核心解説
この問題は、
中心静脈圧 (Central Venous Pressure, CVP) のモニタリング値の解釈を問う、重症患者管理の基本中の基本です。
最重要! CVPは
右心房の圧力 を反映し、循環血液量と心機能(特に右心機能)のバランスを示す指標です。CVPが低下するということは、
循環血液量が不足 しているか、静脈還流量が減少していることを意味します。
正解の根拠 (Answer Rationale):
循環血液量の減少(例:出血性ショック、脱水)では、静脈系に戻る血液量が減少するため、右心房の充満圧が低下し、CVPは低下します。これは、
前負荷 (Preload) の減少を示す重要な所見です。輸液療法 (Fluid Therapy) の指標としても頻用されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis):
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混同注意! ②
三尖弁閉鎖不全症 (Tricuspid Regurgitation):収縮期に血液が右心房に逆流するため、右心房圧が上昇し、CVPは上昇します(V波の増高)。
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混同注意! ③
右心不全 (Right Heart Failure):右心室のポンプ機能が低下し、血液を肺動脈に駆出できず、右心房に血液が鬱滞するため、CVPは上昇します。
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混同注意! ④
心タンポナーデ (Cardiac Tamponade):心膜腔内に液体が貯留し、心臓全体が圧迫されるため、右心房の拡張が妨げられ、CVPは著明に上昇します(Kussmaul徴候と併せて重要)。
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混同注意! ⑤
肺高血圧症 (Pulmonary Hypertension):肺動脈圧が上昇し、右心室の後負荷 (Afterload) が増大するため、最終的に右心不全を来たし、CVPは上昇します。
関連概念の整理 (Related Concepts):
CVPの変動を理解するには、
スターリングの法則 (Frank-Starling Law) と前負荷・後負荷・心収縮力の関係を押さえることが重要です。また、CVPは
動脈血圧 (Blood Pressure) や
尿量 (Urine Output) と併せて総合的に評価します。CVP低下+血圧低下+尿量減少は、典型的な循環血液量減少(Hypovolemia)のパターンです。
概念整理: CVP(中心静脈圧)は右房圧を反映し、循環血液量と心機能のバランスを示す。低下=循環血液量減少(出血・脱水)、上昇=右心不全・心タンポナーデ・輸液過多。
一目で比較!:
| 病態 | CVP | 主な機序 |
|---|
| 循環血液量減少(Hypovolemia) | 低下 | 静脈還流量の減少 |
| 右心不全(Right Heart Failure) | 上昇 | 右房への血液鬱滞 |
| 心タンポナーデ(Cardiac Tamponade) | 上昇 | 心臓全体の圧迫 |
看護過程ポイント:
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アセスメント: CVPの単独値だけでなく、経時的変化、バイタルサイン(血圧、脈拍、SpO2)、尿量、末梢冷感、皮膚のツルゴールを同時に評価する。
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看護診断: 「循環血液量減少リスク状態 (Risk for Decreased Cardiac Output)」または「体液量不足 (Deficient Fluid Volume)」
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計画・介入: 医師の指示に基づく輸液療法(晶質液、膠質液、輸血)の準備と投与。CVPが目標値(通常5~12 cmH2O)に達するかモニタリング。
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評価: 輸液後のCVP上昇、血圧安定、尿量増加を確認。
暗記のコツ: 「CVPが下がる=タンク(血管)の中の水(血液)が減った」とイメージしましょう。「上がる=タンクに水があふれている(心不全)or タンクが外から押されて潰されている(タンポナーデ)」と覚えると整理しやすいです。
国試頻出ポイント: CVPの異常値を、その他のショックの病態(特に
出血性ショック vs
心原性ショック)と関連付けて出題されることが非常に多いです。CVP低下=Hypovolemic Shock、CVP上昇=Cardiogenic Shock とリンクさせて覚えましょう。
出題パターン注意!: 「術後患者のCVPが低下した。輸液を開始する前に看護師が確認すべきことは?」のような状況設定問題に発展します。CVPが低い=前負荷不足という解釈から、輸液の適応を判断する流れを練習しておきましょう。