術後の創部痛に対して、患者自己調節鎮痛法 (PCA) が導入されている。PCAの管理で看護師が注意すべき点はどれか。 | MyMerci
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急性・重症看護
問題

術後の創部痛に対して、患者自己調節鎮痛法 (PCA) が導入されている。PCAの管理で看護師が注意すべき点はどれか。

解説
PCAではオピオイド鎮痛薬が使用されることが多く、呼吸抑制は最も注意すべき副作用である。呼吸数や酸素飽和度の定期的なモニタリングが必要である。PCAボタンは患者自身が押すことが原則であり、看護師や家族が代わりに押してはならない。持続注入速度は医師の指示に基づく。
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詳細解説

核心解説 この問題は、術後疼痛管理における 患者自己調節鎮痛法 (Patient-Controlled Analgesia, PCA) の安全管理を問うています。PCAは、患者自身がボタンを押すことで、あらかじめ設定された量の鎮痛薬(主に オピオイド (Opioid))を自己投与できる方法です。患者の主体的な疼痛コントロールを可能にする一方で、オピオイド使用に伴う重篤な副作用、特に 呼吸抑制 (Respiratory Depression) に対する細心の観察が看護師に求められます。最重要! PCAの基本原則は「患者自身のみがボタンを押す」ことであり、これにより鎮痛効果と鎮静のバランスが保たれます。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): PCAの管理における看護師の役割は、機器の安全な作動確認患者の全身状態、特に呼吸状態のモニタリングです。オピオイドは中枢神経系を抑制し、呼吸中枢にも作用するため、過剰投与は呼吸数減少、SpO2低下、二酸化炭素貯留を引き起こします。看護師はこの危険性を常に念頭に置く必要があります。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ④番「呼吸抑制の有無を定期的に観察する」が正解です。オピオイド使用中のPCAでは、呼吸抑制が最も生命を脅かす副作用です。定期的な呼吸数、SpO2、鎮静レベルの評価(例:Ramsay Sedation Scale)は必須の看護介入です。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①番:誤り。混同注意! PCAの持続注入速度(ベースライン流量)やボーラス投与量は、医師の処方(指示)に基づき看護師が設定するものであり、患者が自由に変更することは絶対にできません。 - ②番:誤り。最重要! PCAの最大の利点は患者の自己コントロールにあり、ボタンは「患者自身」が痛みを感じた時に押すことが原則です。看護師や家族が代わりに押すと、鎮静状態での過量投与につながり危険です。 - ③番:誤り。PCAポンプのバッテリー確認は重要ですが、一般的には「毎回の訪室時」や「シフト開始時」に行うものであり、「毎日」のみでは不十分です。また、呼吸抑制の観察ほど生命の危険に直結する優先順位ではありません。 - ⑤番:誤り。混同注意! 患者が眠っている間も、持続注入(ベースライン注入)が設定されていれば薬剤は持続的に投与されています。患者の鎮静状態を評価することは重要ですが、PCAを一方的に中止することは、覚醒後の疼痛コントロール不良を招くため適切ではありません。中止は医師の指示に基づきます。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): PCAで使用される主なオピオイドにはフェンタニル (Fentanyl)モルヒネ (Morphine)があります。呼吸抑制の拮抗薬としてナロキソン (Naloxone)を準備しておくことも重要です。また、PCA導入時には、患者と家族に「ボタンは患者さん自身が痛い時だけ押すこと」「家族は代わりに押さないこと」を明確に説明する必要があります。
概念整理: 患者自己調節鎮痛法 (PCA) は、患者自身が疼痛を感じた時にボタンを押すことで、設定された量の鎮痛薬を静脈内または硬膜外に投与する方法。オピオイドの副作用として、呼吸抑制、吐き気・嘔吐、便秘、眠気、瘙痒感がある。特に呼吸抑制は致死的であるため、看護師による頻回な観察が必須。
一目で比較!:
管理項目看護師の役割患者の役割
投与量設定医師の指示に基づき設定・確認変更不可
ボタン操作操作せず、患者の自己管理を支援・指導痛みを感じた時に自身で押す
副作用観察呼吸状態、鎮静レベル、SpO2を定期的に評価異常を感じたらナースコール
機器管理作動状況、閉塞の有無、バッテリー確認

