心と左心の前負荷(Preload)を評価する指標であり、心拍出量を規定する因子の一つですが、心拍出量そのものを構成する要素ではありません。
②番:収縮期血圧と拡張期血圧は、心拍出量と末梢血管抵抗(SVR)の影響を受ける結果としての血圧値です。血圧を測定しても心拍出量は直接算出できません(BP = CO × SVR)。
③番:末梢血管抵抗 (SVR) と血液粘度は、心拍出量に影響を与える因子(後負荷や血流の抵抗)ではありますが、心拍出量の直接的な構成要素ではありません。
④番:左室駆出率 (LVEF) は、左室拡張末期容量に対する1回拍出量の割合(EF = SV / EDV)であり、心機能の指標として重要ですが、1回拍出量のみでは心拍出量は算出できません(心拍数の要素が必要です)。
関連概念の整理 (Related Concepts)
心拍出量(CO)と血圧(BP)の関係は、BP = CO × SVR(末梢血管抵抗)で表されます。この関係を理解することで、ショック状態(循環血液量減少性ショック vs 心原性ショック vs 敗血症性ショック)の病態と看護介入の違いを深く理解できます。また、スターリングの法則(Frank-Starling mechanism)も併せて学習すると、1回拍出量が前負荷に依存するメカニズムが明確になります。
概念整理
| 指標 | 定義 | 計算式 |
|---|
| 心拍出量 (CO) | 1分間に心臓が拍出する血液量 | CO = SV × HR |
| 1回拍出量 (SV) | 1回の心収縮で拍出される血液量 | SV = EDV - ESV |
| 心拍数 (HR) | 1分間の心拍動回数 | HR = 60 / RR間隔 |
| 駆出率 (EF) | 左室拡張末期容量に対するSVの割合 | EF = SV / EDV |
看護過程ポイント
アセスメント: 心拍出量の評価は、直接測定が難しいため、バイタルサイン(血圧、脈拍、呼吸数、SpO2)、尿量(0.5ml/kg/hr以上が目安)、末梢冷感やチアノーゼの有無、意識レベルの変化などの代用指標を総合的に観察します。CO低下が疑われる場合(頻脈、低血圧、尿量減少、意識障害など)、
循環動態の変化を早期に発見することが看護師の重要な役割です。
看護介入: CO低下が疑われたら、医師への迅速な報告(SBAR:状況、背景、評価、提案)と、酸素投与の準備、輸液療法の確認、必要に応じて昇圧薬や強心薬の投与準備を行います。
国試頻出ポイント
この問題は、循環器系の基本的な生理学の理解を問うもので、毎年のように出題される
High Yieldテーマです。単純な計算式(CO = SV × HR)の暗記だけでなく、血圧(BP = CO × SVR)との関係や、各指標(CVP、PAWP、EF)の臨床的意義も併せて問われることが多いため、総合的に学習しておきましょう。
出題パターン注意!
「心拍出量を増加させる因子はどれか」「心拍出量が低下した場合にみられる症状はどれか」といった選択問題や、「心拍出量減少 (Decreased Cardiac Output) の看護診断を挙げ、そのアセスメント項目を3つ述べよ」といった記述式問題にも対応できるよう、病態と看護介入の紐付けを意識した学習が重要です。