開腹術後の患者に対する離床の目的として適切でないのはどれか。 | MyMerci
MyMerci — 問題も詳しい解説もすべて無料 無料で始める
急性・重症看護
問題

開腹術後の患者に対する離床の目的として適切でないのはどれか。

解説
術後の早期離床は、腸蠕動促進によるイレウス予防、深部静脈血栓症予防、無気肺予防、筋力低下予防など多くの利点がある。しかし、創部離開は過度な腹圧や創部への直接的な負荷が原因であり、適切な離床は創部離開のリスクを高めるものではない。むしろ、離床を促すことで創部への血流が改善し創傷治癒を促進する。
同じテーマの次の問題手術前の患者に対する禁煙指導の目的として適切なのはどれか。

詳細解説

核心解説 この問題は、開腹術後の患者に対する早期離床の目的を問うものです。早期離床は、手術後の合併症予防を目的として、全身状態が安定したら速やかに開始する看護介入の基本です。その目的を病態生理学的に理解することが、正解を見極める鍵となります。 1. 核心概念の分析 (Key Concept): 開腹術後は、麻酔の影響、手術侵襲による炎症反応、絶飲食による脱水傾向、そして長期間の臥床により、複数の合併症リスクが高まります。早期離床は、これらのリスクを軽減するために計画・実施されます。特に、静脈還流の促進肺拡張の改善腸管蠕動の再開筋力維持が主要な生理学的効果です。 2. 正解の根拠 (Answer Rationale): ⑤番の「創部離開の予防」は、早期離床の目的としては適切ではありません。最重要! 創部離開(Wound Dehiscence)は、創部の治癒不良、過度な腹圧(咳嗽・嘔吐・怒責)、または感染によって生じる合併症です。適切な離床は、むしろ創部への血流を改善し、組織の酸素化を促進することで創傷治癒(Wound Healing)を促進します。離床そのものが創部離開を直接予防するわけではないため、これが「目的として適切でない」選択肢となります。 3. 誤答の分析 (Distractor Analysis): - ①深部静脈血栓症の予防: 正しい目的。臥床による下肢の血流停滞を予防し、静脈還流を促進することで深部静脈血栓症 (Deep Vein Thrombosis, DVT) のリスクを低減します。 - ②腸蠕動の促進: 正しい目的。開腹手術後は腸管蠕動が低下し(麻痺性イレウス)、早期離床は体動による物理的刺激と自律神経の調整を介して腸蠕動の再開を促進し、イレウス (Ileus) を予防します。 - ③筋力低下の予防: 正しい目的。長期臥床による廃用症候群 (Disuse Syndrome) の一環である筋力低下を予防します。 - ④無気肺の予防: 正しい目的。麻酔や疼痛による浅い呼吸で生じやすい無気肺 (Atelectasis) を予防します。離床により肺拡張が促進され、効果的な咳嗽が可能になります。 4. 関連概念の整理 (Related Concepts): 混同注意! 「離床の目的」と「離床のリスク(禁忌)」は明確に区別しましょう。離床のリスクとしては、縫合不全(創部離開とは異なり、消化管吻合部の離開)、出血、血圧変動などがあります。また、創部離開を疑うサイン(創部からの血性排液、腸管の脱出)は、看護師が早期に発見すべき緊急所見です。
概念整理: 術後早期離床の主要目的(合併症予防)
合併症離床による予防メカニズム
深部静脈血栓症 (DVT)下肢筋ポンプ作用による静脈還流促進
無気肺 (Atelectasis)体位変換・立位による肺拡張促進、換気血流比改善
麻痺性イレウス (Paralytic Ileus)体動による腸管蠕動刺激、ガス排泄促進
廃用症候群 (Disuse Syndrome)筋力維持、関節可動域保持、循環動態安定

一目で比較!: 創部離開 (Wound Dehiscence) vs 縫合不全 (Anastomotic Leakage)
項目創部離開縫合不全
部位皮膚・皮下組織の離開消化管吻合部の離開
原因創部感染・腹圧上昇・栄養不良血流障害・縫合技術・感染
主な兆候創部からの血性排液増加・腸管脱出発熱・腹膜刺激症状・排液の性状変化(腸液・胆汁)
離床との関係適切な離床は血流改善に寄与し予防的離床自体が直接原因にはならない(過度な腹圧はリスク)