看護過程ポイント: - アセスメント: 疼痛の性質・部位・強度(NRSやVASスケール)、バイタルサイン(特に呼吸数・SpO2)、鎮静レベル、PCAポンプの作動状況(総投与回数、試行回数)。 - 看護診断: 「急性疼痛」に関連する「非効果的な自己健康管理」や「オピオイド副作用(呼吸抑制)のリスク状態」。 - 計画・実施: 鎮痛効果が得られているか評価し、副作用がないか観察。呼吸抑制が疑われたら直ちに医師に報告し、ナロキソンの準備と投与の指示を仰ぐ。 - 評価: 疼痛コントロールの達成度と呼吸状態の安定性。
暗記のコツ: PCAの「P」はPatient(患者)のP。「患者自身がコントローラーを持つゲームのようなもの」とイメージ。「誰がボタンを押すか?」と聞かれたら、必ず「患者自身」と答えること。家族や看護師は「代わりに押さない」が鉄則。
国試頻出ポイント: PCAの基本原則(誰がボタンを押すか)と、最も注意すべき副作用(呼吸抑制)は毎年と言っていいほど出題される。状況設定問題では、「患者が鎮静状態で家族がボタンを押した」という設定で、看護師の対応や問題点を問われることが多い。
出題パターン注意!: 「PCA導入中の患者に、看護師がとるべき適切な行動はどれか」といった正しい行動を選ばせる問題や、「誤っているのはどれか」といった間違い探し問題が出題される。基本原則をしっかり押さえておけば、どのパターンにも対応できる。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド - 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 60代女性、腹腔鏡下結腸切除術後1日目。PCA(フェンタニル持続+ボーラス)が導入されています。訪室すると、患者はウトウトしており、呼吸数が10回/分と減少、SpO2が92%に低下しています。家族が「さっき痛がっていたので、代わりにボタンを押してあげました」と言います。 - 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察と評価: 呼吸数 10回/分、SpO2 92%、鎮静スケールで深い眠り最重要! オピオイド過量による呼吸抑制と判断。 2. 報告と指示受け: 直ちに医師にSBARで報告(状況:呼吸抑制、背景:PCA使用中、家族が代わりにボタンを押した、評価:呼吸数低下と低酸素血症)。 3. 緊急介入: 酸素投与(マスク5L/分など)の開始。医師の指示に基づき、拮抗薬であるナロキソン (Naloxone)を準備・投与(注意:急激な拮抗は急性疼痛を引き起こすため、少量から慎重に投与)。 4. 患者・家族指導: 意識レベルが回復した後、再度PCAの使用方法(患者自身のみが押すこと、家族が代わりに押す危険性)を強く説明する。 - 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): PCAは誤った使用(第三者によるボタン押し)が重大なインシデントに直結する。導入時と継続中の患者・家族への指導が最も重要な予防策。また、呼吸抑制は夜間や睡眠中に発生しやすいため、夜勤帯の観察を特に強化する。
看護プロトコル: - 観察項目: 1時間毎の呼吸数、SpO2、鎮静レベル、疼痛スコア、PCAポンプの累積投与回数。 - 報告基準(SBAR): - S (Situation): 「○○号室の患者さんですが、呼吸抑制が疑われます」 - B (Background): 「PCA(フェンタニル)使用中で、呼吸数が8回、SpO2が90%です」 - A (Assessment): 「オピオイド過量の可能性が高いと考えます」 - R (Recommendation): 「ナロキソンの準備と、酸素投与の指示を仰ぎたいです」 - 記録のポイント: 観察したバイタルサイン、鎮静レベル、PCAポンプのデータ(総投与回数、試行回数)、家族の代わり押しの有無、医師への報告内容と指示、実施した介入と患者の反応を正確に記載。
先輩看護師の一言: 「PCAって、患者さんにとっては『痛みを自分でコントロールできる』素晴らしい方法です。でも、その反面、呼吸抑制という怖い副作用と隣り合わせです。国試では『PCAで何を観る?』と聞かれたら、迷わず『呼吸抑制』と答えましょう。現場では、患者さんの眠りの深さや呼吸の様子を、『いつもと違う』と感じる観察力が何より大切です。安全に疼痛管理ができるよう、しっかりアセスメントしましょうね!」
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