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診療に伴う技術
成人患者に1日2,000mLの輸液を指示された。輸液セットの滴下数は1mLあたり20滴である。この輸液を10時間で投与する場合の1分間あたりの滴下数はどれか。
-
1
約100滴/分
-
2
約83滴/分
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3
約33滴/分
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4
約50滴/分
-
5
約67滴/分
✓ 正解
解説
輸液量2,000mLを10時間(600分)で投与する。1分間あたりの投与量は2,000÷600=約3.33mL/分。1mLあたり20滴のため、3.33×20=約66.6滴/分となる。計算式は(総輸液量×1mLあたりの滴下数)÷(投与時間×60分)で求められる。
同じテーマの次の問題経鼻胃管による経管栄養法を実施する際の患者の体位として適切なのはどれか。この問題が収録された問題集看護師の基本となる基礎看護学KRW 12,900
核心解説
この問題は、輸液療法 (Fluid Therapy)における基本的な点滴速度の計算を問うものです。看護師は医師の指示に基づき、正確な投与速度を計算し、安全に輸液を管理する必要があります。計算式は「総輸液量 (mL) × 1mLあたりの滴下数 (滴/mL) ÷ 総投与時間 (分)」で求められます。
1. まず、総投与時間(10時間)を分に換算します。
10時間 × 60分 = 600分
2. 次に、公式に値を当てはめて計算します。
総輸液量:2,000mL
1mLあたりの滴下数:20滴/mL
総投与時間:600分
計算式:(2,000mL × 20滴/mL) ÷ 600分 = 40,000 ÷ 600 = 約66.7滴/分
3. したがって、最も近い値は 約67滴/分(選択肢5)が正解となります。
最重要! 点滴速度の計算ミスは、輸液過多 (Fluid Overload)や脱水 (Dehydration)など、患者の安全を脅かす重大なインシデントにつながります。また、輸液ポンプ (Infusion Pump)や輸液セット (Infusion Set)の機種によっても滴下数が異なるため、必ず1mLあたりの滴下数を確認する習慣をつけましょう。
概念整理
- 輸液速度計算の公式:
(総輸液量 (mL) × 1mLあたりの滴下数 (滴/mL)) ÷ 投与時間 (分) = 1分間あたりの滴下数 (滴/分)
- 1mLあたりの滴下数の種類:
成人用輸液セット:20滴/mL(一般的)
小児用輸液セット:60滴/mL(微量調整が必要な場合)
- 輸液管理の基本:指示された総量と投与時間を正確に理解し、計算ミスを防ぐためにダブルチェックが必須。
一目で比較!
| 輸液セットの種類 | 1mLあたりの滴下数 | 主な使用場面 |
|---|
| 成人用(一般用) | 20滴/mL | 一般成人の維持輸液 |
| 小児用(微量用) | 60滴/mL | 小児・新生児、または精密な速度調整が必要な場合 |
| 輸液ポンプ用 | 専用セットを使用 | 厳密な速度管理が必要な薬剤投与時 |
看護過程ポイント
- アセスメント:医師の指示(輸液の種類・総量・投与時間)、患者の全身状態(脱水の有無、心不全リスク)、輸液ルートの開存性を確認する。
- 看護診断:輸液管理に関連した傷害リスク状態 (Risk for Injury)(計算ミスによる速度異常)。
- 計画・実施:正しい計算式を用いて滴下数を算出し、輸液セットのクランプで調整。実施後は必ず1分間の実測滴下数を確認する(ダブルチェック)。
- 評価:指示通りの速度で輸液が持続しているか、患者に症状の変化(呼吸困難、浮腫など)がないか定期的に観察する。
暗記のコツ
- 「総量 × 滴下数 ÷ 時間(分)」の公式をしっかり暗記しましょう。
- 時間を分に換算するのを忘れがちなので、混同注意! 必ず「10時間 = 600分」と計算してから公式に当てはめること。
- 国試では、設問文に「1mLあたり20滴」と記載がある場合と、記載がない場合があります。記載がない場合は「成人用=20滴/mL」と覚えておきましょう。
国試頻出ポイント
- このような単純計算問題は、看護師国家試験で毎年必ず1〜2問出題されます。
- 計算問題は「時間の単位換算(時間→分)」「滴下数の暗記(成人20滴/mL、小児60滴/mL)」がクリアできれば、確実に得点できる分野です。
- 応用問題として、「輸液速度の変更指示」「残量からの残り時間計算」「輸液ポンプ設定時のmL/時への換算」などにも発展します。
出題パターン注意!