看護過程ポイント: 術後離床のアセスメントと介入
- アセスメント: 術後の全身状態(バイタルサインの安定、疼痛レベル、出血の有無)、麻酔からの回復度、患者の意欲を確認。 - 看護診断 (Nursing Diagnosis): 【活動耐性低下 (Decreased Activity Tolerance)】、【廃用症候群のリスク (Risk for Disuse Syndrome)】。 - 計画・介入: 医師の指示に基づき、段階的な離床計画(ベッドアップ → 端座位 → 立位 → 歩行)を立案。疼痛コントロール(PCAポンプなど)を先行し、安全を確保しながら実施。転倒リスクアセスメントと補助が必要。 - 評価: 離床後のバイタルサイン変動、疼痛の増強、創部の観察(離開・出血・感染徴候)、患者の主観的評価(めまい・倦怠感)。
暗記のコツ: 「術後合併症予防の4つのD」を覚えましょう!
- Deep vein thrombosis(深部静脈血栓症) - Decubitus ulcer(褥瘡)←離床により予防 - Disuse syndrome(廃用症候群) - Dysfunction of bowel(腸蠕動低下・イレウス) ※「創部離開」はDで始まらず、予防目的ではないので選択肢から外せます。
国試頻出ポイント: 術後看護の基本として、早期離床の目的(メリット)と禁忌(デメリット)の両方を対比して問われることが多いです。特に「目的として適切でないもの」を選ぶ問題では、混同注意! 「創部離開」のような、離床が直接予防するわけではない合併症が誤答として設定される傾向があります。離床は創部治癒を促進するが、離開そのものを予防するとは言えない点を押さえましょう。
出題パターン注意!: 単純な知識問題から、事例問題へ発展します。例:「開腹術後2日目の患者。創部痛が強いため離床を嫌がっている。看護師の対応として適切なのはどれか。」といった形で、疼痛管理と離床促進の優先順位を問われることがあります。

臨床シナリオ

臨床実践ガイド 臨床シナリオ (Clinical Scenario): 60代女性、胃がんに対する幽門側胃切除術後1日目。全身状態は安定し、ドレーン排液も淡血性で少量。担当看護師が「ベッドから起き上がって、歩行器で少し歩いてみませんか?」と声をかけたところ、患者は「まだ怖いし、傷が開きそうで心配…」と不安な表情を見せました。 看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment): 1. 観察とアセスメント: まず患者の訴え(創部離開への不安)に共感し、バイタルサイン(血圧、心拍数、SpO2)と創部(ガーゼに過度な出血がないか、ドレーン排液の増加がないか)を再確認。創部離開のリスクは低いとアセスメント。 2. 患者教育と動機づけ: 「離床することで、傷の治りが良くなったり、血栓ができにくくなるんですよ。」と早期離床のメリットを具体的に説明。腹帯(アブドミナルバインダー)を正しく装着し、創部を保護しながら動く方法を指導。「まずはベッドの端に座ってみましょう。無理はしなくて大丈夫です。」とステップを細かく区切る。 3. 安全な実施: 車椅子または歩行器を準備し、点滴スタンドの位置を確認。必ずスタッフが付き添い、転倒予防。離床中は患者の表情と顔色を観察。 4. 評価: 端座位が可能であれば、バイタルサインの変動がないことを確認し、患者の自信につなげる。「大丈夫でしたね。次はもう少し歩いてみましょう。」と次の目標を設定。 患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): 要注意! 離床中に血圧低下(起立性低血圧)、頻脈、めまい、冷汗が出現した場合は、直ちに離床を中止し、患者を安全な姿勢(座位または臥床)に戻す。創部離開の兆候(創部からの急な血性排液増加、腸管の脱出)は緊急事態であり、直ちに医師へ報告し、滅菌生食ガーゼで覆うなどの初期対応を行う。
看護プロトコル: 離床開始の判断基準(SBAR形式) - S (Situation): 術後○日目、患者〇〇様、離床開始可能か確認。 - B (Background): 手術内容(開腹術)、麻酔法、合併症の有無、疼痛コントロール状況。 - A (Assessment): バイタルサイン安定、出血なし、疼痛はNRS 3/10、意欲あり。 - R (Recommendation): ベッドアップ30度から開始し、問題なければ端座位へ進める計画。医師の指示(離床の範囲)の確認をお願いします。
先輩看護師の一言: 「術後の患者さんは『傷が開く』という不安が強いですよね。そんな時は、『離床することで血流が良くなって、むしろ傷の治りが早くなるんですよ』と根拠を伝えてあげてください。そして、一緒に歩いて、『大丈夫ですね!』と成功体験を共有することが、患者さんの回復意欲を引き出す一番の看護です!国試の知識は、この一言のためにあるんですよ。」

重要概念

成人看護学 800 問 · ログイン不要

MyMerciで看護師国家試験を完全対策

過去問と詳しい解説を無料で。弱点を分析し、進捗を管理してより効率的に学習しましょう。

無料で始める

学習参考用です。実際の臨床は最新のガイドラインと所属機関のプロトコルに従ってください。