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呼吸器系
肺胞の構造で、サーファクタント(肺表面活性物質)を分泌する細胞はどれか。
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1
クララ細胞
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2
肺胞マクロファージ
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3
杯細胞
-
4
II型肺胞上皮細胞
✓ 正解
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5
I型肺胞上皮細胞
解説
II型肺胞上皮細胞はサーファクタントを産生・分泌する。サーファクタントは肺胞の表面張力を低下させ、呼気時の肺胞虚脱を防ぐ。I型肺胞上皮細胞はガス交換の場を提供する扁平上皮細胞である。
同じテーマの次の問題肺胞におけるガス交換の主な機構はどれか。この問題が収録された問題集人体の構造と機能KRW 12,900
核心解説
この問題は、肺胞 (Alveoli) の微細構造と、各細胞の機能を問うています。肺胞はガス交換の場であり、複数の細胞種がそれぞれ異なる役割を担っています。特にサーファクタント (Surfactant) は、新生児呼吸窮迫症候群 (RDS) や成人呼吸窮迫症候群 (ARDS) の病態理解に直結する極めて重要な物質です。この問題の核心は、「肺胞を構成する細胞のうち、分泌機能を持つのはどれか」という点にあります。
正解の根拠 (Answer Rationale)
最重要! 正解は④番の II型肺胞上皮細胞 (Type II Alveolar Epithelial Cells) です。II型肺胞上皮細胞は、肺胞腔内に サーファクタント (肺表面活性物質) を産生・分泌する顆粒分泌細胞です。サーファクタントはリン脂質とタンパク質から構成され、肺胞の 表面張力 (Surface Tension) を低下させることで、呼気時の肺胞虚脱を防止し、肺のコンプライアンス(柔軟性)を維持する重要な役割を果たします。また、サーファクタントには肺胞マクロファージの貪食作用を促進するオプソニン効果もあり、局所の免疫防御にも関与します。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
混同注意! 各選択肢の細胞機能を正確に区別しましょう。
① クララ細胞 (Clara Cells) → 誤り。これは主に 細気管支 (Bronchioles) の上皮に存在する非繊毛性分泌細胞です。肺胞ではなく、終末細気管支から呼吸細気管支にかけて存在し、粘液やサーファクタント類似物質を分泌し、気道を保護します。肺胞の細胞ではありません。
② 肺胞マクロファージ (Alveolar Macrophages) → 誤り。これは肺胞腔内に存在する 貪食細胞 (Phagocytic Cells) であり、吸入された異物、細菌、死滅した細胞などを処理する免疫防御の最前線です。分泌は行いません。「掃除屋さん」とイメージすると覚えやすいでしょう。
③ 杯細胞 (Goblet Cells) → 誤り。これは 気道粘膜 (Respiratory Mucosa) に存在する粘液分泌細胞です。産生する粘液(ムチン)は気道表面を潤し、吸入異物を捕捉する役割があります。肺胞には存在しません。
⑤ I型肺胞上皮細胞 (Type I Alveolar Epithelial Cells) → 誤り。これは肺胞表面積の約95%を占める 扁平上皮細胞 (Squamous Epithelial Cells) で、毛細血管内皮細胞とともに極めて薄い 血液-ガス関門 (Blood-Gas Barrier) を形成し、効率的な酸素と二酸化炭素の拡散を可能にしています。分泌機能はありません。
関連概念の整理 (Related Concepts)
サーファクタントの産生は胎生期には遅く、妊娠24~28週頃から産生が始まり、35週以降に急増します。このため、早産児 (Preterm Infants) ではサーファクタントが不足し、新生児呼吸窮迫症候群 (Respiratory Distress Syndrome, RDS) を発症します。これは国試でも頻出の関連知識です。また、成人では 急性呼吸窮迫症候群 (Acute Respiratory Distress Syndrome, ARDS) において、炎症などによりII型肺胞上皮細胞が障害され、サーファクタント産生が低下することで肺胞虚脱が進行します。
概念整理: 肺胞はガス交換の場であり、2種類の上皮細胞が存在する。
| 細胞 | 機能 | 割合 |
|---|
| I型肺胞上皮細胞 | ガス交換(血液-ガス関門の主体) | 約95% |
| II型肺胞上皮細胞 | サーファクタント産生・分泌、肺胞上皮の修復・再生 | 約5% |
