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生体の防御機構
免疫寛容の維持に重要な役割を果たす制御性T細胞(Treg)の表面マーカーとして正しい組み合わせはどれか。
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1
CD8陽性、CD28陽性、Foxp3陽性
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2
CD4陽性、CD25陰性、Foxp3陰性
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3
CD8陽性、CD25陰性、Foxp3陽性
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4
CD4陽性、CD40L陽性、Foxp3陰性
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5
CD4陽性、CD25陽性、Foxp3陽性
✓ 正解
解説
制御性T細胞(Treg)は、CD4陽性、CD25陽性、転写因子Foxp3陽性という特徴を持つ。Tregは自己反応性T細胞の活性化を抑制し、免疫寛容の維持に不可欠である。Foxp3遺伝子の変異はIPEX症候群を引き起こす。
同じテーマの次の問題免疫応答において、抗原提示細胞(APC)がMHCクラスII分子に結合させてT細胞に提示する抗原の処理経路として正しいのはどれか。この問題が収録された問題集人体の構造と機能KRW 12,900
核心解説
この問題は、制御性T細胞 (Regulatory T cell, Treg) の表面マーカーを問う免疫学の基礎知識です。Tregは自己免疫応答を抑制し、免疫寛容 (Immune Tolerance) を維持する重要なリンパ球であり、その表面抗原パターンを正確に理解することが看護師国家試験においても感染症・自己免疫疾患・移植免疫の理解に役立ちます。
核心概念の分析 (Key Concept)
免疫寛容とは、自己の組織に対して免疫系が攻撃しないように制御される仕組みです。この中心的な役割を担うのがTregで、主に胸腺 (Thymus) で分化し、末梢血中で自己反応性T細胞の活性化を抑制します。Tregの同定には細胞表面抗原と転写因子の組み合わせが必須です。
正解の根拠 (Answer Rationale)
正解は⑤ 最重要! CD4陽性、CD25陽性、Foxp3陽性 です。
- CD4: ヘルパーT細胞の系統マーカー。TregはCD4陽性T細胞のサブセットです。
- CD25: IL-2受容体α鎖。Tregは高レベルでCD25を発現し、IL-2シグナルに依存して生存・機能を維持します。
- Foxp3 (Forkhead box P3): Tregのマスター転写因子。Foxp3が発現することで抑制機能を獲得します。この遺伝子の変異はIPEX症候群 (Immune dysregulation, Polyendocrinopathy, Enteropathy, X-linked syndrome) を引き起こします。
誤答の分析 (Distractor Analysis)
- ① CD8陽性、CD28陽性、Foxp3陽性: 混同注意! CD8はキラーT細胞のマーカーです。CD28はT細胞の共刺激分子でTregも発現しますが、CD8陽性である点で誤り。Foxp3陽性Tregの大部分はCD4陽性であり、CD8陽性Foxp3陽性細胞もごく一部存在しますが、標準的Tregの定義ではありません。
- ② CD4陽性、CD25陰性、Foxp3陰性: CD4陽性であっても、CD25陰性かつFoxp3陰性では抑制機能を持たない通常のヘルパーT細胞 (Th0, Th1, Th2など) です。
- ③ CD8陽性、CD25陰性、Foxp3陽性: CD8陽性かつFoxp3陽性の細胞は「CD8陽性Treg」として報告されていますが、主体となるTregではなく、通常のTregの定義から外れます。またCD25陰性のためIL-2依存性がなく、典型的なTregとは言えません。
- ④ CD4陽性、CD40L陽性、Foxp3陰性: CD40L (CD154) は活性化ヘルパーT細胞が発現する分子で、B細胞の活性化に関与します。Foxp3陰性のためTregではなく、濾胞性ヘルパーT細胞 (Tfh) などです。
関連概念の整理 (Related Concepts)
- Tregのサブセット: 胸腺由来の自然型Treg (nTreg / tTreg) と末梢で誘導される誘導型Treg (iTreg / pTreg) が存在しますが、表面マーカーは共通です。
- 免疫寛容の破綻: Tregの機能不全は、全身性エリテマトーデス (SLE)、1型糖尿病、関節リウマチなどの自己免疫疾患の発症につながります。
- 移植免疫: 移植後の拒絶反応を抑制するため、Tregを増やす治療戦略が研究されています。
概念整理
| 細胞種 | 表面マーカー | 主な機能 |
|---|
| 制御性T細胞 (Treg) | CD4+ CD25high Foxp3+ | 免疫応答の抑制・免疫寛容の維持 |
| ヘルパーT細胞 (Th) | CD4+ CD25- Foxp3- | サイトカイン産生による免疫応答の促進 |
| キラーT細胞 (Tc) | CD8+ CD28+ Foxp3- | ウイルス感染細胞・腫瘍細胞の殺傷 |
一目で比較!
