核心解説
この問題は、
体表面積 (Body Surface Area, BSA) に基づいた必要水分量の計算方法を問うています。輸液療法 (Fluid Therapy) では、患者の体格に応じた適切な水分・電解質の補充が不可欠であり、体重だけでなく体表面積を用いて必要量を算出することがあります。特に、
小児ややせ型/肥満型の患者、熱傷患者などでは、体重よりも体表面積を指標とする方が生理学的に正確とされています。
正解の根拠 (Answer Rationale)
問題文より、1日に必要な水分量は「
1500mL/m2」、患者の体表面積は「
1.6m2」と与えられています。
よって、計算式は以下の通りです。
1500 mL/m2 × 1.6 m2 = 2400 mL
したがって、1日の総輸液量として適切なのは
2400mL です。体重60kgは、体表面積を算出するための基礎データであり、この計算には直接使用しません。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
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混同注意! ①番の3000mLは、1500mL/m2 × 2.0m2 という誤った計算(体表面積を2.0m2と誤認)や、体重60kgから単純に50mL/kg(3000mL)と計算した場合に導かれる数値です。成人の体重あたりの必要水分量は約40~50mL/kg/日ですが、この問題では体表面積基準が指定されているため誤りです。
- ②番の2000mLは、1500mL/m2 × 1.33m2 や、2400mLから400mL少なく見積もった値です。
- ③番の2600mLは、1500mL/m2 × 1.73m2(標準体表面積)などで計算した場合に近い値ですが、この患者の体表面積は1.6m2と明示されているため誤りです。
- ④番の1800mLは、1500mL/m2 × 1.2m2 や、体重60kgから30mL/kgと過少に見積もった値です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
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体表面積 (BSA): 体格をより正確に反映する指標。主な算出式に
Du Bois式(体重(kg)^0.425 × 身長(cm)^0.725 × 0.007184)があります。看護師国試では計算結果を暗記するよりも、「体重よりも体表面積を用いる方が精密な管理が必要な病態(熱傷、抗癌剤投与など)で用いられる」ことを理解しておきましょう。
- 1日の必要水分量の算出基準には、
混同注意! 「体重あたり(mL/kg/日)」、「体表面積あたり(mL/m2/日)」、「エネルギー消費量あたり(mL/100kcal)」の3種類があります。問題文で指定された基準を正しく読み取ることが重要です。
- 輸液の目的は、
維持輸液(生理的必要量の補充)、欠乏輸液(脱水の是正)、置換輸液(喪失分の補充)に大別されます。この問題は「維持輸液」の必要量計算に該当します。
概念整理: 体表面積に基づく必要水分量 = 基準値(mL/m2) × 患者の体表面積(m2)。計算時は単位(mL/m2)を意識し、単純な掛け算ミスを防ぐ。体重は体表面積を算出するために用いられる間接的な指標である。
一目で比較!:
| 計算基準 | 計算例(60kg成人) | 特徴 |
|---|
| 体重あたり (40mL/kg) | 2400mL/日 | 簡便で一般的。肥満/痩せで誤差大。 |
| 体表面積あたり (1500mL/m2) | 約2400mL(BSA 1.6m2の場合) | 体格を反映し正確。熱傷・抗癌剤投与で必須。 |
看護過程ポイント: 輸液療法のアセスメントでは、
指示された輸液量が適切かを患者の体重、バイタルサイン、尿量、浮腫の有無、皮膚のツルゴール、電解質データ(Na,K,Cl)などから総合的に評価する。計算結果だけでなく、患者の状態に応じた点滴速度の調整(投与速度)も看護師の重要な役割である。
暗記のコツ: 「体表(たいひょう)1500」と覚えましょう。体表面積あたりの必要水分量の基準値は1500mL/m2と決まっています。計算式は「1500 × 体表面積」で、単位のm2が消えてmLが残るとイメージすると理解しやすいです。
国試頻出ポイント: 体表面積計算そのものが出題されることは稀ですが、
熱傷患者の輸液量(Baxter法など)や
抗癌剤の投与量計算と組み合わせた応用問題として出題される可能性があります。「基準値(mL/m2) × 体表面積(m2)」という基本計算式は必ず押さえておきましょう。
出題パターン注意!: 単純な計算問題に加えて、「体表面積1.6m2の患者に、1日2400mLの維持輸液が指示された。この輸液を24時間持続で投与する場合の適切な投与速度(mL/時)はどれか。」というように、計算結果を基にした次のステップ(投与速度の算出)を問う発展問題にも対応できるようにしておきましょう。