一目で比較!: 気道の分泌細胞まとめ
| 部位 | 細胞 | 分泌物質 | 主な機能 |
|---|
| 気道(気管・気管支) | 杯細胞 | 粘液(ムチン) | 異物の捕捉と排除 |
| 細気管支 | クララ細胞 | 粘液様物質、サーファクタント類似物質 | 気道保護、異物代謝 |
| 肺胞 | II型肺胞上皮細胞 | サーファクタント | 表面張力低下、肺胞虚脱防止 |
看護過程ポイント: アセスメント: サーファクタント不足のリスク因子(早産、ARDSの原因疾患)をアセスメントする。計画・実施: RDSの新生児にはサーファクタント補充療法の実施や人工呼吸器管理が計画される。ARDSの患者では、肺胞虚脱を予防するために PEEP (呼気終末陽圧) を設定した人工呼吸療法が行われる。
暗記のコツ: 「I型は息を吸う(ガス交換)、II型は二つの意味で重要(サーファクタント産生 + 再生能力)」と覚えましょう。また、サーファクタントは「石鹸(界面活性剤)」のようなものとイメージすると、表面張力を下げる役割が理解しやすいです。
国試頻出ポイント: この問題は「細胞の機能を問う」基礎知識問題として頻出です。さらに発展して、「サーファクタント不足により起こる病態(RDS, ARDS)」や「その治療(サーファクタント補充療法、PEEP)」の組み合わせ問題、あるいは「呼吸窮迫のある新生児の看護(保温、酸素投与、モニタリング)」といった状況設定問題へとつながります。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario): NICU(新生児集中治療室)に勤務する看護師が、在胎30週で出生した体重1,200gの超早産児を受け持ちました。出生直後から陥没呼吸、呻吟(うなり)、鼻翼呼吸が見られ、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)が88%と低下しています。胸部X線写真では、微細な網状粒状陰影(スリガラス陰影)と気管支透亮像(エア・ブロンコグラム)が認められます。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment):- 1観察最重要! 呼吸数、呼吸パターン(呻吟、陥没呼吸の有無)、SpO2、心拍数、血圧、体温、皮膚色を継続的にモニタリングします。
- 2アセスメントこれらの所見は、II型肺胞上皮細胞の未熟性によるサーファクタント不足が原因の 新生児呼吸窮迫症候群 (RDS) とアセスメントします。
- 3報告・指示受け直ちに医師に報告し、サーファクタント補充療法 の指示を受けます。気管挿管の準備と人工呼吸器の設定準備も並行して行います。
- 4介入医師の指示に基づき、気管チューブからサーファクタントを注入します。注入後は体位変換や用手換気で肺胞内に均等に分布させます。人工呼吸器の設定(特にPEEP)を確認・管理し、肺胞虚脱を予防します。
患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions): サーファクタント投与中は一過性のSpO2低下や心拍数変動、気道閉塞が生じる可能性があるため、投与中は特に慎重に観察します。また、気胸 (Pneumothorax) の合併に注意し、急激なSpO2低下、血圧低下、胸郭の非対称な動きなどに注意します。 先輩看護師の一言: 「早産児の呼吸管理は本当に緊張しますね。でも、サーファクタントの役割をしっかり理解していれば、なぜPEEPが重要なのか、なぜ人工呼吸器からの離脱(ウィーニング)が難しいのか、全てつながって見えてきます。国試で覚えた知識が、まさに現場で命を救うんです。一緒に頑張りましょう!」
- サーファクタント — II型肺胞上皮細胞から分泌される肺表面活性物質。リン脂質とタンパク質から構成され、肺胞の表面張力を低下させ、呼気時の肺胞虚脱を防ぐ。
- II型肺胞上皮細胞 (Type II Alveolar Epithelial Cells) — 肺胞上皮の約5%を占める立方状の細胞で、サーファクタントの産生・分泌と、肺胞上皮損傷後の修復・再生を担う。
- I型肺胞上皮細胞 (Type I Alveolar Epithelial Cells) — 肺胞上皮の約95%を占める扁平な細胞で、毛細血管内皮細胞と極めて薄い血液-ガス関門を形成し、効率的なガス交換を可能にする。
- 新生児呼吸窮迫症候群 (Respiratory Distress Syndrome, RDS) — 主に早産児に見られる、サーファクタント不足による肺胞虚脱(無気肺)を主病態とする呼吸障害。
- 血液-ガス関門 (Blood-Gas Barrier) — 肺胞腔内の空気と毛細血管内の血液の間でガス交換が行われる極めて薄い膜構造。I型肺胞上皮細胞、毛細血管内皮細胞、およびそれらの基底膜から構成される。
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