核心解説
この問題は、
呼吸生理学 (Respiratory Physiology) における
肺活量 (Vital Capacity, VC) の構成要素を問う基礎的な内容です。
最重要! 肺活量とは、最大吸気位(肺に空気を最大まで入れた状態)から、最大呼気位(肺から空気を最大まで出した状態)まで吐き出すことができる空気の総量を指します。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は「1回換気量、予備吸気量、予備呼気量」の組み合わせです。
肺活量 (VC) は以下の3つの要素から構成されます。
1.
1回換気量 (Tidal Volume, TV):安静時に1回の呼吸で出入りする空気の量(約500mL)。
2.
予備吸気量 (Inspiratory Reserve Volume, IRV):安静吸気位からさらに最大に吸い込める空気の量(約3000mL)。
3.
予備呼気量 (Expiratory Reserve Volume, ERV):安静呼気位からさらに最大に吐き出せる空気の量(約1200mL)。
つまり、VC = TV + IRV + ERV となります。この3つを合計することで、肺活量の値が算出されます。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
-
混同注意! ②番「1回換気量と予備呼気量」は予備吸気量が欠けており、肺活量の定義を満たしません。
- ③番「1回換気量、予備吸気量、残気量」は、
残気量 (Residual Volume, RV) を含んでいます。残気量は最大呼気位でも肺内に残る空気の量であり、肺活量には含まれません。残気量を含むのは
全肺気量 (Total Lung Capacity, TLC) です(TLC = VC + RV)。
- ④番「予備吸気量と予備呼気量」は1回換気量が欠けています。
- ⑤番「1回換気量と予備吸気量」は予備呼気量が欠けています。
なお、残気量 (RV) を含まないことが肺活量と全肺気量の違いを理解する鍵です。
関連概念の整理 (Related Concepts)
肺機能検査(スパイロメトリー)で測定される代表的な指標には以下があります。
| 指標 | 定義 | 構成要素 |
| 肺活量 (VC) | 最大吸気位から最大呼気位まで呼出できる空気量 | TV + IRV + ERV |
| 全肺気量 (TLC) | 最大吸気位での肺内全空気量 | VC + RV |
| 機能的残気量 (FRC) | 安静呼気位での肺内空気量 | ERV + RV |
| 残気量 (RV) | 最大呼気位でも肺内に残る空気量 | 測定不可(直接) |
概念整理: 肺活量は
1回換気量 + 予備吸気量 + 予備呼気量 で構成され、
残気量は含まない。残気量は全肺気量の構成要素である。
一目で比較!:
肺活量 (VC) = TV + IRV + ERV (呼出可能) vs
全肺気量 (TLC) = VC + RV (肺内全量)。
暗記のコツ: 「肺活量は『吸って、吐いて、さらに吐く』量」と覚えましょう。安静呼吸(1回換気量)+最大に吸う(予備吸気量)+最大に吐く(予備呼気量)の3ステップです。残気量は「絶対に残る空気」なので含みません。
国試頻出ポイント: 肺活量の構成要素を直接問う問題、あるいは肺機能検査の異常パターン(拘束性障害では肺活量低下、閉塞性障害では1秒率低下)と関連付けた問題が頻出です。構成要素を正確に暗記しておきましょう。
出題パターン注意!: 基礎的な用語問題として単独出題されるだけでなく、「慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者の肺機能検査値の解釈」のような応用問題でも、肺活量と残気量の関係が問われることがあります。