- 単純計算だけでなく、状況設定問題(事例問題)として出題されることがあります。
例:「術後患者に1日2,000mLの輸液が指示された。夜間の睡眠を考慮し、昼間12時間で全量を投与するよう医師から変更指示があった。この場合の滴下数はいくつか?」のように、条件が変わった場合の計算も練習しておきましょう。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)新人看護師のAさんは、指示された輸液(2,000mL/10時間)を準備し、滴下数を計算しました。「約67滴/分」と算出し、輸液を開始。1時間後のラウンドで、先輩看護師が実際の滴下数を確認したところ、50滴/分と遅くなっていました。患者さんは「点滴のところが痛い」と訴えています。あなたはどのようにアセスメントし、対応すべきでしょうか?
看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)- 1観察まず、輸液ルート全体を観察します。刺入部の発赤・腫脹・疼痛の有無、点滴筒の滴下状況、チューブの屈曲や圧迫の有無を確認します。
- 2アセスメント患者さんの訴えと刺入部の状態から、薬液の血管外漏出 (Infiltration/Extravasation)または静脈炎 (Phlebitis)の可能性が高いと判断します。滴下数が設定より遅れているのは、漏出により血管内に薬液が入っていかないことが原因と考えられます。
- 3報告直ちに輸液を中止し、医師へSBARで報告します。「S(状況):輸液刺入部の疼痛と腫脹あり、滴下遅延。I(背景):挿入後1時間経過。A(アセスメント):血管外漏出の可能性。R(提案):他部位への再穿刺と医師の指示確認」。
- 4介入新しい輸液セットと刺入部位を準備し、医師の指示のもと再穿刺を行います。漏出部位は温罨法(冷罨法が適切な薬剤もあるため、輸液の種類を確認)で対応し、経過観察します。
- 5評価再穿刺後、滴下数が指示通り(約67滴/分)になっているか確認。患者さんの疼痛が軽減したか、全身状態に変化がないか継続観察します。
看護プロトコル- 1観察項目輸液の種類・総量・指示速度、刺入部の状態(発赤・腫脹・疼痛・熱感・硬結)、輸液ルートの開存性(屈曲・圧迫・閉塞の有無)、滴下筒の滴下状態、患者の全身状態(呼吸状態、浮腫の有無)
- 2報告基準(SBAR)状況(何が起こったか)、背景(患者情報・経過)、アセスメント(原因の推定)、提案(必要な対応)の順に簡潔に報告。
- 3記録のポイント開始時刻、指示された滴下数、実際の滴下数、刺入部の状態、患者の反応、実施したケアの内容、医師への報告内容と指示内容。
- 4ダブルチェックの重要性輸液開始時はもちろん、勤務交代時や輸液バッグ交換時にも必ず滴下数を確認する習慣をつけましょう。
先輩看護師の一言
「点滴の計算は、最初は戸惑うかもしれませんが、現場では毎日使う基本技術です。この問題のように『約67滴/分』と計算したら、『1分間でだいたい3秒に1滴』くらいのイメージを持つと、実際の滴下を見た時に『遅い!』と気づきやすくなります。そして、何より大事なのは『患者さんの声を聞くこと』。『点滴のところが痛い』は、血管外漏出のサインです。計算通りに動いているからと安心せず、必ず患者さんの体とルートを観察してください。それが、安全な看護の第一歩です!」
- 輸液速度計算 — (総輸液量×1mLあたりの滴下数)÷投与時間(分)で求める。看護師の必須計算能力。
- 成人用輸液セット — 1mLあたり20滴。一般的な輸液に用いる。
- 小児用輸液セット — 1mLあたり60滴。微量で精密な速度調整が必要な場合に用いる。
- 血管外漏出 — 薬液が血管外に漏れ出る状態。疼痛・腫脹が生じ、組織障害のリスクがある。
- ダブルチェック — 輸液開始時やバッグ交換時に、計算値と実測値を2人で確認する安全対策。
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