Treg vs 通常のヘルパーT細胞: Tregは混同注意!「抑制する側」のT細胞です。通常のヘルパーT細胞が免疫を「活性化」するのに対し、Tregは「ブレーキ」の役割を果たします。
暗記のコツ
「CD4にCD25がくっついて、Foxp3で制御!」とリズムで覚えましょう。また、IPEX症候群の「IPEX = Immune dysregulation, Polyendocrinopathy, Enteropathy, X-linked」はFoxp3変異で起こることをセットで暗記すると、国試でTregの重要性を問われた時に即座に連想できます。
国試頻出ポイント
Tregの表面マーカーは、免疫学の基礎問題として単独で出題されるほか、自己免疫疾患(SLE、関節リウマチ、1型糖尿病)や移植拒絶反応の病態理解を問う文脈で頻出します。特に「免疫寛容の破綻=自己免疫疾患」という流れは必修レベルです。
臨床実践ガイド
臨床シナリオ (Clinical Scenario)
30代女性、全身性エリテマトーデス (SLE) で入院中。ステロイド治療に抵抗性を示し、新たに免疫抑制薬(ミコフェノール酸モフェチル)が追加されました。看護師が薬剤説明を行う際、患者から「この薬はなぜ効くのですか?」と質問されました。看護介入と判断戦略 (Nursing Intervention & Clinical Judgment)
Tregの機能を強化する免疫抑制薬(例: 低用量IL-2療法)や、Tregを増やす治療が研究されていますが、ミコフェノール酸モフェチルはT細胞・B細胞の増殖を抑制することで免疫応答全般を抑えます。看護師は「免疫のバランスを整えるお薬です」と簡潔に説明し、副作用(感染症リスク増加、骨髄抑制)の観察を徹底します。患者安全・注意事項 (Patient Safety & Precautions)
最重要! 免疫抑制療法中の患者は感染症に極めて脆弱です。バイタルサインの微細な変化(特に発熱の有無)、検体検査(白血球数、好中球数)のモニタリングを怠らないようにしましょう。また、生ワクチン接種は禁忌であることを患者・家族に教育します。
看護プロトコル
観察項目: 体温、白血球数 (WBC) と分画、CRP、口腔内・皮膚の感染兆候(カンジダ症、単純ヘルペス)。報告基準(SBAR): 「Situation: SLE患者、免疫抑制薬開始後。B: 体温38.0℃、WBC 2,500/μL。A: 感染症発症の可能性を考慮。R: 血液培養、胸部X線のオーダー依頼」。
先輩看護師の一言
「免疫学の基礎、特にTregの役割を理解すると、自己免疫疾患の患者さんが『なぜ免疫を抑える薬』を飲むのかが腑に落ちますよね。国試でも、『制御性T細胞は何をする細胞か』を聞かれれば、迷わず『免疫を抑える』と答えられるように!暗記だけじゃなくて、『患者さんの体の中で何が起きているのか』を想像してみてください。」
- CD25 — IL-2受容体α鎖。Tregが高発現し、IL-2シグナルを介して生存と抑制機能を維持する。
- Foxp3 — Tregのマスター転写因子。Foxp3の発現がTregの抑制機能に必須であり、遺伝子変異はIPEX症候群を引き起こす。
- IPEX症候群 — Immune dysregulation, Polyendocrinopathy, Enteropathy, X-linked syndrome。Foxp3遺伝子変異によるTreg欠損症で、重度の自己免疫疾患を発症する。
- 免疫寛容 (Immune Tolerance) — 自己の組織に対して免疫系が攻撃しないように制御される仕組み。Tregが中心的役割を担う。
- ヘルパーT細胞 (Helper T cell) — CD4陽性T細胞。サイトカイン産生により免疫応答を活性化する。Tregはそのサブセットであるが、抑制的に機能する点が特徴。
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