核心解説
この問題は、
術後発熱 (Postoperative Fever) のタイミングと原因を鑑別する能力を問うています。術後発熱は、発生時期によって原因を絞り込むことが非常に重要です。術後24時間以内、術後2~3日、術後4~5日以降、術後1週間以降と、それぞれ特徴的な原因が存在します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は③番の
創部感染 (Surgical Site Infection)です。創部感染による発熱は、一般的に
術後3~5日目 にピークを迎えることが多く、発赤、腫脹、熱感、疼痛、排膿などの局所所見を伴うことが特徴です。本問題は「術後3日目」の発熱であり、最も可能性が高いのは創部感染です。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢がなぜ誤りかを、発熱の発生時期から確認しましょう。
①番の
麻酔薬による悪性高熱症 (Malignant Hyperthermia):これは吸入麻酔薬や脱分極性筋弛緩薬によって引き起こされる重篤な副作用で、
麻酔導入後、極めて早期(数分~1時間以内)に発生します。術後3日目に突然発症することはありません。
②番の
輸血反応 (Transfusion Reaction):発熱を伴う輸血反応は、
輸血中または輸血終了後数時間以内に発生するのが一般的です。術後3日目に初めて発熱する原因としては時期が遅すぎます。
④番の
無気肺 (Atelectasis):術後の無気肺による発熱は、
術後24~48時間以内に発生することが多く、術後3日目では原因として可能性は低くなります。
⑤番の
肺塞栓症 (Pulmonary Embolism):発熱は微熱程度であることが多く、発熱よりも突然の胸痛、呼吸困難、頻呼吸などの症状が前面に出ます。発熱が単独で出現することは稀です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
術後発熱の鑑別は、発生時期が鍵となります。以下のように整理しましょう。
| 時期 | 主な原因 |
| 術後24時間以内 | 無気肺 (Atelectasis)、悪性高熱症 (Malignant Hyperthermia)、輸血反応 (Transfusion Reaction) |
| 術後2~3日 | 無気肺 (Atelectasis)(やや遅い場合)、創部感染 (Surgical Site Infection)(徐々に発症) |
| 術後3~5日 | 創部感染 (Surgical Site Infection) が最も多い |
| 術後1週間以降 | 深部膿瘍 (Deep Abscess)、縫合糸膿瘍 (Suture Abscess)、薬剤熱 (Drug Fever)、尿路感染 (Urinary Tract Infection)、カテーテル関連血流感染 (Catheter-Related Bloodstream Infection) |
概念整理: 術後発熱は「いつ発症したか」で原因が大きく異なります。特に「術後3~5日目=創部感染」という組み合わせは、国試で頻出のパターンです。発熱のタイミングと、創部の局所所見(発赤・腫脹・熱感・疼痛・排膿)を必ずセットで観察しましょう。
一目で比較!: 術後早期発熱(24時間以内)は無気肺、悪性高熱症、輸血反応。術後中期(3~5日)は創部感染。術後後期(1週間以降)は深部膿瘍や薬剤熱。この3つに分類して覚えると整理しやすいです。
看護過程ポイント:
アセスメント:発熱の発生時期、創部の観察(発赤・腫脹・排膿の有無)、バイタルサイン(体温・脈拍・呼吸・血圧)、呼吸音の聴取(無気肺の有無)、咳嗽や喀痰の状態、尿路症状の有無、カテーテル挿入部位の観察。全身状態(倦怠感、食欲不振)の評価。
看護診断:「感染リスク状態」「体温調節不全」。
計画・介入:医師への報告(発熱の経過と随伴症状)、検温指示、必要に応じた創部の細菌培養、冷却法、輸液管理、安静の確保。
評価:体温の推移、感染徴候の改善、創部治癒経過。
暗記のコツ: 「術後発熱のゴロ合わせ」
「
24時間は無気肺と悪性高熱」(術後24時間以内:無気肺、悪性高熱症)
「
3~5日は創部感染が基本」(術後3~5日:創部感染)
「
1週間後は深部膿瘍や薬剤熱」(術後1週間以降:深部膿瘍、薬剤熱)
と覚えると、鑑別がスムーズになります。
国試頻出ポイント: 術後発熱の問題は、発生時期と原因の組み合わせを問う形で毎年のように出題されています。単純な知識問題に加え、「術後3日目の患者に発熱と創部の発赤・腫脹を認めた。次に看護師が優先すべき観察はどれか」といった状況設定問題(事例問題)に発展することが多いです。創部感染の診断に用いる検査(血液培養、創部培養、白血球数、CRP)も併せて覚えておきましょう。
出題パターン注意!: 単純に「術後3日目の発熱の原因は?」と聞くだけでなく、「術後1日目の発熱」「術後7日目の発熱」のように日数を変えて出題されたり、「発熱に加えて呼吸困難を伴う場合(肺塞栓症を疑う)」や「血圧低下を伴う場合(敗血症性ショックを疑う)」といった状況設定問題で出題されることがあります。問題文のキーワード(発熱の日数、創部所見、呼吸状態、血圧)をしっかり読み取ることが大切です。